平和な日常~秋~2
そもそも魔法協会と一括りに言えども世界各国には様々な違いがあるし、その国々のお国柄から常識や対応が全く違うことは当然だった。
基本的に先進国の魔法協会は人権や犯罪者への対応も理性的だが、下手な国の魔法協会になるとスパイは即殺されて終わりの国も珍しい訳ではない。
最も大多数の魔法協会は所属がはっきりしていれば命までは取らないが。
ただ世の中には金次第で何でもする連中がいる。
正規の工作員と違い危険で機密性の高い情報を盗んでは第三者に売り飛ばすような連中も魔法協会では確認されていた。
「しかしだ、我々は組織に所属しチームとして活動している。 個人の勝手な行動が仲間達に与える影響は考えねばならないだろう。 おそらくこいつは調査部が泳がせていた産業機密を専門に狙ってる魔法使いのスパイなんだよ」
ガンドルフィーニは高音の意見を否定しなかったが、それとは別に高音の行動が仲間に与える影響について話を始める。
この件に関してはガンドルフィーニにも落ち度があった。
高音の性格を知るが故にもっと的確な指示を出すべきだったのだ。
不審者の男の顔を見たガンドルフィーニは、彼が中華系マフィアの組織に属する魔法使いのスパイだと高音に明かす。
「君には理解出来ないかもしれないが、発展途上国なんかでは魔法使いが裏社会やその国の政府と繋がってることも珍しくはないんだ。 末端の使いっ走りを捕らえると新しい使いっ走りが来るだけだしな」
ガンドルフィーニは高音の考えを否定はしないが、時と場合によるしもっと状況の見極めが必要だと諭していく。
実はこの不審者は明日の大停電で何かを計画してるとの情報を調査部では掴んでおり、計画の具体的な内容を掴む為にも泳がされていた人物だった。
本来ならば高音はここから立ち去るようにと告げて不審者を追い払えば良かったのだ。
「私達人間界に生きる魔法使いは世のため人の為に力を使うことが使命ですのに……」
ガンドルフィーニから聞いた魔法使いの裏側の一端に高音はショックを受けるが、そもそも世界は彼女が考えるほどシンプルでもなく優しくもない。
「それはメガロメセンブリアの魔法使い達の教えであり、この世界に住む魔法使い達の考えではない。 人の価値観はそれぞれだし、それは魔法使いも変わらない。 この世界に住む魔法使い達が唯一同意してるのは魔法を秘匿することくらいだ」
甘く優しい世界を生きて来た高音にとってガンドルフィーニの語る現実は理解出来ないモノだった。
「高音君、魔法使いは魔法を使える意外は普通の人間なのだよ。 欲もあれば過ちも犯す。 だから我々はこうして仲間や組織を守らねばならないと私は思う。 君の理想はいつか君が独り立ちしたら求めるといい」
結局ガンドルフィーニは高音に自身の考えを打ち明け、自身の理想を求めるのは独り立ちしてからにするように言い聞かせる。
この後ガンドルフィーニは不審者を魔法協会の犯罪者留置施設に送るが、今回の件の失敗を上層部より怒られることになる。
しかし高音と愛衣はそんなことは全く知らぬまま、理想と現実の狭間で悩んでいく。
基本的に先進国の魔法協会は人権や犯罪者への対応も理性的だが、下手な国の魔法協会になるとスパイは即殺されて終わりの国も珍しい訳ではない。
最も大多数の魔法協会は所属がはっきりしていれば命までは取らないが。
ただ世の中には金次第で何でもする連中がいる。
正規の工作員と違い危険で機密性の高い情報を盗んでは第三者に売り飛ばすような連中も魔法協会では確認されていた。
「しかしだ、我々は組織に所属しチームとして活動している。 個人の勝手な行動が仲間達に与える影響は考えねばならないだろう。 おそらくこいつは調査部が泳がせていた産業機密を専門に狙ってる魔法使いのスパイなんだよ」
ガンドルフィーニは高音の意見を否定しなかったが、それとは別に高音の行動が仲間に与える影響について話を始める。
この件に関してはガンドルフィーニにも落ち度があった。
高音の性格を知るが故にもっと的確な指示を出すべきだったのだ。
不審者の男の顔を見たガンドルフィーニは、彼が中華系マフィアの組織に属する魔法使いのスパイだと高音に明かす。
「君には理解出来ないかもしれないが、発展途上国なんかでは魔法使いが裏社会やその国の政府と繋がってることも珍しくはないんだ。 末端の使いっ走りを捕らえると新しい使いっ走りが来るだけだしな」
ガンドルフィーニは高音の考えを否定はしないが、時と場合によるしもっと状況の見極めが必要だと諭していく。
実はこの不審者は明日の大停電で何かを計画してるとの情報を調査部では掴んでおり、計画の具体的な内容を掴む為にも泳がされていた人物だった。
本来ならば高音はここから立ち去るようにと告げて不審者を追い払えば良かったのだ。
「私達人間界に生きる魔法使いは世のため人の為に力を使うことが使命ですのに……」
ガンドルフィーニから聞いた魔法使いの裏側の一端に高音はショックを受けるが、そもそも世界は彼女が考えるほどシンプルでもなく優しくもない。
「それはメガロメセンブリアの魔法使い達の教えであり、この世界に住む魔法使い達の考えではない。 人の価値観はそれぞれだし、それは魔法使いも変わらない。 この世界に住む魔法使い達が唯一同意してるのは魔法を秘匿することくらいだ」
甘く優しい世界を生きて来た高音にとってガンドルフィーニの語る現実は理解出来ないモノだった。
「高音君、魔法使いは魔法を使える意外は普通の人間なのだよ。 欲もあれば過ちも犯す。 だから我々はこうして仲間や組織を守らねばならないと私は思う。 君の理想はいつか君が独り立ちしたら求めるといい」
結局ガンドルフィーニは高音に自身の考えを打ち明け、自身の理想を求めるのは独り立ちしてからにするように言い聞かせる。
この後ガンドルフィーニは不審者を魔法協会の犯罪者留置施設に送るが、今回の件の失敗を上層部より怒られることになる。
しかし高音と愛衣はそんなことは全く知らぬまま、理想と現実の狭間で悩んでいく。