平和な日常~冬~
「あなた、本当に私とお父様で決めてもよろしいのですか?」
「ああ、現状では仕方ないだろう」
横島と木乃香がスイーツ作りをしている頃、京都の近衛本家では木乃香の父詠春と母穂乃香が一つの件について話をしていた。
「再び世界が動く予感がするんだ。 あの子が知らなかったからと言って相手が配慮してくれるとは思えないしね」
それは詠春が麻帆良から帰ってから、夫婦だけで密かに考え話し合って来たことである。
もうお分かりだろうが、二人は木乃香へ魔法の存在を教える時期について話し合って来たのだ。
本来木乃香へ真実を教えるのはどんなに早くても十六歳で、理想は二十歳かと二人は考えていた。
しかし東西の魔法協会を取り巻く情勢は決して楽観視出来る状況ではない。
本来の歴史では木乃香の修学旅行にて平和ボケとも言えるほどの失態を犯した詠春だが、完全なる世界が健在の影響なのかそれとも横島と会った影響なのか全盛期に近いほどの緊張感と危機感を持っている。
詠春とて近右衛門達の実力は理解してるが、明日菜や創造主が完全なる世界やメガロメセンブリアに見つかればどうなるか分からない。
最悪木乃香を人質に取られる可能性もない訳ではないし、何も知らぬ木乃香や明日菜に真実を隠したまま影から守るのは不可能だとも考えていた。
まあ明日菜の扱いはまた別問題なのだが、せめて木乃香には魔法の存在を教えて周囲を少しでも守りやすくする必要があると考えている。
詠春とて学生時代は穂乃香の護衛をしていたが、穂乃香は早くから魔法の存在を教えられ魔法が使えたので難易度はまるで違う。
普通の女の子としての幸せを願う両親にとってそれは断腸の思いだったが、冷静に考えて完全なる世界やメガロが木乃香を一般人と見ることはないと詠春は理解していた。
「ならば私が麻帆良に行って決めて来ます。 見極めなければなりません。 木乃香と横島忠夫という人を」
この決断をするのに二人がどれだけ苦悩したかは、誰にも知られてないことである。
だが詠春と穂乃香は時が来たのだろうと覚悟を決めた。
残念だが平和を訴え木乃香が無関係だからと手加減してくれるほど世界は甘くない。
守りたいならば立ち上がらねばならないのは、それは近衛家の生まれである穂乃香も青山家の生まれである詠春も理解している。
「それにしても人の縁って面白いわね。 魔法から遠ざけ何も知らないからこそ、木乃香は彼と出会い惹かれていったんですもの」
木乃香にいつ魔法の存在を教えるかは近右衛門との話し合いによるが、それが木乃香のみならず周りの明日菜や横島達にも少なからず影響することは確かだろう。
その影響は慎重に見極めなければならないが、穂乃香は一方で娘が出会った横島という存在に純粋に早く会いたくてウズウズしていたのも本音にはある。
仮に木乃香が幼い頃から穂乃香のように魔法を学び魔法使いとして生きていれば、一般的にはぐれ魔法使いと受け取られている横島との出会いは違ったものになっただろうし現状ほど深入りはしなかったはずなのだ。
近衛家の娘が得体の知れないはぐれ魔法使いの元で働くなど、穂乃香の時代では有り得ないことであった。
僅か十四年だが木乃香が普通の少女として生きた証が横島との出会いなのかもしれないと、穂乃香は期待しながら麻帆良へ行く日程を決めることになる。
「ああ、現状では仕方ないだろう」
横島と木乃香がスイーツ作りをしている頃、京都の近衛本家では木乃香の父詠春と母穂乃香が一つの件について話をしていた。
「再び世界が動く予感がするんだ。 あの子が知らなかったからと言って相手が配慮してくれるとは思えないしね」
それは詠春が麻帆良から帰ってから、夫婦だけで密かに考え話し合って来たことである。
もうお分かりだろうが、二人は木乃香へ魔法の存在を教える時期について話し合って来たのだ。
本来木乃香へ真実を教えるのはどんなに早くても十六歳で、理想は二十歳かと二人は考えていた。
しかし東西の魔法協会を取り巻く情勢は決して楽観視出来る状況ではない。
本来の歴史では木乃香の修学旅行にて平和ボケとも言えるほどの失態を犯した詠春だが、完全なる世界が健在の影響なのかそれとも横島と会った影響なのか全盛期に近いほどの緊張感と危機感を持っている。
詠春とて近右衛門達の実力は理解してるが、明日菜や創造主が完全なる世界やメガロメセンブリアに見つかればどうなるか分からない。
最悪木乃香を人質に取られる可能性もない訳ではないし、何も知らぬ木乃香や明日菜に真実を隠したまま影から守るのは不可能だとも考えていた。
まあ明日菜の扱いはまた別問題なのだが、せめて木乃香には魔法の存在を教えて周囲を少しでも守りやすくする必要があると考えている。
詠春とて学生時代は穂乃香の護衛をしていたが、穂乃香は早くから魔法の存在を教えられ魔法が使えたので難易度はまるで違う。
普通の女の子としての幸せを願う両親にとってそれは断腸の思いだったが、冷静に考えて完全なる世界やメガロが木乃香を一般人と見ることはないと詠春は理解していた。
「ならば私が麻帆良に行って決めて来ます。 見極めなければなりません。 木乃香と横島忠夫という人を」
この決断をするのに二人がどれだけ苦悩したかは、誰にも知られてないことである。
だが詠春と穂乃香は時が来たのだろうと覚悟を決めた。
残念だが平和を訴え木乃香が無関係だからと手加減してくれるほど世界は甘くない。
守りたいならば立ち上がらねばならないのは、それは近衛家の生まれである穂乃香も青山家の生まれである詠春も理解している。
「それにしても人の縁って面白いわね。 魔法から遠ざけ何も知らないからこそ、木乃香は彼と出会い惹かれていったんですもの」
木乃香にいつ魔法の存在を教えるかは近右衛門との話し合いによるが、それが木乃香のみならず周りの明日菜や横島達にも少なからず影響することは確かだろう。
その影響は慎重に見極めなければならないが、穂乃香は一方で娘が出会った横島という存在に純粋に早く会いたくてウズウズしていたのも本音にはある。
仮に木乃香が幼い頃から穂乃香のように魔法を学び魔法使いとして生きていれば、一般的にはぐれ魔法使いと受け取られている横島との出会いは違ったものになっただろうし現状ほど深入りはしなかったはずなのだ。
近衛家の娘が得体の知れないはぐれ魔法使いの元で働くなど、穂乃香の時代では有り得ないことであった。
僅か十四年だが木乃香が普通の少女として生きた証が横島との出会いなのかもしれないと、穂乃香は期待しながら麻帆良へ行く日程を決めることになる。