平和な日常~秋~3

さて芋掘りを終えた一同は、さっそくたき火を起こして焼き芋を作ることになる。

おばあちゃんの家は先祖代々地主だったらしく、家の敷地もとにかく広い。

ちょうど季節的にたき火の燃料になる落ち葉なども多く、薪は果樹の剪定などで出た木の枝などを乾燥させた物を使うようだ。

さつまいもはアルミホイルで包み、頃合いを見計らって火の近くに置き焼くだけである。

おばあちゃんは焼き芋の準備をすると火の番を半数の少女達に任せ、残り半分を連れて自宅に戻り他の野菜料理の調理に取り掛かることになった。


「最近の子達の口に合うといいけどねぇ」

おばあちゃんの家は元々はかなり古い建物らしく、キッチンというか台所が広い典型的な昔の農家の造りである。

まああちこち改築しており流石に土間なんてことはなく、立派なシステムキッチンがあるが現代のキッチンにはない広さが印象的だった。

おばあちゃんと一緒に料理の手伝いに来たのは横島・伸二・刀子・シャークティ・木乃香・のどか・あやか・千鶴の八名だが、おばあちゃんは少女達が喜ぶか少し心配な様子だ。


「大丈夫っすよ」

「そうや、みんな楽しみにしてるえ」

「そうかい? そうだ貰い物だけどきのこもあったね。 新米で炊き込みご飯でも作ろうか」

そんなおばあちゃんの心配を全く理解してないかのように横島と木乃香が声をかけると、おばあちゃんも少し安心したのか料理を始める。

最近ようやく精米した今年の新米と友人から貰ったという山で採ったきのこなど、予定になかった食材なんかも追加して調理は順調に進んでいく。



同じ頃火の番をしてるはずの少女達だが、こちらは夕映とハルナなどが火の番をする一方でおばあちゃんの家の畑や納屋や蔵などを見ている少女達も多かった。

正直さほど珍しい物がある訳ではないが、西洋建築や近代的な建物が多い麻帆良の人間にとっては珍しい物が多いようだ。

気分的にはピクニックかキャンプのような感じらしいが。


「次は楓姉が鬼だよ」

そしてタマモは何故か鳴滝姉妹・ココネ・美空・楓・古菲・桜子・まき絵・裕奈などとかくれんぼをしていた。

理由は特にないが鳴滝姉妹辺りが言い出しっぺらしく、ノリのいいメンバーを中心に遊び始めたらしい。


「うわ! もう見つかった! かえで姉とくーふぇは見つけるの早過ぎるよ!?」

そんな賑やかに続くかくれんぼだが、どうしても見つける人の能力に差が出てしまい鳴滝姉妹なんかは面白くないらしく愚痴り始める。


「二人とも修行が足りないでござるな」

「そうアル。 戦場ではもっと気配を消さないと生き残れないアル」

「ここは戦場じゃなくおばあちゃん家だよ!」

すぐに見つかって面白くないと文句を言う鳴滝姉妹に楓と古菲は修行が足りないと告げ気配を消すように言うが、鳴滝姉妹やまき絵なんかは二人のレベルは無理だと抗議していた。


「タマちゃん気配って分かる?」

「わかんない」

ちなみにタマモと桜子は二人で一緒に隠れるおかげか、このメンバーでは一番見つかりにくく鬼が回ってこないまま楽しんでいたりする。



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