平和な日常~秋~3
その際に横島と店も木乃香の紹介と一緒に少しだが登場していた。
横島に関していえば報道部の新聞には何度か書かれたがマスコミ嫌いとの噂もあり、同じ報道部でも映像として出たのは噂好きな人達には少し意外だったらしい。
「宣伝なんて不要なのよ。 恐らくリピーター率が高いんだと思うわ」
友人達の話に新堂はクスッと笑うと宣伝など必要ないと言い切る。
彼女は先程からゆっくり食事をしながら店内を見ていたのだが、客のほとんどが楽しげな笑顔で自由な時間を過ごしているのを見ていた。
中には勉強をしてる学生も居るし、テーブルゲームやカードゲームで遊ぶ者もいる。
恐らく客単価と回転率は良くないだろうが、固定客は多いだろうと見ていた。
「リピーターねぇ。 正直腕前ほど儲かってるようにはあんまり見えないけど」
「お金が欲しいなら本格的なレストランでもやってるはずよ。 喫茶店で出すレベルの料理じゃないもの」
新堂の言葉に友人は、お世話にも儲かってるようには見えない店内に軽く首を傾げる。
確かに店内は結構客が入ってるが大半が食事をしてない学生であり、売り上げになりそうなのは持ち帰り販売くらいなのに気付いていた。
ただ新堂は全て横島の方針だろうと言い切る。
正直横島の店からは儲けようという意識は皆無と言っていいほど見えない。
半ば道楽でやってるような店にも見えるが、お金を儲けようと考えないからこそ常連が多いのだろうとも思う。
儲けようという意識も無ければ堅苦しい接客もない横島の店は、本当に居心地がいいのだ。
「昔はこんな店が多かったんでしょうね」
それは喫茶店と言うよりは、古い映画で見る昔の駄菓子屋のような雰囲気だった。
誰でも気軽に入れて好きなように時間を過ごす横島の店は、画一的なサービスが当然になった現代では珍しい店である。
「いらっしゃい、来てくれたんっすね」
そのまま新堂と友人達の食事は続くが、食べ終わる頃になると横島が挨拶に来ていた。
彼女達はちょうどお昼時に来たので横島も忙しく、なかなか顔を出せなかったのだ。
「本当に居心地がいい店ね」
「そう言って貰えると嬉しいですよ」
挨拶に来た横島は相変わらず腰が低いというか、普通に見るとバイトの兄ちゃんにしか見えない。
だが新堂はそんな横島だからこそ、自分にない何かを感じずにはいられないようである。
そもそも横島の技術や経験は仲間から受け継いだモノだが、それをどう判断し使うかは横島次第であった。
そうい意味では横島の作る料理には横島らしさが出ている。
「一旦、店を休んで弟子入りしようかしら?」
「またまた~、まあそこまで褒められると悪い気はしないですけど」
楽しげな店内に穏やかな笑顔を見せていた新堂だが、突然横島に弟子入りしようかと言い出し友人達は慌てたように驚く。
横島はそれに対し完全に冗談として返すが、彼女が以前にも三ヶ月ほど店を休んで修業にいったことを知る友人達は半信半疑な様子だった。
「もし本気だと言ったら?」
「店を休んで修業は必要ないですよ。 空いた時間にでもお茶を飲みに来て頂ければ、そのうち知りたいことが見えると思いますしね」
あくまでも冗談にしたい横島は笑ってごまかすが、新堂は結構本気だった。
結局横島は弟子入りは断りつつも、新堂が求めるモノが知りたいならば教えるという意味合いの言葉で収めるしかなかった。
横島に関していえば報道部の新聞には何度か書かれたがマスコミ嫌いとの噂もあり、同じ報道部でも映像として出たのは噂好きな人達には少し意外だったらしい。
「宣伝なんて不要なのよ。 恐らくリピーター率が高いんだと思うわ」
友人達の話に新堂はクスッと笑うと宣伝など必要ないと言い切る。
彼女は先程からゆっくり食事をしながら店内を見ていたのだが、客のほとんどが楽しげな笑顔で自由な時間を過ごしているのを見ていた。
中には勉強をしてる学生も居るし、テーブルゲームやカードゲームで遊ぶ者もいる。
恐らく客単価と回転率は良くないだろうが、固定客は多いだろうと見ていた。
「リピーターねぇ。 正直腕前ほど儲かってるようにはあんまり見えないけど」
「お金が欲しいなら本格的なレストランでもやってるはずよ。 喫茶店で出すレベルの料理じゃないもの」
新堂の言葉に友人は、お世話にも儲かってるようには見えない店内に軽く首を傾げる。
確かに店内は結構客が入ってるが大半が食事をしてない学生であり、売り上げになりそうなのは持ち帰り販売くらいなのに気付いていた。
ただ新堂は全て横島の方針だろうと言い切る。
正直横島の店からは儲けようという意識は皆無と言っていいほど見えない。
半ば道楽でやってるような店にも見えるが、お金を儲けようと考えないからこそ常連が多いのだろうとも思う。
儲けようという意識も無ければ堅苦しい接客もない横島の店は、本当に居心地がいいのだ。
「昔はこんな店が多かったんでしょうね」
それは喫茶店と言うよりは、古い映画で見る昔の駄菓子屋のような雰囲気だった。
誰でも気軽に入れて好きなように時間を過ごす横島の店は、画一的なサービスが当然になった現代では珍しい店である。
「いらっしゃい、来てくれたんっすね」
そのまま新堂と友人達の食事は続くが、食べ終わる頃になると横島が挨拶に来ていた。
彼女達はちょうどお昼時に来たので横島も忙しく、なかなか顔を出せなかったのだ。
「本当に居心地がいい店ね」
「そう言って貰えると嬉しいですよ」
挨拶に来た横島は相変わらず腰が低いというか、普通に見るとバイトの兄ちゃんにしか見えない。
だが新堂はそんな横島だからこそ、自分にない何かを感じずにはいられないようである。
そもそも横島の技術や経験は仲間から受け継いだモノだが、それをどう判断し使うかは横島次第であった。
そうい意味では横島の作る料理には横島らしさが出ている。
「一旦、店を休んで弟子入りしようかしら?」
「またまた~、まあそこまで褒められると悪い気はしないですけど」
楽しげな店内に穏やかな笑顔を見せていた新堂だが、突然横島に弟子入りしようかと言い出し友人達は慌てたように驚く。
横島はそれに対し完全に冗談として返すが、彼女が以前にも三ヶ月ほど店を休んで修業にいったことを知る友人達は半信半疑な様子だった。
「もし本気だと言ったら?」
「店を休んで修業は必要ないですよ。 空いた時間にでもお茶を飲みに来て頂ければ、そのうち知りたいことが見えると思いますしね」
あくまでも冗談にしたい横島は笑ってごまかすが、新堂は結構本気だった。
結局横島は弟子入りは断りつつも、新堂が求めるモノが知りたいならば教えるという意味合いの言葉で収めるしかなかった。