平和な日常~冬~
さてこの日も夜になると新堂がやって来るが、流石に毎日スタッフ達を残業をさせられないのか一人であった。
横島の店はまだ閉めてないが時間的に客は少なく、明日菜・夕映・まき絵・古菲・楓の五人に加えて、のどか・あやか・千鶴・夏美の四人達も一緒に勉強していた。
尤も明日菜達をのどかとあやか達が教えていたという言い方の方が近いのかも知れないが。
ちなみにタマモとさよはすでに二階であり、特にまだ幼いタマモは早く眠くなるのでさよがお風呂に入れたりしている。
「しかし昨日の今日でよくここまで作れましたね。 昨日寝てないんじゃ」
そして厨房では新堂が来たことで木乃香の作ったブッシュ・ド・ノエルと新堂が作って来た大福の試食から始めるが、横島は新堂の作って来た大福を試食して驚きというか呆れ気味だった。
それは横島が教えたことをほぼ完璧にマスターした一品であり、もちろん木乃香も驚いている。
「もちろん苦労したわよ。 おかげで今日は寝不足だもの」
確かに昨日横島が新堂に合わせて教えたが、それを身につけるには当然何度も作って覚えなくてはならない。
木乃香の場合は横島が木乃香のペースに合わせて何回か教えるからいいが、新堂は昨夜のうちに教わったことを何度か自分で作って身につけたようだ。
その辺りは彼女のプロ根性故の行動なのだろうが、横島も流石に一夜で全部覚えなくてもと半ば呆れ気味だった。
そもそも横島としては木乃香と同じように、新堂の習得スピードに合わせて何度か教えるつもりだったらしい。
「基本は大丈夫そうっすね。 まあ中身によっては微妙に変わりますけど基本を押さえておけば苦労はしませんよ。 ただ経験自体は少ないんで気をつけは方がいいですけど」
現時点でもすでに新堂の大福の技術はプロ並だったが、問題点が全くない訳ではなく新堂が作れるのは基本的な物だけということも確かだろう。
通常の職人が失敗と成功を重ねて得る経験がないだけにまだまだ注意が必要ではあった。
実のところ木乃香のレシピや技術の習得スピードで一番時間がかかるのは、この手の失敗の経験だったりもする。
木乃香の経験の幅や柔軟性を育てる意味でも失敗も効率よく経験させてるので、それなりにレシピや技術習得には時間がかかっていたのだ。
「やっぱりプロは凄いわ~」
一方木乃香は新堂のやる気や向上心の高さと一日で分かるほど成長した姿に、本物のプロは凄いと尊敬の眼差しで見つめていた。
基本的に横島はプロのような雰囲気のカケラもないため、ある意味で新堂は木乃香が始めてみる本物のプロなのである。
「私は近衛さんの方が凄いと思うわよ。 私は高校もパティシエ専攻の調理科だったからもう六年は修行してるもの。 私が一年未満の頃は貴女とは比べものにならないほど未熟だったわ」
対する新堂は下級生から尊敬されることは慣れてはいるが、自分の実力を理解せずに純粋に尊敬する木乃香には少し困ったように笑ってしまう。
現状で新堂が木乃香に圧倒的に勝ってるのは経験だが、それは年齢的なアドバンテージがあるからであり新堂が今の木乃香と同じ頃を比べもると確実に木乃香が上だと言い切る。
「私は正直貴女が羨ましいとすら思うわ。 私も貴女と同じ頃にいい師に出会えていたらって思うもの」
まさか新堂に凄いと言われると思いもしない木乃香はキョトンとした表情で新堂を見つめるが、新堂はそんな木乃香に嘘偽りなく自身の心を語っていく。
それは彼女が横島の実力と木乃香の才能を理解するが故の感情なのだろう。
確かに新堂は今の木乃香と同じ一年未満の頃は比べると劣ってはいたが、同時に横島のような師匠に出会っていたら自分もやれたとの自負はある。
