平和な日常~春~

「おはようございます。 横島さんは今日も早いわねー 木乃香は帰って来たの朝方だからまだ寝てるわよ」

朝7時を過ぎてそろそろ開店する時間になると、真っ先に来たのは明日菜だった

徹夜で図書館探検した翌朝は木乃香も起きるのが遅い為に、お腹が空いて朝食を食べに来たらしい


「俺は徹夜とか慣れてるんだよ。 それに今日は連休初日だから、ちょっと特別な限定メニューを考えたんだわ」

アスナに洋風朝食を出した横島は、ニヤリと意味深な笑みを浮かべて限定メニューの一つの苺のシュークリームを試食として渡す


「うわ~、美味しい…… 横島さんのスイーツ安くて美味しいからちょっと評判なのよねー 今日は連休だし人が殺到するわよ」

朝食に続きあまり見慣れない苺のシュークリームを頬張る明日菜だが、中の苺クリームが絶妙で美味しくて思わず笑顔になる


「今日の限定メニューの苺のスイーツ食べ放題だ。 もっと食うか?」

「えっ!? いいの!」

幸せそうな笑顔の明日菜に横島はついつい調子に乗って次々にスイーツを出していくが、明日菜もまたそれを全部完食してしまう


「朝から十種類も甘い物食ったのは凄いな~」

「うっ…… ちょっと食べすぎたかしら?」

先程まで幸せそうな笑顔でスイーツをパクパクと食べていた明日菜だったが、横島が食べた数を言うと現実に戻ったのか太るかもしれないとちょっとブルーな表情になる

そんな明日菜に対して横島は軽い調子で笑ってるだけであり、女の子へ気遣いがある割に微妙にデリカシーがない部分も相変わらずなようだ


「大丈夫だろ~ そんだけ細いんだからちょっとくらい食ったって変わらんよ」

「もう~、そんな問題じゃないんですよ?」

明日菜のスタイルからちょっとくらい食べても変わらないと横島は軽く考えているが、明日菜は気になるようで女心が分からない横島に少し不満げな表情をする


「じゃあ明日はダイエットメニューでも出してみようか? 案外みんな喜びそうだな」

体重を気にする明日菜の表情に横島は少しだけ考え込み、ダイエットメニューでも限定で出そうかと思う


(魔鈴さんのレシピにそれらしいやつ結構あるんだよな~)

継承した魔鈴の記憶からレシピを思い浮かべていく横島だったが、元々料理にこだわりがあった魔鈴のレシピは栄養や健康を気にしたレシピが多かった

完全な魔法料理は出せないが、一般的なダイエットメニューよりは本格的なレシピが結構あるのだ


「あっ、それいいかも。 そしたら今日のスイーツを楽しめるわね」

「んじゃ明日の限定メニューはダイエット料理だな」

「相変わらず軽いわねー まあそれでも料理はしっかりしてるからいいけど……」

明日菜が賛成したことにより明日の限定メニューを簡単に決めた横島だったが、当の明日菜は相変わらずの横島の適当ぶりに微妙な笑みを浮かべてしまう

後先考えない無謀なやり方の割に、料理がしっかりしてるから素直に間違ってるとも言えないのが複雑な心境らしい



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