平和な日常~秋~3

次の朝は少し曇りのあいにくの天気だったが、幸いなことに雨が降る様子はない。

さてこの日の参加者は横島・タマモ・さよに宮脇兄妹と木乃香達四人・ハルナ・美砂達三人・まき絵達運動部四人・あやか・夏美・千鶴・楓・鳴滝姉妹・古菲・美空・ココネに刀子・シャークティ・高畑・明石の四人の教師が加わったメンバーだった。

合計三十名でのお出かけになったが、これでも人数を抑えた方なのだろう。

顔ぶれ的に夏の海水浴に近いメンバーが集まったが、今回は初参加のココネが居る。

例によって学園の観光バスを借りての移動になるが、参加者の人数とテンションに伸二が唖然としていたのが特徴かもしれない。


「この子はココネ。 うちの教会で預かってる子なんでよろしくね」

「よろしくお願いします」

今回も集合場所が女子寮になっていたので横島達も含めて女子寮の前に集まる一同だったが、全員が集まると美空がココネをクラスメートに紹介する。

相変わらず表情に乏しく無口なココネであったが、今日集まった少女達はさほど気にする訳でもなく自己紹介して挨拶を交わしていく。


「わたしはタマモ」

そしてココネに初対面のタマモもみんなと一緒に挨拶していくが、ココネもタマモも互いにほんの僅かだが不思議そうな表情をする。

双方共に何かを感じたというほどではないのだろうが、微かな違和感を感じたのは確かだろう。


「どうでもいいかもしれんが、今日は農家とか行くんだがいいのか? 正直女子中学生が好きな行き先には思えんが」

海と果物狩りに続き三回目の今回は流石に手慣れた感じがある一同だが、横島は正直女子中学生がこんなにたくさん集まった理由がわからず不思議そうだ。

海や果物狩りと違い今回は、若い女の子が楽しめる要素はあんまりないと思っていたのだから。


「いいの、いいの。 きっと面白くなるから」

そのまま相変わらずの軽いテンションで賑やかなまま一同を乗せたバスは出発するが、どうやら少女達は行き先なんかを気にしてない者が多いらしい。

中には横島が居ればなんか面白いことが起きるだろうと、気楽に考える者も結構いる。


「……凄いですね」

そして女子中学生のテンションとノリに一番着いていけなかったのは、日頃中学生に関わる機会のない伸二だった。

というか何故これほど女の子が集まるのかと不思議そうである。


「うちでなんかやると、だいたいこんな感じなんっすよ」

不思議そうな伸二に横島は改めて考えると確かに驚くのが普通なんだろうとシミジミと感じるが、実際横島の店では少なくとも月に一回はパーティーと称して2-Aの少女達の貸し切りになるので今更だった。

タマモに至ってはそれが普通だと思ってるようで、みんなで騒げる日を普通に楽しみにしていたりもする。

何はともあれ今回のお出かけも順調に出発していた。


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