平和な日常~冬~
結局酔い潰れた高畑は近右衛門が連れて帰ったが、老人である近右衛門が高畑を背負って連れ帰る姿は少し奇妙なものがあった。
ただ流石は麻帆良一の実力者と言われるだけに飄々とした表情で軽々と背負っていたが。
「高畑君には失礼じゃが、彼を見てると出来の悪い子ほど可愛いと言う親の気持ちが少し分かる気がするわい」
一方の横島としては高畑を泊めますよと言ったのだが、高畑の自宅が帰り道にあるのでついでに連れて帰るらしい。
帰り際に近右衛門はもう一度横島に謝った後、ふと高畑に対する自身の想いを語っていた。
実際高畑はその戦闘力においては間違いなく超一流だろう。
しかし理想と現実の狭間で足掻きたった一人で世界に立ち向かおうとする、不器用なまでの想いを近右衛門は放っておけないのかもしれない。
「あの人にとってはこの街も学園も魔法使い達も、全部自分の子供みたいなもんなんだろうな」
そんな二人が帰ると横島は途中だった後片付けと仕込みの続きをしていくが、近右衛門の本当の心を垣間見た気がする。
実のところ高畑に関してはネギの問題に対する責任を問う声が全くなかった訳ではない。
魔法協会の幹部達も心情的には高畑の行動に理解を示し同情的だったが、それでも組織として高畑の行動は問題だったと見る者も居たのだ。
近右衛門はそういった声に対し責任ならば自分が取るからと告げると、一定期間魔法協会の報酬を自主的に返上していた。
まあ元々魔法協会の報酬はさして高額ではないとはいえ、近右衛門が自ら責任を取ると高畑への責任追及の声は止まっている。
元々責任を追及していた者も決して高畑を追い出したい訳ではなく組織としてケジメが付かないからと言う理由で声を上げていたので、近右衛門が責任を取るならばそれ以上言うことはなかった。
ただし今後同じようなことをしないようにと、高畑にも厳重注意処分が下ったのは仕方ないことだろう。
結果的にネギの問題は関東魔法協会にとって重大な損失にはならなかったが、多くの仲間達を危険に晒したことに変わりはない。
中には高畑に対して納得がいかないならば十分に話し合って欲しかったと苦言をこぼした幹部もおり、高畑の実績や人柄故に処分も難しかったことを物語っている。
近右衛門や幹部達が、後の世の為にも悪い前例は残せないと苦心した結果だろう。
尤も横島はそこまで細かい事情を土偶羅から報告を受けてないので知るはずもないが。
ただ現状の横島は魔法協会と紙一重の距離で付き合ってるだけに、近右衛門や魔法協会の人々の苦労を感じているようだった。
「俺も子供みたいなもんか? 流石に親不孝は出来んよなぁ」
高畑を見守る近右衛門は間違いなく親のような暖かさで見守っていた。
そしてそれは部外者のはずの横島に対しても向けられている。
歴史に名を残すほどのカリスマなどない近右衛門が、何故麻帆良を守り抜けたのか横島は分かった気がした。
「無茶をしてるのは似たようなもんでしょうに……」
そして先程酔い潰れた高畑に無茶をし過ぎたと語った近右衛門をふと思い出すと少し笑ってしまう。
あの歳まで現役で無茶をしてるのは近右衛門も同じなのだから。
「まあ俺に出来るのは影からサポートを頼むくらいか」
自分も守られてるなとその有り難みをシミジミと感じる横島だが、残念ながら今の段階で出来るのは土偶羅に頼むくらいである。
明日のさよの弁当のおかずどうしようかと悩みつつ横島は後片付けや仕込みを続けていった
ただ流石は麻帆良一の実力者と言われるだけに飄々とした表情で軽々と背負っていたが。
「高畑君には失礼じゃが、彼を見てると出来の悪い子ほど可愛いと言う親の気持ちが少し分かる気がするわい」
一方の横島としては高畑を泊めますよと言ったのだが、高畑の自宅が帰り道にあるのでついでに連れて帰るらしい。
帰り際に近右衛門はもう一度横島に謝った後、ふと高畑に対する自身の想いを語っていた。
実際高畑はその戦闘力においては間違いなく超一流だろう。
しかし理想と現実の狭間で足掻きたった一人で世界に立ち向かおうとする、不器用なまでの想いを近右衛門は放っておけないのかもしれない。
「あの人にとってはこの街も学園も魔法使い達も、全部自分の子供みたいなもんなんだろうな」
そんな二人が帰ると横島は途中だった後片付けと仕込みの続きをしていくが、近右衛門の本当の心を垣間見た気がする。
実のところ高畑に関してはネギの問題に対する責任を問う声が全くなかった訳ではない。
魔法協会の幹部達も心情的には高畑の行動に理解を示し同情的だったが、それでも組織として高畑の行動は問題だったと見る者も居たのだ。
近右衛門はそういった声に対し責任ならば自分が取るからと告げると、一定期間魔法協会の報酬を自主的に返上していた。
まあ元々魔法協会の報酬はさして高額ではないとはいえ、近右衛門が自ら責任を取ると高畑への責任追及の声は止まっている。
元々責任を追及していた者も決して高畑を追い出したい訳ではなく組織としてケジメが付かないからと言う理由で声を上げていたので、近右衛門が責任を取るならばそれ以上言うことはなかった。
ただし今後同じようなことをしないようにと、高畑にも厳重注意処分が下ったのは仕方ないことだろう。
結果的にネギの問題は関東魔法協会にとって重大な損失にはならなかったが、多くの仲間達を危険に晒したことに変わりはない。
中には高畑に対して納得がいかないならば十分に話し合って欲しかったと苦言をこぼした幹部もおり、高畑の実績や人柄故に処分も難しかったことを物語っている。
近右衛門や幹部達が、後の世の為にも悪い前例は残せないと苦心した結果だろう。
尤も横島はそこまで細かい事情を土偶羅から報告を受けてないので知るはずもないが。
ただ現状の横島は魔法協会と紙一重の距離で付き合ってるだけに、近右衛門や魔法協会の人々の苦労を感じているようだった。
「俺も子供みたいなもんか? 流石に親不孝は出来んよなぁ」
高畑を見守る近右衛門は間違いなく親のような暖かさで見守っていた。
そしてそれは部外者のはずの横島に対しても向けられている。
歴史に名を残すほどのカリスマなどない近右衛門が、何故麻帆良を守り抜けたのか横島は分かった気がした。
「無茶をしてるのは似たようなもんでしょうに……」
そして先程酔い潰れた高畑に無茶をし過ぎたと語った近右衛門をふと思い出すと少し笑ってしまう。
あの歳まで現役で無茶をしてるのは近右衛門も同じなのだから。
「まあ俺に出来るのは影からサポートを頼むくらいか」
自分も守られてるなとその有り難みをシミジミと感じる横島だが、残念ながら今の段階で出来るのは土偶羅に頼むくらいである。
明日のさよの弁当のおかずどうしようかと悩みつつ横島は後片付けや仕込みを続けていった