平和な日常~秋~2

そのまま夜が耽ると横島はタマモと客間でエヴァは自室で休むが、眠りを必要としないさよと茶々丸は別荘の屋上で景色を眺めていた。

朝などはよくタマモや猫達を交えて仲良く話している二人だが、二人だけでゆっくりするのは意外にも初めてである。


「何度聞いても不思議ですね。 ここに一日居ると外の一時間だなんて信じられません」

たわいもない話をしてはおしゃべりを楽しんでいた二人だが、さよはふとこの魔法球の中の時間についての説明を思い出し空を見上げた。

先程説明された魔法球の中での時間について、タマモなんかは細かいことを抜きにして一日いっぱい横島と遊べると聞いて喜んでいる。

さよは不思議だとシミジミ思うが、別に疑ってる訳はない。

幽霊の自分が実体を持ってみんなと同じく学校に通うくらいなのだから、そんなこともあるのだろうと感心する程度である。

横島が突然身体を与えたり学校に通わせた影響で、さよはかなり不思議なことに慣れているのだ。

加えて元々エヴァは幽霊の時に友達になった人物なので、横島と同じく普通ではないのだろうと少し前から気付いているし。


「マスターは特別ですから」

「特別ですか~。 こんなに凄い別荘にお呼ばれしたお礼どうしましょう? タマモちゃんもきっと張り切ってお礼考えてますよ」

別荘を不思議そうに見ていたさよに茶々丸はエヴァが特別だと言い切るが、さよにとってはエヴァの特別な理由よりも特別なエヴァにお礼をどうするかで悩み始める。

幸せの価値や優しさの大切さをさよは誰よりも理解していた。

故にどうやってエヴァが喜ぶお返しをしようかと悩むらしい。

お返しといえばタマモが極端なほど好きだが、その原因は実は長い間孤独を生きたさよの価値観の影響もあったりする。


「お返しですか。 マスターはお酒から甘い物まで好きですし可愛い小物も結構好きです。 それらなら何を上げても喜ぶと思います」

「よかった。 それなら私達でもなんとかなりそうです」

エヴァへのお返しを悩むさよに茶々丸はさらっとエヴァの好みを教えていく。

本来ならば主の個人情報を勝手に教えることは出来ないのだが、茶々丸もきっとエヴァが喜ぶだろうと考え教えることにしたらしい。

どうも最近ますます思考が柔軟になって来たようだ。


(茶々丸さん達は食べ物は食べれないからなぁ~)

一方さよは茶々丸や新しく友達になったチャチャゼロや茶々丸の姉達にも、何かお礼にお返しをしたいと密かに悩んでいた。

さよとしては茶々丸達はエヴァの家族に見えている。

何かみんなが喜んでくれる簡単なお返しでもしたいと考えてるが、流石に茶々丸には聞けない。

結局さよは夜が明けるまで茶々丸とお話をして、茶々丸達へのお返しを何にしようかと考え続けることになる。




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