平和な日常~冬~

それから数日過ぎると麻帆良では、二学期の期末テスト直前に差し掛かっていた。

横島は相変わらずテストの山かけをしており、とうとう一部の女子高や女子中等部においては一年から三年まで山かけをしている。

ただここで重要なのはテスト予想をしてるのは横島だけではないということであり、女子中等部などでは横島の山かけに味をしめたのか塾の講師や家庭教師のテスト予想なんかも出回ってきており若干情報過多になりつつあった。

加えて学校ではクラス単位で担任が模擬試験を行ったり、放課後に勉強を見てやったりと以前にも増して気合いが入っている。

特に女子中等部の二年の教師陣は、一年の頃には万年最下位だったA組が横島の影響で中堅レベルまで学力を上げただけに本職としてのプライドを刺激されていた。

本職の教師として流石に二十歳そこそこの一般人に負けるのは恥ずかしいと思う者も当然居るらしい。


「最近高畑先生がやけにやる気になってるです」

「あんなに熱心だったボランティアも行かなくなったし、なんかあったのかな?」

「それより勉強に集中して下さい」

さてこの日の横島の店ではすっかりテスト直前の恒例行事と化した勉強会が開かれていたが、勉強にあまり集中出来ない少女達の話題は最近変わったと評判の高畑についてだった。

元々赤点組であるバカレンジャーなどは、放課後に追試をやったりと他の生徒より高畑と関わる機会があるだけに最近の変化が気になるらしい。

夕映とまき絵は高畑の変化の原因は何かと無駄話するが、教える側に回っているあやかに注意を受けてしまう。

正直バカレンジャー組は赤点になれば冬休みが潰れるのが嫌で勉強してるだけに、あまり集中出来ないようである。

ちなみに高畑は最近教職にもやる気を出しているが、正直教えるのがあまり上手くないとの事情もあり結局横島の店に集まっていた。

夕映達にしても明日菜にしても横島ならば同じ問題を解るまで聞けるが、高畑には何回も聞けないとの本音もある。

実際2ーAの少女達は高畑を人として教師として尊敬はしているが、ぶっちゃけ教えるのは上手くないとはみんな思っていた。


「うわ~、タマちゃん相変わらず上手や」

「夏休みから毎日絵日記書いてますからね」

一方相変わらず店では勉強してない木乃香とさよは、タマモの相手をしつつ店の仕事をしていた。

横島が勉強を教える側に回っていて忙しいので、いつものように木乃香が店を仕切ってさよが手伝ったりしている。

さよに関しては前回の二学期の中間テストが初めてのテストだったが、成績がよくクラスの上位と中位の間くらいの順位だった。

まあ六十年も中等部に居れば嫌でも覚えるのだろうし、幽霊特有の思考能力の低下や記憶力の低下もあるがそれでも学校の勉強に関してはかなり覚えていたらしい。


「みんなといっしょにがんばるの!」

木乃香達に褒められて嬉しそうなタマモに関しても相変わらずみんなと同じことがしたいらしく、先程から勉強の代わりにとクレヨンでお絵かきをしている。

実はそんなタマモの頑張る姿が脱線気味の少女達にやる気を起こさせてるのだが、本人は全く気付いてなく楽しげな様子であった。



59/100ページ
スキ