平和な日常~春~
発表会も無事に終わった数日後の早朝、横島は日課となっていた庭の水やりと草むしりをしていた
引っ越して来た頃は一部の花壇や果物の木以外は殺風景だった庭だが、春の季節もあってすでに緑鮮やかな庭になり始めている
横島が植えた花や野菜はすでに芽を出しすくすくと成長しており、その成長は日々分かるほどに早いものだった
加えてネコハウスを作って以来、野良猫がフラリと庭に来ては去っていく事もあり賑やかな風景になっている
庭は高い塀で囲まれてるのだが、野良猫達はどこからか自由に出入りしてるらしい
「そろそろいいかな?」
そしてこの日横島が見ていたのは、庭いじりを始めた当初に植えたラディッシュの畑だった
ラディッシュとは日本では二十日大根と呼ばれる野菜で、収穫が早く初心者向けの作物である
試しにといろいろな花や野菜を植えたのだが、これが一番最初に収穫出来るようになっていた
(自分で植えた物を収穫出来するのが、こんなに楽しいとは思わなかったな)
麻帆良に来て以来ずっと穏やかな日々が続いていた横島だが、新しい発見の連続でもあった
歴史すらも消し去るほどの不毛な戦いの日々を過ごして来た横島にとって、植物の育つ姿は力強さすら感じるほど眩しいものである
人間ならば誰でも感じる普通のモノが、今の横島にとってはとても貴重なモノに感じてしまう
「今日の朝食はこれを使うか」
収穫したラディッシュは土を落とし水で軽く洗ったのち、店の厨房に運んで朝食の一品にする事にした
さほど量がある訳ではないが、朝食の定食もまたさほど注文がある訳ではない
実は酢の物にして葉っぱはみそ汁の具にするなど、全てを使い切る予定である
ちなみに朝の厨房はかなり忙しい
朝食の定食だけでも和風と洋風の二種類あるし、日替わり限定ランチもある
その他にも普通の喫茶店らしいメニューの仕込みなどを行うため、一日で一番忙しい時間が朝だった
基本的に自分で作れる物は自分で作るのが横島の基本である
まあ時間の関係で異空間アジトのハニワ兵にサポートはさせてるが、それでも朝は忙しかった
「こんなものかな」
料理の仕込みが終わると店を開店するが、この日の最初の客は意外にも葛葉刀子である
「おはようございます。 今日も綺麗ですね~」
「ありがと、朝食の和風定食お願いね」
来店するたびに綺麗だと褒める横島に、刀子は少し遠慮がちな笑みで答えていた
横島の言葉が挨拶のようなモノなのだと理解してるからなのだが、それでも褒められて悪い気をするはずがない
「もう学校に出勤っすか? 早いっすねー」
時間は7時を回ったばかりだというのに、すでにピシッとしたスーツを着てる刀子に横島は少し驚いている
夜も遅い刀子がこれほど朝早くから出勤だとは思わなかったらしい
「もうすぐ定期テストと麻帆良祭があるから、この時期の教師は忙しいのよ。 特に麻帆良祭は規模が規模だから……」
朝からニコニコとした笑顔の横島に、刀子は少し疲れたような表情を浮かべる
引っ越して来た頃は一部の花壇や果物の木以外は殺風景だった庭だが、春の季節もあってすでに緑鮮やかな庭になり始めている
横島が植えた花や野菜はすでに芽を出しすくすくと成長しており、その成長は日々分かるほどに早いものだった
加えてネコハウスを作って以来、野良猫がフラリと庭に来ては去っていく事もあり賑やかな風景になっている
庭は高い塀で囲まれてるのだが、野良猫達はどこからか自由に出入りしてるらしい
「そろそろいいかな?」
そしてこの日横島が見ていたのは、庭いじりを始めた当初に植えたラディッシュの畑だった
ラディッシュとは日本では二十日大根と呼ばれる野菜で、収穫が早く初心者向けの作物である
試しにといろいろな花や野菜を植えたのだが、これが一番最初に収穫出来るようになっていた
(自分で植えた物を収穫出来するのが、こんなに楽しいとは思わなかったな)
麻帆良に来て以来ずっと穏やかな日々が続いていた横島だが、新しい発見の連続でもあった
歴史すらも消し去るほどの不毛な戦いの日々を過ごして来た横島にとって、植物の育つ姿は力強さすら感じるほど眩しいものである
人間ならば誰でも感じる普通のモノが、今の横島にとってはとても貴重なモノに感じてしまう
「今日の朝食はこれを使うか」
収穫したラディッシュは土を落とし水で軽く洗ったのち、店の厨房に運んで朝食の一品にする事にした
さほど量がある訳ではないが、朝食の定食もまたさほど注文がある訳ではない
実は酢の物にして葉っぱはみそ汁の具にするなど、全てを使い切る予定である
ちなみに朝の厨房はかなり忙しい
朝食の定食だけでも和風と洋風の二種類あるし、日替わり限定ランチもある
その他にも普通の喫茶店らしいメニューの仕込みなどを行うため、一日で一番忙しい時間が朝だった
基本的に自分で作れる物は自分で作るのが横島の基本である
まあ時間の関係で異空間アジトのハニワ兵にサポートはさせてるが、それでも朝は忙しかった
「こんなものかな」
料理の仕込みが終わると店を開店するが、この日の最初の客は意外にも葛葉刀子である
「おはようございます。 今日も綺麗ですね~」
「ありがと、朝食の和風定食お願いね」
来店するたびに綺麗だと褒める横島に、刀子は少し遠慮がちな笑みで答えていた
横島の言葉が挨拶のようなモノなのだと理解してるからなのだが、それでも褒められて悪い気をするはずがない
「もう学校に出勤っすか? 早いっすねー」
時間は7時を回ったばかりだというのに、すでにピシッとしたスーツを着てる刀子に横島は少し驚いている
夜も遅い刀子がこれほど朝早くから出勤だとは思わなかったらしい
「もうすぐ定期テストと麻帆良祭があるから、この時期の教師は忙しいのよ。 特に麻帆良祭は規模が規模だから……」
朝からニコニコとした笑顔の横島に、刀子は少し疲れたような表情を浮かべる