そういう意味では新堂は木乃香の環境が単純に羨ましいと感じていた。
横島の店はまだ閉めてないが時間的に客は少なく、明日菜・夕映・まき絵・古菲・楓の五人に加えて、のどか・あやか・千鶴・夏美の四人達も一緒に勉強していた。
尤も明日菜達をのどかとあやか達が教えていたという言い方の方が近いのかも知れないが。
ちなみにタマモとさよはすでに二階であり、特にまだ幼いタマモは早く眠くなるのでさよがお風呂に入れたりしている。
「しかし昨日の今日でよくここまで作れましたね。 昨日寝てないんじゃ」
そして厨房では新堂が来たことで木乃香の作ったブッシュ・ド・ノエルと新堂が作って来た大福の試食から始めるが、横島は新堂の作って来た大福を試食して驚きというか呆れ気味だった。
それは横島が教えたことをほぼ完璧にマスターした一品であり、もちろん木乃香も驚いている。
「もちろん苦労したわよ。 おかげで今日は寝不足だもの」
確かに昨日横島が新堂に合わせて教えたが、それを身につけるには当然何度も作って覚えなくてはならない。
木乃香の場合は横島が木乃香のペースに合わせて何回か教えるからいいが、新堂は昨夜のうちに教わったことを何度か自分で作って身につけたようだ。
その辺りは彼女のプロ根性故の行動なのだろうが、横島も流石に一夜で全部覚えなくてもと半ば呆れ気味だった。
そもそも横島としては木乃香と同じように、新堂の習得スピードに合わせて何度か教えるつもりだったらしい。
「基本は大丈夫そうっすね。 まあ中身によっては微妙に変わりますけど基本を押さえておけば苦労はしませんよ。 ただ経験自体は少ないんで気をつけは方がいいですけど」
現時点でもすでに新堂の大福の技術はプロ並だったが、問題点が全くない訳ではなく新堂が作れるのは基本的な物だけということも確かだろう。
通常の職人が失敗と成功を重ねて得る経験がないだけにまだまだ注意が必要ではあった。
実のところ木乃香のレシピや技術の習得スピードで一番時間がかかるのは、この手の失敗の経験だったりもする。
木乃香の経験の幅や柔軟性を育てる意味でも失敗も効率よく経験させてるので、それなりにレシピや技術習得には時間がかかっていたのだ。
「やっぱりプロは凄いわ~」
一方木乃香は新堂のやる気や向上心の高さと一日で分かるほど成長した姿に、本物のプロは凄いと尊敬の眼差しで見つめていた。
基本的に横島はプロのような雰囲気のカケラもないため、ある意味で新堂は木乃香が始めてみる本物のプロなのである。
「私は近衛さんの方が凄いと思うわよ。 私は高校もパティシエ専攻の調理科だったからもう六年は修行してるもの。 私が一年未満の頃は貴女とは比べものにならないほど未熟だったわ」
対する新堂は下級生から尊敬されることは慣れてはいるが、自分の実力を理解せずに純粋に尊敬する木乃香には少し困ったように笑ってしまう。
現状で新堂が木乃香に圧倒的に勝ってるのは経験だが、それは年齢的なアドバンテージがあるからであり新堂が今の木乃香と同じ頃を比べもると確実に木乃香が上だと言い切る。
「私は正直貴女が羨ましいとすら思うわ。 私も貴女と同じ頃にいい師に出会えていたらって思うもの」
まさか新堂に凄いと言われると思いもしない木乃香はキョトンとした表情で新堂を見つめるが、新堂はそんな木乃香に嘘偽りなく自身の心を語っていく。
それは彼女が横島の実力と木乃香の才能を理解するが故の感情なのだろう。
確かに新堂は今の木乃香と同じ一年未満の頃は比べると劣ってはいたが、同時に横島のような師匠に出会っていたら自分もやれたとの自負はある。
そういう意味では新堂は木乃香の環境が単純に羨ましいと感じていた。