平和な日常~冬~
さてお互いの実力というか基本的な価値観を理解した一同は、パーティーで披露するスイーツについて話し合いを始める。
パーティーでの料理やスイーツの披露は実のところ新作である必要はなく、料理大会で作ったスイーツや料理を披露する人も結構多い。
というか元々は料理大会で優勝した料理やスイーツを、ホテル側に頼んで作って貰っていたのが本来のパーティーでの料理披露のはずであった。
ただそれがいつの間にか自分達で作るようになったり新作を作ったりと、やることが年々派手になっていった歴史がある。
全ては二十年前に麻帆良祭が商業化した影響だと言われるが、互いに切磋琢磨して優勝した生徒にとって今月のパーティーは最高の晴れの舞台であることに変わりはない。
「大会で作ったスイーツでもいいんだけど……、面白くないのよね」
「うちはお祖父ちゃんがお世話になってる、年配の人達にも喜んでもらえる物がええなって考えてたんです」
「年配者ね。 確かにうちの店も年配者の客層は少ないわ。 面白いかも」
そんな訳で話し合いを始めるのだが基本として新堂はやはり面白くしたいと語るが、木乃香は当然祖父の近右衛門を意識したスイーツを考えていたと語る。
そんな木乃香の考えに新堂は興味を持ったらしく面白そうだと笑みを浮かべた。
そもそも新堂の店は麻帆良では絶大な人気を誇るが、それが老若男女に人気があるかと言われると流石に疑問符がつく。
まあ一部のスイーツは年配者に人気がある物もあるが、新堂のスイーツは贈答用やお土産に買っていく客も多いのでそちらの影響だろう。
「何年か前に和菓子職人が優勝して、パーティーで和菓子を披露したことはあったはずよ」
「へ~、クリスマスパーティーで和菓子っすか」
「本題はクリスマスパーティーなんだけど、料理大会組はあんまり意識しない人も多いわ。 それこそ和食なんかは特にね」
まずは木乃香の意見である年配者といえキーワードから話を組み立てていく新堂だったが、過去二年連続して参加してる上にその以前も優勝者の手伝いとして参加した経験があるらしい。
横島や木乃香が知らない過去の事例を語っていくが、パーティーとしてはクリスマスパーティーが本題だが各個の出席者は必ずしも意識してる訳ではないようだった。
「いっそ和菓子のテイストを盛り込んだスイーツなんてのもアリかもね。 横島さんと近衛さんはそちらも得意なようですから中途半端にならないでしょうし」
「……確かにうちでは和菓子も作ってますけど、よく知ってますね。 メニューに載せてないのに」
話し合いはいつの間にか横島と新堂が大半の発言をするようになっていた。
木乃香や新堂のスタッフ達も黙ってる訳ではないが、どうしても二人が目立つのは仕方ないことだろう。
横島はあくまでも木乃香の意見や考えを形にするように発言をしているが、同時に新堂が思ってた以上に横島達のことに詳しい事実には横島も木乃香も素直に驚いていた。
「この業界、同業者の情報が伝わるのは早いわよ。 貴方の場合は中等部の茶道部に卸してるでしょ? 茶道部は特に学園単位での交流が盛んだから知ってる人は結構居るわ」
本来常連しか知らないはずの和菓子販売を新堂が知っていた事実に驚く横島を見て、新堂は面白そうにくすくすと笑ってしまう。
横島は和菓子に関してもあまり他言しないように頼んではいたが、和菓子のお得意さんである茶道部を中心に結構広がってるらしい。
まあ高等部や大学部の茶道部や茶道サークルの先輩達に誰が作ったか秘密にしろと言うのが、そもそも無理な注文なのだが。
特に二学期からはさよが茶道部に入部したので、さよを経由して注文が今でも来ている。
自宅でも楽しそうに茶道部の話をするさよを思い出すと、情報が伝わるのは仕方ないのかなと横島は少し苦笑いを浮かべていた。
パーティーでの料理やスイーツの披露は実のところ新作である必要はなく、料理大会で作ったスイーツや料理を披露する人も結構多い。
というか元々は料理大会で優勝した料理やスイーツを、ホテル側に頼んで作って貰っていたのが本来のパーティーでの料理披露のはずであった。
ただそれがいつの間にか自分達で作るようになったり新作を作ったりと、やることが年々派手になっていった歴史がある。
全ては二十年前に麻帆良祭が商業化した影響だと言われるが、互いに切磋琢磨して優勝した生徒にとって今月のパーティーは最高の晴れの舞台であることに変わりはない。
「大会で作ったスイーツでもいいんだけど……、面白くないのよね」
「うちはお祖父ちゃんがお世話になってる、年配の人達にも喜んでもらえる物がええなって考えてたんです」
「年配者ね。 確かにうちの店も年配者の客層は少ないわ。 面白いかも」
そんな訳で話し合いを始めるのだが基本として新堂はやはり面白くしたいと語るが、木乃香は当然祖父の近右衛門を意識したスイーツを考えていたと語る。
そんな木乃香の考えに新堂は興味を持ったらしく面白そうだと笑みを浮かべた。
そもそも新堂の店は麻帆良では絶大な人気を誇るが、それが老若男女に人気があるかと言われると流石に疑問符がつく。
まあ一部のスイーツは年配者に人気がある物もあるが、新堂のスイーツは贈答用やお土産に買っていく客も多いのでそちらの影響だろう。
「何年か前に和菓子職人が優勝して、パーティーで和菓子を披露したことはあったはずよ」
「へ~、クリスマスパーティーで和菓子っすか」
「本題はクリスマスパーティーなんだけど、料理大会組はあんまり意識しない人も多いわ。 それこそ和食なんかは特にね」
まずは木乃香の意見である年配者といえキーワードから話を組み立てていく新堂だったが、過去二年連続して参加してる上にその以前も優勝者の手伝いとして参加した経験があるらしい。
横島や木乃香が知らない過去の事例を語っていくが、パーティーとしてはクリスマスパーティーが本題だが各個の出席者は必ずしも意識してる訳ではないようだった。
「いっそ和菓子のテイストを盛り込んだスイーツなんてのもアリかもね。 横島さんと近衛さんはそちらも得意なようですから中途半端にならないでしょうし」
「……確かにうちでは和菓子も作ってますけど、よく知ってますね。 メニューに載せてないのに」
話し合いはいつの間にか横島と新堂が大半の発言をするようになっていた。
木乃香や新堂のスタッフ達も黙ってる訳ではないが、どうしても二人が目立つのは仕方ないことだろう。
横島はあくまでも木乃香の意見や考えを形にするように発言をしているが、同時に新堂が思ってた以上に横島達のことに詳しい事実には横島も木乃香も素直に驚いていた。
「この業界、同業者の情報が伝わるのは早いわよ。 貴方の場合は中等部の茶道部に卸してるでしょ? 茶道部は特に学園単位での交流が盛んだから知ってる人は結構居るわ」
本来常連しか知らないはずの和菓子販売を新堂が知っていた事実に驚く横島を見て、新堂は面白そうにくすくすと笑ってしまう。
横島は和菓子に関してもあまり他言しないように頼んではいたが、和菓子のお得意さんである茶道部を中心に結構広がってるらしい。
まあ高等部や大学部の茶道部や茶道サークルの先輩達に誰が作ったか秘密にしろと言うのが、そもそも無理な注文なのだが。
特に二学期からはさよが茶道部に入部したので、さよを経由して注文が今でも来ている。
自宅でも楽しそうに茶道部の話をするさよを思い出すと、情報が伝わるのは仕方ないのかなと横島は少し苦笑いを浮かべていた。