平和な日常~秋~3

その日も午後になると学校帰りの学生を中心に店は賑わうが、タマモは相変わらず昨日のお土産としてスイートポテトを嬉しそうに配り常連の人々に可愛がられていた。


「そういえば横島さんやタマちゃんの誕生日っていつなん?」

すっかり恒例となったタマモのお土産配りは店の名物の一つになりつつあるが、そんな光景を見ていた木乃香はタマモの誕生日を知らないことに気付き横島に尋ねる。

実は来たる十一月十六日は夕映の誕生日であり、木乃香はプレゼントをどうしようか悩んでるらしい。

その過程で木乃香はタマモや横島の誕生日を知らないことに気付き尋ねたようだ。


「俺は六月二十四日でタマモは六月三十日だよ」

「そうなんや~、二人とも誕生日近いんやね。 いいんちょとも近いわ」

木乃香の問い掛けに横島はすぐに答えるが、タマモの誕生日に関しては横島が封印から解放した日にしている。

ちなみにさよに関しては誕生日は三月三日であり、これは土偶羅が調べたさよの本当の誕生日だ。

さよ本人は覚えてないが横島が教えて学校に通う際の資料なんかにも記載してある。


「今年はタマモがちょうど家に来た日だったからな」

「そうなんや~ それでな、夕映の誕生日が近いんやけどプレゼントなにがええかと思って」

横島達の誕生日をメモした木乃香は本題に入るが、夕映への誕生日を悩んでるらしい。

そもそも2-Aの少女達は全体的にクラスの仲はいいが、それでも誕生日にプレゼントをあげる友人はあまり多くないようだ。

木乃香の場合は明日菜・のどか・夕映・ハルナ・あやかくらいのようである。

この辺りは基本的に付き合いの長さや趣味嗜好が合う友人にはあげてるらしい。

まあ中学生の身分だと金銭的な問題もあって、送る相手をあまり増やせないのだろう。

尤も木乃香は横島の店でバイトを始めてから交遊関係の幅が大幅に広がっており、この先は誕生日にプレゼントを送る相手が増えそうではあったが。

実際のところ美砂達なんかは横島の店を手伝ってから親しくなった友人であり、それまでは仲が悪い訳ではないが学校外で遊ぶほど仲が良かった訳でもなかったのだ。


「夕映ちゃんだと食い物だったら甘い物とか、物だとやっぱ本とかが無難なんだろうな」

「本は去年あげたんや」

夕映への誕生日プレゼントを考える横島だったが、基本的に横島は女の子に気の利いたプレゼントなんてした経験はない。

その結果横島が思いついたのは無難というか本当に普通のプレゼントだった。


「俺もなんか贈ろうかな。 世話になってるし」

「あんまり高い物はあかんえ」

そのまま木乃香と一緒に夕映のへの誕生日プレゼントの話をしていく横島だが、自分も夕映には世話になってるし日頃の感謝を込めてプレゼントしようかと考えるが、木乃香はすかさず高価なプレゼントはダメだと釘を刺す。

間違っても一万は越えないようにと念を押すのは、木乃香が横島をよく理解している証であろう。




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