平和な日常~秋~2

それから数日が過ぎて停電とテストが終わると、麻帆良学園の生徒達はいつもの日常に戻っていた。

ちなみに今回の2ーAのテストのクラス別の順位は14位と前回の11位から若干の後退をしたが、クラスの平均点は下がった訳ではなくむしろ僅かだが上がっている。

順位後退の要因は他のクラスが単純に頑張ったからだろう。

なお今回の明日菜とのどかの順位だが明日菜は四百番台前半で、のどかは学年で六位をキープしていた。

その結果明日菜は下位グループから完全に脱しており、上昇率だけで言えば学年でもトップである。

のどかに関してはトップテンの順位は一年の時からほとんどメンバーが変わらなかった中でのランクインであり、一学期に続き連続でランクインした影響から注目度が更に増して来ていた。

まあ二人は相変わらず横島が教えていた影響もあるが、双方共に努力が実ったことは確かだろう。

横島の身近な者では夕映が一番成績が悪くなったが、それでも山かけリストを用いて赤点はクリアするくらいには成長している。



「えーと、それでは第一回麻帆良カレー実行委員会の会議を始めたいと思います」

この日横島は木乃香・夕映・あやか・超・五月と一緒に、麻帆良カレーの問題について話し合う会議に出席していた。

麻帆良カレー実行委員会に関しては以前にも少し説明したが、麻帆良カレーの認知度が上がったことによる諸問題を話し合うための会合である。

横島達の他には雪広グループ担当者と学園側の担当者も複数参加していた。

麻帆良学園は学園都市だが、当然観光収入も学園側には貴重な収入源の一つなのだ。


「こりゃまた……」

会議の資料は少し前にあやかに渡されたので横島も目を通したが、この日は持ち帰りが可能な店の麻帆良カレーと名付けて販売してるカレーを何品か試食という形で少しずつ配っていたが横島のみならず全体的に反応はよくない。

味の良し悪しも当然問題なのだが、中身が全くの別物な店が結構存在するのだ。

まだ似せる努力をしてる店はいいが、完全に当店オリジナルの麻帆良カレーだと称して全く別物を売ってる店があると聞くと横島も複雑そうな表情をする。


「早急に対応しなければ長期的な損失は大きいと思われます」

試食が終わると麻帆良カレーに関する現状の売り上げや経済効果などがグラフとして示されるが、長期的な視野からの対応が必要なのは明らかだった。

最早麻帆良カレー単体の売り上げの問題ではなく、学園都市麻帆良の観光や経済面への影響があるということである。

そしてそれは学園の収入や学園を支える雪広や那波などの企業の景気にも影響しかねない。

少し大袈裟なようにも聞こえるが、麻帆良は雪広や那波などの企業のお膝元であり両者にとっては沽券に関わる問題であった。


(俺達、場違いじゃねえか?)

会議は淡々と進むが横島が木乃香と夕映にちらりと視線を向けると、二人は若干緊張している。

元々人数合わせで参加してる二人と雪広グループに丸投げしてる横島からすると、頭のいい大人達で好きに決めてくれとしか思えない。

一瞬場を和ませる為に一発ギャグでも……、などと考えた横島だが和むどころか凍りつく未来しか見えないほど大人達は真剣だった。



81/100ページ
スキ