平和な日常~冬~
さてエヴァから呪いの解呪の研究が終わったと聞かされた近右衛門は、後二人高位の魔法使いが必要だと聞くも正直ホッとしていた。
次の世代が麻帆良をどんな街にしていき魔法協会をどうするかは近右衛門にも分からない。
無論次世代が困らぬように後始末はするつもりだが、エヴァの解放は近右衛門の世代で確実にやらねばならない課題なだけに解放の目処が付いたことは朗報だった。
加えてエヴァの解放の最大の障害であるメガロメセンブリアは秘密結社完全なる世界の捜索に精一杯であり、ネギの去就の問題の余波や地球側魔法協会の戦時の指揮命令権の話し合いが続く今ならば解放も不可能ではない。
まあ元から解放後も平穏な生活の保障と引き換えに当面の間は麻帆良に留まってもらい、しばらく様子を見る予定ではあったのだが。
「しかし後二人か。 実はわしも一人ならすぐに宛てがあるのじゃがな」
ともかく完全なる世界の騒動が収まる前にエヴァの解放をしたい近右衛門としてはすぐに残りの二人をどうするか悩むが、流石に自分と同レベルの魔法使いを二人も用意するのは簡単ではない。
単純に実力だけで考えると候補はいるが問題なのは、エヴァが研究した解呪の術式が西洋魔法であるということだった。
実は日本の西洋魔法使いはほとんどが関東魔法協会所属なのだ。
稀に西洋魔法を使うはぐれ魔法使いも居るが、今回の件で信頼出来て実力がある西洋魔法を使うはぐれ魔法使いなどすぐには思い当たらない。
仮に東洋魔法の使い手ならば近衛家のツテで信頼出来る人材を集めるのが簡単だっただけに、解呪が西洋式になったのは近右衛門の誤算であった。
「誰だ? 後腐れが悪い奴はゴメンだぞ」
「本人に聞かねばなんとも言えんが一人は多分大丈夫じゃろう。 わしの娘じゃからな」
明日菜達が横島の店で勉強している頃、エヴァと近右衛門は中等部の学園長室で話をしているがエヴァは一人の候補を聞くと驚きの表情を見せる。
近右衛門の娘とは当然詠春の妻であり木乃香の母でもある穂乃香のことだが、エヴァとの面識はなく噂を少し聞く程度でエヴァもよく知らなかった。
「穂乃香は麻帆良育ちじゃから東西両方の魔法を使えるし、単純な魔法の才能ならばわしよりも上じゃ。 詠春からエヴァのことも聞いてるじゃろうし悪いようにはせんじゃろう」
木乃香と違い幼い頃から近衛家の娘として魔法の英才教育を受けた穂乃香は、単純な魔法の才能と実力だけならば近右衛門よりも高いようである。
尤も立場上実戦での経験がさほどある訳ではないので、戦闘に関しては未熟だとも付け加えもしたが。
「うむ……」
そのまま近右衛門の説明を静かに聞くエヴァは考え込むが、返事を返すことは無かった。
穂乃香の意思の確認が先だし、魔法協会の重鎮なんかが出て来るよりはマシなのだから。
「三人目じゃが、いっそ横島君は使えんか? 相坂さんの術から見てもかなりの術は使えるのじゃろう?」
「難しいだろう。 西洋と東洋では基本的な術式が違うからな。 流石に私も東洋魔法で解呪の術式を組み立てるのは無理だぞ」
その後近右衛門とエヴァは互いに無言になり三人目を考えていくが、なかなか有力な人物が浮かばない。
近右衛門はそんな中で魔法協会に属さぬ実力者を考え始めると候補として横島の名前を挙げる。
横島の場合はさよの実体化の術がかなり高度なのに気付いてる近右衛門がはぐれ魔法使いの中ではトップクラスの術士だと考え口に出したが、エヴァはやはり東西の魔法の技術の違いから無理だろうと告げた。
そもそもエヴァの解呪の術式は簡単ではなく複雑であり、専門外な人間に出来るくらいならばエヴァ自身が東洋魔法の術式で解呪方法を構築していたのだ。
