平和な日常~秋~2
その後仕事を終えて二階に上がった横島を待っていたのは、純粋な瞳で横島のアルバムが見たいと言い出したタマモとさよだった。
「アルバムかぁ……」
突然のお願いに横島は驚きを隠せないが、どうしたものかと困ってしまう。
正直二人にアルバムを見せるのは構わないが、問題は二人を通してアルバムの存在を知れば木乃香達や美砂達も見たがる可能性があるということだ。
横島の経歴は嘘の固まりであり、過去の写真も当然そのまま見せる訳にはいかない。
そもそも横島はこの世界では両親と共に海外を転々としていたとの経歴にしたが、横島の昔の写真は当然前の世界の日本での写真しかなかった。
まあタマモとさよくらいになら違う世界から来たと明かしてもいいのだが、他の少女達がいつ同じことを言い出すか分からない以上考えねばならないことである。
(いっそ偽のアルバムでも作るか?)
そもそも横島が海外に居たとの経歴は、日本の場合だと学校の経歴だけを偽造しても同級生なんかに聞けばすぐに嘘だとばれるからだった。
まさか横島の経歴だけの為に無関係な人を洗脳する訳にもいかないので、発展途上国などを両親と転々としていたとしか言いようがなかったのだ。
(なんか罪悪感があるけど……)
偽のアルバムを作ることに罪悪感を感じる横島だが、だからといって木乃香達に異世界から来たなど言えるはずがない。
横島の平穏な暮らしの為にも、木乃香達の平穏な暮らしの為にもつかなければならない嘘である。
「アルバムはさ、ここには持って来てないんだ。 ハニワ兵の故郷に預けてある。 だから今度暇を見つけて遊びに行った時に見せるよ」
そして横島が一番悩むのは、タマモとさよにどこまで真実を告げるかだった。
異世界から来たことは正直教えてもいいのだが、二人に教えれば当然木乃香達にばれる危険性が高くなる。
まあ現状でも二人は幽霊なことや妖怪であることを隠しているので秘密を守れる気もするが、どっかで綻びが出来てばれる可能性は無くはない。
とりあえず以前にも約束したハニワ兵の故郷と教えている異空間アジトには、いずれ連れていくつもりなのでそこで見せる約束をする。
向こうで見た物を秘密だと教えれば大丈夫だろうと考えたようだ。
「よかったね」
「うん、たのしみ」
アルバムを見せてくれると聞いた二人は笑顔になり素直に喜んでいた。
ハニワ兵も何故か嬉しそうに二人に混じっているし、そんな光景を見れば横島は二人には嘘をつけないなとシミジミ思う。
ここで嘘をつくと二人の心に大きな傷を残す可能性がある。
(どのみち長い付き合いになるんだしな)
木乃香達はいずれ横島の元を離れ人として幸せになるだろうと横島は勝手に考えているが、二人には人としての普通の幸せは簡単ではない。
やがて横島が麻帆良を離れる時が来ても、二人が望めば連れて行かねばならないと覚悟を決めている。
教えるべき時なんだろうと横島は思う。
少なくとも異なる世界から来た事実は伝えねばならない。
やがてタマモが大きくなりさよの霊体が安定した時、二人は自分達が信頼されてなかったと感じるようなことは横島には出来なかった。
しかしこの時の横島は一つだけ考え違いをしていた。
それは自身の存在感の大きさに横島本人が気付いてないことである。
高畑の指摘は見事に横島の欠点をついていたのだ。
そして少女達が自ら選んだ未来を、横島が否定出来ないことも気付いてなかった。
「アルバムかぁ……」
突然のお願いに横島は驚きを隠せないが、どうしたものかと困ってしまう。
正直二人にアルバムを見せるのは構わないが、問題は二人を通してアルバムの存在を知れば木乃香達や美砂達も見たがる可能性があるということだ。
横島の経歴は嘘の固まりであり、過去の写真も当然そのまま見せる訳にはいかない。
そもそも横島はこの世界では両親と共に海外を転々としていたとの経歴にしたが、横島の昔の写真は当然前の世界の日本での写真しかなかった。
まあタマモとさよくらいになら違う世界から来たと明かしてもいいのだが、他の少女達がいつ同じことを言い出すか分からない以上考えねばならないことである。
(いっそ偽のアルバムでも作るか?)
そもそも横島が海外に居たとの経歴は、日本の場合だと学校の経歴だけを偽造しても同級生なんかに聞けばすぐに嘘だとばれるからだった。
まさか横島の経歴だけの為に無関係な人を洗脳する訳にもいかないので、発展途上国などを両親と転々としていたとしか言いようがなかったのだ。
(なんか罪悪感があるけど……)
偽のアルバムを作ることに罪悪感を感じる横島だが、だからといって木乃香達に異世界から来たなど言えるはずがない。
横島の平穏な暮らしの為にも、木乃香達の平穏な暮らしの為にもつかなければならない嘘である。
「アルバムはさ、ここには持って来てないんだ。 ハニワ兵の故郷に預けてある。 だから今度暇を見つけて遊びに行った時に見せるよ」
そして横島が一番悩むのは、タマモとさよにどこまで真実を告げるかだった。
異世界から来たことは正直教えてもいいのだが、二人に教えれば当然木乃香達にばれる危険性が高くなる。
まあ現状でも二人は幽霊なことや妖怪であることを隠しているので秘密を守れる気もするが、どっかで綻びが出来てばれる可能性は無くはない。
とりあえず以前にも約束したハニワ兵の故郷と教えている異空間アジトには、いずれ連れていくつもりなのでそこで見せる約束をする。
向こうで見た物を秘密だと教えれば大丈夫だろうと考えたようだ。
「よかったね」
「うん、たのしみ」
アルバムを見せてくれると聞いた二人は笑顔になり素直に喜んでいた。
ハニワ兵も何故か嬉しそうに二人に混じっているし、そんな光景を見れば横島は二人には嘘をつけないなとシミジミ思う。
ここで嘘をつくと二人の心に大きな傷を残す可能性がある。
(どのみち長い付き合いになるんだしな)
木乃香達はいずれ横島の元を離れ人として幸せになるだろうと横島は勝手に考えているが、二人には人としての普通の幸せは簡単ではない。
やがて横島が麻帆良を離れる時が来ても、二人が望めば連れて行かねばならないと覚悟を決めている。
教えるべき時なんだろうと横島は思う。
少なくとも異なる世界から来た事実は伝えねばならない。
やがてタマモが大きくなりさよの霊体が安定した時、二人は自分達が信頼されてなかったと感じるようなことは横島には出来なかった。
しかしこの時の横島は一つだけ考え違いをしていた。
それは自身の存在感の大きさに横島本人が気付いてないことである。
高畑の指摘は見事に横島の欠点をついていたのだ。
そして少女達が自ら選んだ未来を、横島が否定出来ないことも気付いてなかった。