平和な日常~秋~2

「ありがと、わたしからもおかしだよ」

お菓子を貰ったタマモは嬉しそうに笑顔を見せるとお返しだと言って、ハロウィンのイラストの小袋に入ったお菓子を渡す。

それは店で配るお菓子とは別物のタマモのお返し用のお菓子だった。


「うわ、ハロウィンにお菓子貰うなんて何年ぶりかしら」

予期せぬお返しを貰ったのは女子大生だったが、流石に驚き笑っている。

タマモが何かとお返しやお土産好きなのは知っているが、流石にハロウィンに子供からお返しを貰うとは思わなかったらしい。


「こどもばっかりもらうのはおかしいもんね」

驚きながらも相手が喜ぶ様子にタマモは満足そうだったが、不思議そうな相手にタマモは子供ばかり貰うのはおかしいと言い切る。

そんなタマモの言葉に女子大生はなんか違うと感じつつも、改めて優しい子だとシミジミ思う。

その後も放課後の時間になると馴染みの女子高生が店に訪れてはタマモにお菓子をあげに来るが、お返しにとお菓子を貰うとみんな驚きつつも喜んでいた。

ハロウィンと違うとみんな感じるが、そこまで細かく気にする者は居ないしこれはこれでいいと感じる。



一方の店はやはり日頃はあまり来ないような小学生の姿が多かった。

スイーツが評判な影響からか相変わらず女子の比率が多いが、それでも四割ほどは男子小学生もいる。


「スゲー、これがチャンピオンのマシンか!」

オバケにコスプレした小学生達はワクワクと期待を膨らませた様子でお菓子を貰うが、同時に男子小学生に注目を集めていたのはガラスケースに入れられて飾られている横島のミニ四駆ペガサスとプテラノドンだった。

そもそもの始まりは体育祭のミニ四駆大会で優勝したことだが、大会後も時々ミニ四駆を見せてほしいとか勝てる方法を教えてほしいと訪ねてくる子供が稀にいたのだ。

ハロウィンウイークは特に目立つほど何かをやる気はなかった横島だが、せっかくだからと店の一角にミニ四駆を飾ってみたのである。

一切宣伝もしてないので来た子供は驚くが、少ないながらミニ四駆大会に参加した子や見た子が来たこともあり割と評判はよかった。


さて肝心の横島の店で配るお菓子だったが、スティックタイプのケーキの三本セットである。

味もそれぞれ違っており、定番のチーズなんかもあれば小豆もあった。

当初横島は大福でも作ろうかなと木乃香達と相談したのだが、横島の店は基本的に洋菓子で有名なので洋菓子の方が喜ばれるだろうという話になりスティックタイプのケーキになっている。

ちなみに大福はタマモが配るお菓子になったが、こちらは一口大福であり中身も小豆だけでなくチョコやクリームなどであった。

タマモがお菓子を配る相手は基本的には顔なじみなので、洋菓子でなくとも大丈夫だろうと考えたらしい。

どちらのお菓子も喜んで貰えてるようだったが、特に子供達は小さいながらケーキを貰えたことで喜んでいた。

他にも横島の店ではハロウィンウイーク期間中は、かぼちゃのスイーツを日替わりで特別価格で販売している。

この日はかぼちゃのプリンが一つ八十円で販売しており、こちらはいつものお客以外のお菓子を貰いに来た小学生でも買える値段であり喜ばれていた。


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