平和な日常~秋~2
長いようで短い調理時間が終わると、会場はなんともいえないような空気が支配していた。
審査に感じては中華部門から審査に入り、具体的な点数と順位発表は最後にスイーツ部門と一緒に発表される。
従って淡々と試食が続くが、観客はそれでも審査員達のコメントや反応を見て一喜一憂していた。
「ウチのスイーツはベジスイーツのランチです」
そしていよいよ木乃香の番になるが、運ばれていく料理を見て観客だけでなく特別審査員の中にも驚きの表情の者がいる。
木乃香はスイーツ部門の二人目として審査に望むが、一人目は例の男性であり横島の予測通り野菜のタルトだった。
それに比べて木乃香のスイーツは全く違う解釈をしたことが分かる。
まずは前菜がフルーツトマトのムースゼリー。
メインはさつまいものスフレ。
そしてデザートは緑黄色野菜のアイスにハチミツソース掛け。
そのメニューを木乃香が説明すると、会場にどよめきが走ったのも無理はない。
「なるほどな。 ランチに食べれるデザートか。 確かに野菜のスイーツならランチにもなるってか」
「食べる時を想定して作るなんて……」
木乃香のスイーツには、横島や周囲の少女達も驚き感心してしまう。
それはランチに食べれるスイーツとして考えたメニューだった。
スイーツで食事にもなるようにと考えたのだろうが、それはパティシエというよりは横島考え方に最も近いのかもしれない。
最高のスイーツというよりは、気軽に食べるスイーツをと考えたのであろう。
そしてメインのスフレは店の開店準備をしてる頃に横島が教えた一つであり、木乃香自身も何度か夕食やおやつに作っていた馴染み深い料理である。
「最後の最後に一番自分らしさを出せたようですね。 本当に美味しかったです。 ごちそうさま」
そのまま試食が進み最後に予選と準決勝と見た目の問題点を指摘した審査委員長がコメントをするが、それは今までにないほどシンプルなコメントだった。
木乃香のスイーツは必ずしも最高の出来だとか完璧だとかではないが、一番自分らしさを出せたことは確かなのだろう。
そして最後に新堂のスイーツの試食が始まる。
彼女のスイーツは三種の野菜を使ったケーキの盛り合わせだった。
赤黄緑と色鮮やかなスイーツが、一皿の芸術のように盛り付けられている。
単純な見た目の技術力では、素人が見ても彼女の勝ちなのは明らかだった。
「かてるよね?」
「そうだな~。 勝てるといいな」
全員の審査が終わると点数の集計と順位発表に入るが、タマモは祈るように木乃香の勝ちを願っている。
横島はそんなタマモに優しく言葉をかけるが、正直横島にも結果はわからない。
そもそもルールには一品にしろとの記載はないし、スイーツの規定も明確にある訳ではない。
木乃香のコンセプトをどう判断するかは審査員次第だった。
そんな中華部門とスイーツ部門の優勝者は同時に発表するはずなのだが、この時何故か審査が長引いてしまい大会運営側が何かを話し込んでいる。
審査に感じては中華部門から審査に入り、具体的な点数と順位発表は最後にスイーツ部門と一緒に発表される。
従って淡々と試食が続くが、観客はそれでも審査員達のコメントや反応を見て一喜一憂していた。
「ウチのスイーツはベジスイーツのランチです」
そしていよいよ木乃香の番になるが、運ばれていく料理を見て観客だけでなく特別審査員の中にも驚きの表情の者がいる。
木乃香はスイーツ部門の二人目として審査に望むが、一人目は例の男性であり横島の予測通り野菜のタルトだった。
それに比べて木乃香のスイーツは全く違う解釈をしたことが分かる。
まずは前菜がフルーツトマトのムースゼリー。
メインはさつまいものスフレ。
そしてデザートは緑黄色野菜のアイスにハチミツソース掛け。
そのメニューを木乃香が説明すると、会場にどよめきが走ったのも無理はない。
「なるほどな。 ランチに食べれるデザートか。 確かに野菜のスイーツならランチにもなるってか」
「食べる時を想定して作るなんて……」
木乃香のスイーツには、横島や周囲の少女達も驚き感心してしまう。
それはランチに食べれるスイーツとして考えたメニューだった。
スイーツで食事にもなるようにと考えたのだろうが、それはパティシエというよりは横島考え方に最も近いのかもしれない。
最高のスイーツというよりは、気軽に食べるスイーツをと考えたのであろう。
そしてメインのスフレは店の開店準備をしてる頃に横島が教えた一つであり、木乃香自身も何度か夕食やおやつに作っていた馴染み深い料理である。
「最後の最後に一番自分らしさを出せたようですね。 本当に美味しかったです。 ごちそうさま」
そのまま試食が進み最後に予選と準決勝と見た目の問題点を指摘した審査委員長がコメントをするが、それは今までにないほどシンプルなコメントだった。
木乃香のスイーツは必ずしも最高の出来だとか完璧だとかではないが、一番自分らしさを出せたことは確かなのだろう。
そして最後に新堂のスイーツの試食が始まる。
彼女のスイーツは三種の野菜を使ったケーキの盛り合わせだった。
赤黄緑と色鮮やかなスイーツが、一皿の芸術のように盛り付けられている。
単純な見た目の技術力では、素人が見ても彼女の勝ちなのは明らかだった。
「かてるよね?」
「そうだな~。 勝てるといいな」
全員の審査が終わると点数の集計と順位発表に入るが、タマモは祈るように木乃香の勝ちを願っている。
横島はそんなタマモに優しく言葉をかけるが、正直横島にも結果はわからない。
そもそもルールには一品にしろとの記載はないし、スイーツの規定も明確にある訳ではない。
木乃香のコンセプトをどう判断するかは審査員次第だった。
そんな中華部門とスイーツ部門の優勝者は同時に発表するはずなのだが、この時何故か審査が長引いてしまい大会運営側が何かを話し込んでいる。