平和な日常~秋~2
「ナギが消息不明になってもうすぐ十年、我々は間に合わなかったのかも知れません」
同じ頃魔法世界のメガロメセンブリアの自身の事務所では、クルト・ゲーデルが同じ志しを持つ仲間と話をしていた。
突然降って湧いたように情報が流れたフェイト・アーウェルンクスの件について独自に情報収集を行っていたクルトだが、彼の同志や仲間はネギの一件の影響でほとんどが身動きが取れず流石のクルトも歯痒い思いをしている。
「上層部はお前を疑っているぞ。 意図的に連中の情報を隠していたのではないかとな」
魔法世界の未来にこれ以上ないほど危機感を抱くクルトだったが、現状は彼にとって逆風どころの騒ぎではない。
秘密結社完全なる世界が健在だと世界に知れ渡ってからある程度時間が過ぎたが、二つの世界から疑いの目を向けられているメガロメセンブリアにおいて現在一番疑われてるのは他でもないクルト達だった。
当の本人達からすると今回は本当に事実無根の疑いなのだが、悲しいかな彼らは過去に二十年前の真相やなんかを利用して来た経緯もある。
クルトがナギ達とは違う道を歩んで僅か十数年で、伝統と歴史があるメガロメセンブリア元老院にそれなりの勢力を築くには血の滲むような努力と手段を選ばぬ行動が必要不可欠だったのだ。
全ては五千万のメガロメセンブリア市民を救うためだったが、そのあまりに過激で手段を選ばぬ方法は多くの敵を作り出してしまった。
「まるで運命の悪戯のようですね。 私が失脚して謀ったかのように彼らが姿を現すとは……」
仲間の一人はクルトが疑われてることを告げるが、同時に本当にクルトが今回の件に無関係なのか多少疑っている。
クルト自身は仲間達に問題が起きてすぐに自分の計画ではないと言い切ったが、人々を救うためには必要とあれば仲間ですら切り捨てるような冷酷さもクルトは持ち合わせていた。
クルトと仲間達が互いに信じてるのは、メガロメセンブリアの人々を救いたいとの想いだけなのだ。
仲間の中でも当然意見の違いはあるし、クルトの全てを仲間達が信じてる訳ではない。
「あの情報を流したのは本当に私ではありませんよ。 ただ情報を流した者の真意は、完全なる世界への危機感ではないでしょう。 何か別の意図がある気がします」
世界や上層部だけではなく仲間達からも疑われてるクルトだが、彼は完全なる世界の情報において間接的に影響を受けたモノの情報を特に集めさせていた。
実はクルト自身は確証は無かったが、完全なる世界の壊滅を疑っていたのである。
無論組織としては壊滅はほぼ間違いないが彼らにとって重要なのは組織ではなく、創造主と呼ばれる存在と鍵となる黄昏れの姫御子なのだ。
組織壊滅を隠れみのにして何かを企んでも不思議ではない。
そもそも創造主を始めデュナミスなど最高幹部達の消息は赤き翼のナギ達同様に不明なのだから、生きていても不思議ではなかった。
「新世界と呼ばれたこの世界は、滅ぶべくして滅ぶのかも知れませんね」
圧倒的に悪い状況に仲間達は悲壮感を漂わせておりクルトも悲壮感溢れる言葉を口にするが、そんな中でもクルトの瞳は何一つ力を失ってないことに仲間達は気づいている。
こんな状況をも逆手に取って再起を果たせるのではと、クルトの瞳を見た仲間達はそんな希望を心に抱く。
それはクルトもまたナギの想いを継ぐ者だからに他ならない。
同じ頃魔法世界のメガロメセンブリアの自身の事務所では、クルト・ゲーデルが同じ志しを持つ仲間と話をしていた。
突然降って湧いたように情報が流れたフェイト・アーウェルンクスの件について独自に情報収集を行っていたクルトだが、彼の同志や仲間はネギの一件の影響でほとんどが身動きが取れず流石のクルトも歯痒い思いをしている。
「上層部はお前を疑っているぞ。 意図的に連中の情報を隠していたのではないかとな」
魔法世界の未来にこれ以上ないほど危機感を抱くクルトだったが、現状は彼にとって逆風どころの騒ぎではない。
秘密結社完全なる世界が健在だと世界に知れ渡ってからある程度時間が過ぎたが、二つの世界から疑いの目を向けられているメガロメセンブリアにおいて現在一番疑われてるのは他でもないクルト達だった。
当の本人達からすると今回は本当に事実無根の疑いなのだが、悲しいかな彼らは過去に二十年前の真相やなんかを利用して来た経緯もある。
クルトがナギ達とは違う道を歩んで僅か十数年で、伝統と歴史があるメガロメセンブリア元老院にそれなりの勢力を築くには血の滲むような努力と手段を選ばぬ行動が必要不可欠だったのだ。
全ては五千万のメガロメセンブリア市民を救うためだったが、そのあまりに過激で手段を選ばぬ方法は多くの敵を作り出してしまった。
「まるで運命の悪戯のようですね。 私が失脚して謀ったかのように彼らが姿を現すとは……」
仲間の一人はクルトが疑われてることを告げるが、同時に本当にクルトが今回の件に無関係なのか多少疑っている。
クルト自身は仲間達に問題が起きてすぐに自分の計画ではないと言い切ったが、人々を救うためには必要とあれば仲間ですら切り捨てるような冷酷さもクルトは持ち合わせていた。
クルトと仲間達が互いに信じてるのは、メガロメセンブリアの人々を救いたいとの想いだけなのだ。
仲間の中でも当然意見の違いはあるし、クルトの全てを仲間達が信じてる訳ではない。
「あの情報を流したのは本当に私ではありませんよ。 ただ情報を流した者の真意は、完全なる世界への危機感ではないでしょう。 何か別の意図がある気がします」
世界や上層部だけではなく仲間達からも疑われてるクルトだが、彼は完全なる世界の情報において間接的に影響を受けたモノの情報を特に集めさせていた。
実はクルト自身は確証は無かったが、完全なる世界の壊滅を疑っていたのである。
無論組織としては壊滅はほぼ間違いないが彼らにとって重要なのは組織ではなく、創造主と呼ばれる存在と鍵となる黄昏れの姫御子なのだ。
組織壊滅を隠れみのにして何かを企んでも不思議ではない。
そもそも創造主を始めデュナミスなど最高幹部達の消息は赤き翼のナギ達同様に不明なのだから、生きていても不思議ではなかった。
「新世界と呼ばれたこの世界は、滅ぶべくして滅ぶのかも知れませんね」
圧倒的に悪い状況に仲間達は悲壮感を漂わせておりクルトも悲壮感溢れる言葉を口にするが、そんな中でもクルトの瞳は何一つ力を失ってないことに仲間達は気づいている。
こんな状況をも逆手に取って再起を果たせるのではと、クルトの瞳を見た仲間達はそんな希望を心に抱く。
それはクルトもまたナギの想いを継ぐ者だからに他ならない。