結局この日は近右衛門が三人目を探しておくと告げて話が終わっていた。
次の世代が麻帆良をどんな街にしていき魔法協会をどうするかは近右衛門にも分からない。
無論次世代が困らぬように後始末はするつもりだが、エヴァの解放は近右衛門の世代で確実にやらねばならない課題なだけに解放の目処が付いたことは朗報だった。
加えてエヴァの解放の最大の障害であるメガロメセンブリアは秘密結社完全なる世界の捜索に精一杯であり、ネギの去就の問題の余波や地球側魔法協会の戦時の指揮命令権の話し合いが続く今ならば解放も不可能ではない。
まあ元から解放後も平穏な生活の保障と引き換えに当面の間は麻帆良に留まってもらい、しばらく様子を見る予定ではあったのだが。
「しかし後二人か。 実はわしも一人ならすぐに宛てがあるのじゃがな」
ともかく完全なる世界の騒動が収まる前にエヴァの解放をしたい近右衛門としてはすぐに残りの二人をどうするか悩むが、流石に自分と同レベルの魔法使いを二人も用意するのは簡単ではない。
単純に実力だけで考えると候補はいるが問題なのは、エヴァが研究した解呪の術式が西洋魔法であるということだった。
実は日本の西洋魔法使いはほとんどが関東魔法協会所属なのだ。
稀に西洋魔法を使うはぐれ魔法使いも居るが、今回の件で信頼出来て実力がある西洋魔法を使うはぐれ魔法使いなどすぐには思い当たらない。
仮に東洋魔法の使い手ならば近衛家のツテで信頼出来る人材を集めるのが簡単だっただけに、解呪が西洋式になったのは近右衛門の誤算であった。
「誰だ? 後腐れが悪い奴はゴメンだぞ」
「本人に聞かねばなんとも言えんが一人は多分大丈夫じゃろう。 わしの娘じゃからな」
明日菜達が横島の店で勉強している頃、エヴァと近右衛門は中等部の学園長室で話をしているがエヴァは一人の候補を聞くと驚きの表情を見せる。
近右衛門の娘とは当然詠春の妻であり木乃香の母でもある穂乃香のことだが、エヴァとの面識はなく噂を少し聞く程度でエヴァもよく知らなかった。
「穂乃香は麻帆良育ちじゃから東西両方の魔法を使えるし、単純な魔法の才能ならばわしよりも上じゃ。 詠春からエヴァのことも聞いてるじゃろうし悪いようにはせんじゃろう」
木乃香と違い幼い頃から近衛家の娘として魔法の英才教育を受けた穂乃香は、単純な魔法の才能と実力だけならば近右衛門よりも高いようである。
尤も立場上実戦での経験がさほどある訳ではないので、戦闘に関しては未熟だとも付け加えもしたが。
「うむ……」
そのまま近右衛門の説明を静かに聞くエヴァは考え込むが、返事を返すことは無かった。
穂乃香の意思の確認が先だし、魔法協会の重鎮なんかが出て来るよりはマシなのだから。
「三人目じゃが、いっそ横島君は使えんか? 相坂さんの術から見てもかなりの術は使えるのじゃろう?」
「難しいだろう。 西洋と東洋では基本的な術式が違うからな。 流石に私も東洋魔法で解呪の術式を組み立てるのは無理だぞ」
その後近右衛門とエヴァは互いに無言になり三人目を考えていくが、なかなか有力な人物が浮かばない。
近右衛門はそんな中で魔法協会に属さぬ実力者を考え始めると候補として横島の名前を挙げる。
横島の場合はさよの実体化の術がかなり高度なのに気付いてる近右衛門がはぐれ魔法使いの中ではトップクラスの術士だと考え口に出したが、エヴァはやはり東西の魔法の技術の違いから無理だろうと告げた。
そもそもエヴァの解呪の術式は簡単ではなく複雑であり、専門外な人間に出来るくらいならばエヴァ自身が東洋魔法の術式で解呪方法を構築していたのだ。
結局この日は近右衛門が三人目を探しておくと告げて話が終わっていた。