平和な日常~秋~2

それから数日の横島はハロウィンの準備をして日にちが過ぎていく。

途中で納涼祭の会議にも出席したが、こちらは結局のところ来年も横島が主催者になることで固まりつつある。

あやかは一応新しい主催者を探したらしいが、任せられる人は居なかったということだった。

野心溢れる大学生は何人か候補に上がり本人はやる気だったのだが、納涼祭実行委員会の中心メンバーである大学生達の反応が芳しくなかったのだ。

何より今年の納涼祭を成功させた立役者である大学生達は、みんなで楽しめるお祭りという形を崩したくないというのが大きい。

加えてやる気があってもスポンサーの問題を解決できる人材は居なかったということもある。

実際に実行委員会を仕切っていたのはあやかと超鈴音だったが、麻帆良最強の頭脳との異名を持つ超は特に大学生達に評判がよかった。

あやかと一緒に大学生達を立てつつ仕切っている二人だから今のところ実行委員会は機能しているが、下手に野心溢れる大学生が入ると人間関係から作り直さなければならない。

最終的に横島は何にもしなくてもいいから続けて欲しいと纏まったのである。

従って今回の会議の内容は主に資金面と会場について話し合われたが、資金面に関しては今年と同じく芦コーポレーションが既に資金提供を決定しているが、雪広・那波両グループも資金提供の意志を示していた。

具体的には詰める話がまだ残っているが、雪広と那波は芦コーポレーションの将来性と横島個人への期待値を含めた評価で支援を決定しており、芦コーポレーションを含めて三社での話し合いになる予定らしい。

まあこれには納涼祭の後に芦コーポレーションは麻帆良学園の支援に参加したことも影響しており、体育祭で披露した芦コーポレーションの高い技術力に雪広・那波両グループが注目していることも影響しているが。


実は麻帆良学園は魔法協会の影響でサイバー犯罪への対策は日本でもトップクラスだが、それは電子精霊を用いた対策であるという問題点もある。

対策としてはとても有効なのだが秘匿技術である電子精霊を安易に広めることは不可能であり、実質的には学園と雪広・那波など魔法協会と関係が深い者しか恩恵に預かれてない。

早い話が魔法協会を知らぬ末端の支援企業にも広めることが出来るような通常の対策手段の構築が急がれていた。

最終的には電子精霊と組み合わせて学園側の防備も高めたいとの思惑もあるが。

何はともあれ芦コーポレーションは着実に麻帆良に根付き始めている。

全ては土偶羅の計画通りに。



「こんな感じですかね?」

さて横島の店では夕映とのどかが、店内にハロウィンの飾り付けをしていた。

スイーツのショーケースやカウンターにちょっとした飾りをするだけで、店内はハロウィンの雰囲気になっていく。

この時期麻帆良ではハロウィンのグッズがよく売っているので、飾り付けの小物には困ることはないらしい。

元々店のメニューやショーケースのポップなどは全て夕映とのどかが書いており、二人はこの手の作業に慣れている。

彼女達の場合は友人のハルナの同人誌作りに協力したおかげでこの手の作業は得意だったのだ。



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