平和な日常~冬~

最終的にクリスマスグッズは、木乃香達が選んだ物を店に送ってもらい買い物は終わることになった。

タマモのお土産に関しては、サンタクロースのストラップを大量購入している。

元々はクリスマス期間にサービスで配る粗品だったため、大量に購入出来てちょうどよかったのだ。


「暗くなるの早くなったわね」

この日の用事が全て終わりようやく一息つく一行だったが、街はすでに暗くなってしまいネオンの光ですっかり夜の街へと変貌していた。

それは日本では特別珍しい光景ではないが、景観を守るため派手なネオンがない麻帆良ではなかなか見られない光景である。

横島にとって懐かしくもあり寂しくもある東京の夜だった。


「この後どうする? どうせならカラオケでも行こうよ」

「えー、もうお腹空いたよ!」

「カラオケで軽く食べればいいじゃん」

そんな東京の夜の雰囲気に少し昔を懐かしんでいる横島の傍らでは、少女達がこのあとどうするか話していた。

時間的にはそろそろ麻帆良に帰った方がいいのは確かだが、一応大人の横島も居ることだし美砂達と裕奈なんかは少し遊んで帰りたいらしい。


「そういや、またカラオケ行くって行ってなかったな。 少し歌って帰るか」

そのままカラオケに行くか帰って横島の料理で夕食にするかで意見が分かれる少女達だったが、最終的には横島がカラオケに割と乗り気だったのでカラオケに行くことに決まる。

実は横島としては外食でもして帰ろうかと言うが、外食なら帰って横島に作ってもらった方がいいと言われるとどうしようもなかった。

まあ中学生が外食するとなるとリーズナブルなファミレスや麺類や焼肉などになるが、ぶっちゃけ中学生が行くような店は麻帆良でも食べれる物ばかりである。

かと言って横島に好きな店を選ばせるとまた高級な店とかに行きそうなので、みんなで割り勘で気楽に騒げるカラオケがいいと考えたようだ。


「カラオケですか。 私初めてなんです」

「からおけってなに?」

そしてカラオケ初体験のさよとカラオケを知らないタマモを連れた一行は、近くのチェーン店のカラオケに行く。

さよはテレビなんかでカラオケを知っていたらしいが、タマモはカラオケ自体を知らずに二人は物珍しそうにカラオケ店内をキョロキョロと見回しながら自分達の借りた部屋へ入った。


「タマモに歌える曲あるかな~」

部屋に入ると飲み物や食べ物を適当に注文して美砂達を筆頭にさっそく歌うことになるが、タマモとさよは今までにない大音量のカラオケにビックリした様子で固まってしまう。

さよはテレビなんかでカラオケは知っていたらしいが想像以上の音量に驚いたらしいし、タマモに至っては聴覚が鋭いので余計に驚いたようだ。

まあそれでも二人はすぐに雰囲気にも慣れて、自分も歌いたいと歌える歌を探していくことになる。

結局タマモは横島や少女達と一緒に何曲か歌うのだが、リズムや音程を理解してないので最初の頃は微妙にズレて歌っていたが本人は本当に楽しそうだった。

それでも途中で千鶴が歌い方を教えると、最後には周りがビックリするくらい成長していたが。

ちなみにタマモが歌った歌は最近の歌ではなく少し古い懐メロであった。

その理由としてタマモが見るテレビなんかはハニワ兵とさよと一緒なので、あまり最近の歌が聞けるような番組を見ないからである。

何はともあれこの日は楽しいお出かけになったようだった。



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