平和な日常~秋~2
テスト勉強やろうそく作りで賑わった店だが、この日は夜の八時から十二時まで停電なので少女達はいつもより早く帰宅していく。
基本的にこの日の麻帆良は夕方六時を過ぎると商店街の店も閉まってしまい、居酒屋なんかは休む店が多いのだ。
横島は前日の台風に続きこの日も早めに店仕舞いしたが、木乃香達は元より美砂達やまき絵達なんかも残ってテスト勉強をしていた。
「飯食って行く人……、って聞くまでもなかったな」
看板を仕舞い閉店作業を終えた横島は夕食をどうしようかと考えつつ残ってる少女達に夕食を食べていくか尋ねるが、答えは確認するまでもなく全員食べていくつもりらしく嬉しそうな声でごちそうさまですと聞こえる。
「何にするん?」
「雪広グループの新商品の試作の固形ルーがあるし、今日はビーフシチューにでもしようか」
久しぶりに大人数での夕食に横島は木乃香と一緒に夕食の支度を始めるが、どうやら今晩はビーフシチューにするらしい。
実は昨日の日中に雪広グループの関係者が訪れて、新作のビーフシチューの固形ルーを試食して欲しいと置いて行っていたのである。
以前木乃香達と一緒に試食会をしたが、あれ以降も時々新しい試作品を持って来ては試食して欲しいと置いて行く時があるのだ。
「そういや十二月のパーティーの件も、そろそろ考えないとな」
「ウチも行ったことないんよ」
ビーフシチューの固形ルーに赤ワインなどでひと手間加えて調理をしていく二人だが、横島はふと十二月のパーティーの話を始めた。
麻帆良では大小様々なパーティーが一年を通して行われるが、中でも一番有名なパーティーは学園主宰による十二月のパーティーである。
それは学園関係者や協力してる企業に加え有力なサークルなどが招待されて行われる麻帆良最大のパーティーだったが、料理大会優勝者がパーティーで料理を振る舞うことが通例であった。
一応優勝者の意思により辞退は出来るが、木乃香の場合は学園長の立場もあり辞退は難しい。
ただパーティーでの調理に関しては必ずしも優勝者一人ではなく友人や師匠が協力することが普通らしく横島も当然手伝う予定なのだが、木乃香にはパーティーに出すようなスイーツを作った経験などあるはずもなく横島と一緒にメニューを考えて練習する予定なのである。
「俺もパーティーで料理なんてしたことないよ。 そもそも庶民にはパーティーなんて結婚式くらいしか縁がないしな」
なんとなく周りに乗せられるがままに参加した料理大会で優勝した結果、学園主宰のパーティーで料理を振る舞うなど大変な事態になってるが横島も木乃香も特に緊張や気負いはしてなかった。
流石にこの話を最初に聞いた時は木乃香も少し不安だったらしいが、横島が相変わらずの軽い返事ですぐに参加を承諾すると緊張や不安は消えている。
横島本人はやはり初めての経験だと言うが、木乃香は横島の言葉は事実と違うことがよくあるのできっとなんとかしてくれると確信していた。
「いっそのことパーティーで餅つきでもやってみるか?」
「それは流石にあかんと思うわ~」
横島を心底信じている木乃香だったが、ほっとくとウケを狙いたがる横島の性格には微妙に不安を感じていた。
基本的にこの日の麻帆良は夕方六時を過ぎると商店街の店も閉まってしまい、居酒屋なんかは休む店が多いのだ。
横島は前日の台風に続きこの日も早めに店仕舞いしたが、木乃香達は元より美砂達やまき絵達なんかも残ってテスト勉強をしていた。
「飯食って行く人……、って聞くまでもなかったな」
看板を仕舞い閉店作業を終えた横島は夕食をどうしようかと考えつつ残ってる少女達に夕食を食べていくか尋ねるが、答えは確認するまでもなく全員食べていくつもりらしく嬉しそうな声でごちそうさまですと聞こえる。
「何にするん?」
「雪広グループの新商品の試作の固形ルーがあるし、今日はビーフシチューにでもしようか」
久しぶりに大人数での夕食に横島は木乃香と一緒に夕食の支度を始めるが、どうやら今晩はビーフシチューにするらしい。
実は昨日の日中に雪広グループの関係者が訪れて、新作のビーフシチューの固形ルーを試食して欲しいと置いて行っていたのである。
以前木乃香達と一緒に試食会をしたが、あれ以降も時々新しい試作品を持って来ては試食して欲しいと置いて行く時があるのだ。
「そういや十二月のパーティーの件も、そろそろ考えないとな」
「ウチも行ったことないんよ」
ビーフシチューの固形ルーに赤ワインなどでひと手間加えて調理をしていく二人だが、横島はふと十二月のパーティーの話を始めた。
麻帆良では大小様々なパーティーが一年を通して行われるが、中でも一番有名なパーティーは学園主宰による十二月のパーティーである。
それは学園関係者や協力してる企業に加え有力なサークルなどが招待されて行われる麻帆良最大のパーティーだったが、料理大会優勝者がパーティーで料理を振る舞うことが通例であった。
一応優勝者の意思により辞退は出来るが、木乃香の場合は学園長の立場もあり辞退は難しい。
ただパーティーでの調理に関しては必ずしも優勝者一人ではなく友人や師匠が協力することが普通らしく横島も当然手伝う予定なのだが、木乃香にはパーティーに出すようなスイーツを作った経験などあるはずもなく横島と一緒にメニューを考えて練習する予定なのである。
「俺もパーティーで料理なんてしたことないよ。 そもそも庶民にはパーティーなんて結婚式くらいしか縁がないしな」
なんとなく周りに乗せられるがままに参加した料理大会で優勝した結果、学園主宰のパーティーで料理を振る舞うなど大変な事態になってるが横島も木乃香も特に緊張や気負いはしてなかった。
流石にこの話を最初に聞いた時は木乃香も少し不安だったらしいが、横島が相変わらずの軽い返事ですぐに参加を承諾すると緊張や不安は消えている。
横島本人はやはり初めての経験だと言うが、木乃香は横島の言葉は事実と違うことがよくあるのできっとなんとかしてくれると確信していた。
「いっそのことパーティーで餅つきでもやってみるか?」
「それは流石にあかんと思うわ~」
横島を心底信じている木乃香だったが、ほっとくとウケを狙いたがる横島の性格には微妙に不安を感じていた。