平和な日常~秋~2
同じ頃、二階のリビングではハニワ兵が編み物をしていた。
秋もすっかり深まりつつあるこの頃、ハニワ兵は冬用の編み物をよくしているのだ。
以前頼まれて始めた洋服の注文制作も続けていたが、元々仕事にしてる訳ではないので忙しくなる注文が入るはずもなく月に数着の注文が入る程度である。
しかし毎日掃除や洗濯なんかもしているハニワ兵にとっては、横島達の服や注文制作をするベースは今くらいでちょうどいいらしい。
「なにしてるの?」
「写真が増えたからアルバムに整理してるのよ」
一方同じリビングに居るさよは、溜まってきた写真を整理してアルバムを作っていた。
麻帆良祭の時の横島の絡みの写真や、麻帆良祭以降のタマモとさよの写真も結構ある。
最近はデジカメが主流なのでデータとして横島が保管しているのもかなりあるが、店の常連や友人達なんかは写真でくれることも多かった。
せっかくの写真だから綺麗なままで保存したいと考えたさよが、アルバムに整理しようと思い付いたらしい。
「あっ、うみにいったときのだ!」
写真の整理を始めたさよにタマモは興味津々な様子で瞳を輝かせて、一枚一枚写真を手に取り仕分けのお手伝いをしていく。
それは古くても数ヶ月前で新しいのだと最近の写真だったが、タマモとさよにとってそれは大切な思い出だった。
一つの写真を見てはその時のことを思い出して話し込む二人の作業はなかなか進まないが、それはそれで楽しい時間である。
「そういえば、家には横島さんの昔のアルバムとかってないですね」
かなり脱線しながらも写真の仕分けをほぼ終える頃になると、さよはふと気になったことを口にしていた。
実はさよは前々から家に横島の私物が驚くほど少ないことが不思議だったのだ。
さよは幽霊だったしタマモも最近生まれたようなものだから仕方ないが、横島のアルバムとか過去の物がないのは少しおかしいと思ったらしい。
「あるばむ?」
「うん、横島さんの子供の頃のアルバムとか見てみたくない?」
「みたい!」
少し考え込むようなさよの疑問をタマモはあまり理解してなかったが、横島の昔のアルバムを見てみたくないかと聞かれると即答する。
横島の過去に秘密があるのはさよもそろそろ気付いているが、普通に昔のアルバムくらいなら見せてくれるかもしれないと考えたようだ。
「ポー?」
そんな二人の視線は唯一横島の過去を知るハニワ兵に集まるが、本人は少し驚いたように首を傾げる。
まさかそこで自分に視線が集まるとは思いもしなかったらしい。
結局ハニワ兵はお願いしたら見せてくれると思うとしか伝えられなかった。
横島の古いアルバム自体は異空間アジトにあるのだ。
ただ問題は横島が異世界から来たことなんかをまだ二人に伝えてないだけに、ハニワ兵には勝手に過去のアルバムを持って来て見せるような度胸はない。
正直いい加減二人にはきちんと異世界から来たことを教えたらいいのにとシミジミと思うハニワ兵だが、それを横島に言えば代わりに説明しといてと丸投げされそうだったので言えなかった。
ハニワ兵達にとって横島は決して悪い主ではないが、もう少し自分の力や存在を自覚して欲しいとは思うのだ。
この後タマモとさよにアルバムをせがまれた横島の反応を楽しみにしつつ、彼は編み物に勤しんでいく。
秋もすっかり深まりつつあるこの頃、ハニワ兵は冬用の編み物をよくしているのだ。
以前頼まれて始めた洋服の注文制作も続けていたが、元々仕事にしてる訳ではないので忙しくなる注文が入るはずもなく月に数着の注文が入る程度である。
しかし毎日掃除や洗濯なんかもしているハニワ兵にとっては、横島達の服や注文制作をするベースは今くらいでちょうどいいらしい。
「なにしてるの?」
「写真が増えたからアルバムに整理してるのよ」
一方同じリビングに居るさよは、溜まってきた写真を整理してアルバムを作っていた。
麻帆良祭の時の横島の絡みの写真や、麻帆良祭以降のタマモとさよの写真も結構ある。
最近はデジカメが主流なのでデータとして横島が保管しているのもかなりあるが、店の常連や友人達なんかは写真でくれることも多かった。
せっかくの写真だから綺麗なままで保存したいと考えたさよが、アルバムに整理しようと思い付いたらしい。
「あっ、うみにいったときのだ!」
写真の整理を始めたさよにタマモは興味津々な様子で瞳を輝かせて、一枚一枚写真を手に取り仕分けのお手伝いをしていく。
それは古くても数ヶ月前で新しいのだと最近の写真だったが、タマモとさよにとってそれは大切な思い出だった。
一つの写真を見てはその時のことを思い出して話し込む二人の作業はなかなか進まないが、それはそれで楽しい時間である。
「そういえば、家には横島さんの昔のアルバムとかってないですね」
かなり脱線しながらも写真の仕分けをほぼ終える頃になると、さよはふと気になったことを口にしていた。
実はさよは前々から家に横島の私物が驚くほど少ないことが不思議だったのだ。
さよは幽霊だったしタマモも最近生まれたようなものだから仕方ないが、横島のアルバムとか過去の物がないのは少しおかしいと思ったらしい。
「あるばむ?」
「うん、横島さんの子供の頃のアルバムとか見てみたくない?」
「みたい!」
少し考え込むようなさよの疑問をタマモはあまり理解してなかったが、横島の昔のアルバムを見てみたくないかと聞かれると即答する。
横島の過去に秘密があるのはさよもそろそろ気付いているが、普通に昔のアルバムくらいなら見せてくれるかもしれないと考えたようだ。
「ポー?」
そんな二人の視線は唯一横島の過去を知るハニワ兵に集まるが、本人は少し驚いたように首を傾げる。
まさかそこで自分に視線が集まるとは思いもしなかったらしい。
結局ハニワ兵はお願いしたら見せてくれると思うとしか伝えられなかった。
横島の古いアルバム自体は異空間アジトにあるのだ。
ただ問題は横島が異世界から来たことなんかをまだ二人に伝えてないだけに、ハニワ兵には勝手に過去のアルバムを持って来て見せるような度胸はない。
正直いい加減二人にはきちんと異世界から来たことを教えたらいいのにとシミジミと思うハニワ兵だが、それを横島に言えば代わりに説明しといてと丸投げされそうだったので言えなかった。
ハニワ兵達にとって横島は決して悪い主ではないが、もう少し自分の力や存在を自覚して欲しいとは思うのだ。
この後タマモとさよにアルバムをせがまれた横島の反応を楽しみにしつつ、彼は編み物に勤しんでいく。