平和な日常~秋~2
さて調理が始まった会場では、選手達がそれぞれに調理を開始している。
一番注目を集めてるのはやはり超と新堂の二人だが、木乃香も決して負けてる訳ではない。
対して一番余裕がないのは木乃香にプレッシャーをかけた男性だろう。
ただそんな男性でさえ単純な技術力では木乃香よりも当然上である。
「あの人が作ってるのは?」
「多分カボチャを使ったタルトだな。 ケーキでの勝負は避けたか」
自分でかけたはずのプレッシャーに逆に負けそうな男性だが、作ってる物自体は割とまともというか普通だった。
手際もいいしそもそも彼は予選では木乃香を越える二位だったのだから、余計なことをしなければいい勝負をしたはずの人間である。
「あの人はやっぱりケーキか……」
そして優勝候補本命の新堂だが、彼女はやはりケーキを作るようであった。
しかも彼女はほうれん草やトマトなどを使ってケーキを作るらしい。
恐らく野菜を使ってケーキを作るのも始めてではないのだろう。
「ねえ、木乃香に野菜のスイーツなんて教えたの?」
「教えた物もあるし教えてない物もあるよ。 でも本格的なケーキは無理だろうな。 カボチャやさつまいもを使ったスポンジ生地なら作れるはずだが、ケーキじゃ勝てんし作らんだろう」
会場ではそれぞれの調理が進む度に一喜一憂するが、横島はやはり周りの少女達の解説役になっている。
全体的に見ても割と危なげないのは新堂や超であり、木乃香はやはり見ていてハラハラしてしまう。
横島はそんな少女達に求められるままに再び考察を語るが、ケーキは作らないと言い切る横島に周囲は驚く。
予選と準決勝では木乃香はケーキで勝ち上がって来たのだ。
見た目や盛り付けなどで幾分マイナス点もあったが、味は新堂に負けないだけのレベルを維持していた。
当然木乃香は決勝もケーキを作ると考える者が多いが、横島は作らないと確信している。
「ねえ、あれは!?」
「あれはアイスクリームマシンだよ。 そういや夏場に試しにいろんなアイスとかソフトクリーム作ってたな」
木乃香のスイーツの片鱗が見えたのは開始してまもなくの頃だった。
何種類かの野菜を使ったアイスを木乃香が作り出したのだ。
それを見て明日菜達は思い出したように横島を見るが、実は夏場の頃に横島は木乃香と一緒にいろいろなアイスを作っては試食していたのである。
実際のところ余り物の食材があったことと暇つぶしと試しで作ってみただけなのだが、中には野菜を使ったアイスも何度か作った経験があった。
「そういえばそんなこともしてましたね」
「何事も経験だからな。 まあ、ただ単に暇だったってこともあるんだが」
日頃から気の向くまま料理をする横島はメニューに関係ない物を良く作るし、美味しくてもメニューを増やすことはまずない。
実際横島の暇つぶしではあるが、横島が持つ複数の魂の料理技術や経験を統合し使いこなす為の調整というか練習の一環でもあったりする。
そんな日常の料理が今日の木乃香の役に立っていたかと思うと、横島は少し感慨深いものがあった。
一番注目を集めてるのはやはり超と新堂の二人だが、木乃香も決して負けてる訳ではない。
対して一番余裕がないのは木乃香にプレッシャーをかけた男性だろう。
ただそんな男性でさえ単純な技術力では木乃香よりも当然上である。
「あの人が作ってるのは?」
「多分カボチャを使ったタルトだな。 ケーキでの勝負は避けたか」
自分でかけたはずのプレッシャーに逆に負けそうな男性だが、作ってる物自体は割とまともというか普通だった。
手際もいいしそもそも彼は予選では木乃香を越える二位だったのだから、余計なことをしなければいい勝負をしたはずの人間である。
「あの人はやっぱりケーキか……」
そして優勝候補本命の新堂だが、彼女はやはりケーキを作るようであった。
しかも彼女はほうれん草やトマトなどを使ってケーキを作るらしい。
恐らく野菜を使ってケーキを作るのも始めてではないのだろう。
「ねえ、木乃香に野菜のスイーツなんて教えたの?」
「教えた物もあるし教えてない物もあるよ。 でも本格的なケーキは無理だろうな。 カボチャやさつまいもを使ったスポンジ生地なら作れるはずだが、ケーキじゃ勝てんし作らんだろう」
会場ではそれぞれの調理が進む度に一喜一憂するが、横島はやはり周りの少女達の解説役になっている。
全体的に見ても割と危なげないのは新堂や超であり、木乃香はやはり見ていてハラハラしてしまう。
横島はそんな少女達に求められるままに再び考察を語るが、ケーキは作らないと言い切る横島に周囲は驚く。
予選と準決勝では木乃香はケーキで勝ち上がって来たのだ。
見た目や盛り付けなどで幾分マイナス点もあったが、味は新堂に負けないだけのレベルを維持していた。
当然木乃香は決勝もケーキを作ると考える者が多いが、横島は作らないと確信している。
「ねえ、あれは!?」
「あれはアイスクリームマシンだよ。 そういや夏場に試しにいろんなアイスとかソフトクリーム作ってたな」
木乃香のスイーツの片鱗が見えたのは開始してまもなくの頃だった。
何種類かの野菜を使ったアイスを木乃香が作り出したのだ。
それを見て明日菜達は思い出したように横島を見るが、実は夏場の頃に横島は木乃香と一緒にいろいろなアイスを作っては試食していたのである。
実際のところ余り物の食材があったことと暇つぶしと試しで作ってみただけなのだが、中には野菜を使ったアイスも何度か作った経験があった。
「そういえばそんなこともしてましたね」
「何事も経験だからな。 まあ、ただ単に暇だったってこともあるんだが」
日頃から気の向くまま料理をする横島はメニューに関係ない物を良く作るし、美味しくてもメニューを増やすことはまずない。
実際横島の暇つぶしではあるが、横島が持つ複数の魂の料理技術や経験を統合し使いこなす為の調整というか練習の一環でもあったりする。
そんな日常の料理が今日の木乃香の役に立っていたかと思うと、横島は少し感慨深いものがあった。