平和な日常~秋~2

さて体育祭が終わった麻帆良学園の中等部と高等部では、一気にテストモードに切り替わっていた。

二学期の中間テストが一週間後に迫っており、部活やサークルも事実上休んでのテスト期間になる。

まあ2-Aは元々テスト期間も楽観的なクラスなのであまり変わりないが、それでも放課後になると体育祭の余韻が徐々に薄れつつあった。


「テストか」

そんなこの日の放課後の店だが、相変わらず女子中高生のたまり場になっている。

木乃香のスイーツが次々と売れてゆく中、横島は例によってテストの山かけリストを頼まれていた。

前回のテストである一学期の期末には横島の山かけリストがあちこちに流れてしまい、特に中等部の二年は期待する者が多かったのだ。


「あんまり期待されてもなぁ」

体育祭後にテストがあるのは分かっていたので、少し前からのどかや木乃香のノートを借りて山かけリストを作ってはいたがあまり期待されると複雑な心境になる。

加えて木乃香達からクリスマスケーキの話もされた為、横島は若干テンションが低かった。


「アスナも最近点数安定して来たのよねー」

山かけリストを期待する者のうち2-Aの少女達は、特に最近明日菜の成績が安定して来ただけに危機感を持ってる者も多少はいる。

バカレッドとの異名を持つ明日菜だが、一学期の中間と期末はすでに最下位付近を脱出しておりバカレンジャーは事実上崩壊していた。

元々バカレンジャーと呼ばれていたのは明日菜・夕映・まき絵・古菲に楓の五人だが、明日菜の成績は着実に上がっているし夕映も山かけリストを有効活用して意外と成績が上がっている。

残るメンバーは山かけリストを貰いはしたが、あまり有効活用出来なかった面々でありバカレンジャーは三人体制かとの話になったりしていた。


「明日菜ちゃんは日頃から結構地道にやってるからな。 そりゃ成績も上がるだろうさ」

明日菜の成績上昇が止まらないことに驚きを隠せないのは、美砂達や裕奈達である。

ただ明日菜は一学期の中間以降ずっと地道に勉強していたのだ。

基本的に明日菜に教えていたのは横島とのどかであり、物覚えのあまりよくない明日菜に二人は根気強く教えていた。

日々の積み重ねの結果、乱高下していた成績が安定し始めたのである。


「という訳でテスト勉強よろしくね!」

明日菜も頑張ってるから自分達も少しは頑張ろうと考えたまではよかったが、少女達は頑張るべきテスト勉強を横島に教わることにしたらしい。

本来彼女達に教えるべき高畑は、今日からまた出張に行ってしばらく居ないようである。

実は高畑も悠久の風の活動は今も休んではいるが、今日から近右衛門が京都に行った際に同行したようなのだ。

秘密結社完全なる世界の残党と最近まで直接戦って来た高畑は、東西の協力の一貫で関西呪術協会を訪問することになったらしい。

ちなみに近右衛門と高畑の麻帆良でも屈指の実力者の二人が抜ける代わりに、東西交流の一貫として現在麻帆良には神鳴流剣士が何人か滞在していた。

近右衛門の京都行きは極秘なので麻帆良にいる各組織のスパイも今のところ気付いてないが、何日かするとバレる可能性もある。

万が一に備えてある程度戦力バランスを取る必要はあった。


そんな訳で2-Aの生徒に放課後まで面倒みてくれる担任が居ないことから、少女達は必然的に横島を頼ったようである。



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