平和な日常~冬~

一方自身の呪いを解く方法を研究していたエヴァは、この頃ようやくその方法を具体的な形として完全させていた。

近右衛門に呪いの研究をするように言われてから麻帆良では半年を過ぎており、エヴァが魔法球の中で研究した時間は年単位にも及ぶ。

流石に毎日二十四時間研究し続けた訳ではないが、それでもエヴァの実力をもってしても数年の時間がかかったのだから登校地獄の呪いがどれだけ凄まじいかを物語っている。


「問題は人選か」

実のところエヴァが数年もこだわった最大の理由は呪いを自身の手だけで解きたかったのだが、やはりそれは現時点では不可能だったとしか言いようが無い。

その理由として一つはナギかそれに限りなく近い人間の血が必要なことと、もう一つはエヴァ自身が解呪するには呪いと連動してエヴァの力を封じる麻帆良の結界が邪魔なのだ。

近右衛門から解呪の話を聞いた後エヴァは超鈴音に密かにナギの親族について調べて貰ったが、解呪に使えそうなのはナギの息子と父親の血くらいだった。

だがその両名は調べて貰った時点でネギの去就で揉めており、とても麻帆良に呼べる状況では無かったのだ。

少し付け加えるとエヴァがナギの息子の存在を知ったのはこの時であり、母親に関してはまだ誰なのか知らない。

近右衛門が突然呪いの解呪を言い出した理由について、エヴァはネギの去就の問題絡みだろうと気付いたが母親に関しては知りたくもないので調べさせてない。

そんなエヴァが呪いを解くに当たって考えているのは、誰に頼むかであった。

近右衛門に頼むのが確実なのは分かるが、魔法協会とメガロの争いに巻き込まれることが嫌なのである。

個人として近右衛門がそれほど信頼出来ない訳ではないが、魔法協会はあまり信頼してない。

エヴァの研究した解呪方法はある程度までは普通に解呪の術式を作れたが、結局は全部は無理だったので術式を作れなかった分はナギを軽く越える力でぶち破るしかなかった。

ただその方法に関しても個人でナギを越えるのは不可能なので、近右衛門クラスの術士が三人必要になる計算である。

魔力増幅の魔法陣や三人がどう協力するかまで綿密に計算したが、そもそもの問題として近右衛門クラスの人間を三人も集めれるほどエヴァには人脈がない。


「後二人が問題か」

出来れば魔法協会の人間には借りを作りたくはないので近右衛門には個人として頼むとして、もう二人が決まらないのが悩みのようだった。

ちなみに高畑と詠春は魔力を扱う術が得意ではないので論外である。


「ちっ、仕方ない。 じじいに探させるか」

この時エヴァは一瞬妙な封印をして魔法を隠してる超鈴音の顔が浮かぶが、彼女は魔力量はともかく魔法に関しては未熟過ぎて使えないと判断した。

加えてエヴァは超が何かしらの目的があって麻帆良に居ることだけは知っているので、近右衛門の前で魔法を使うことはしないとも思うと候補から外さざるおえない。

結局は近右衛門に出来るだけ後腐れのない二人を探してもらうしか方法が無かった。



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