平和な日常~秋~2
多くの歓声が会場を包む中、いよいよ中華部門とスイーツ部門の決勝が始まろうとしていた。
そんな歓声の中でも木乃香は、自分でも驚くほど落ち着いていることに驚きを感じる。
(不思議なもんやな~)
多くのクラスメートや友人知人が応援してくれるのを感じつつ、木乃香は自分が何故こんな場所に居て応援されてるのかと考えると不思議で仕方なかった。
(そういえば、あの日も不思議やったな)
何故だろうと少し考えてみる木乃香だったが、そんな時応援のボンボンを必死に振るタマモを膝に抱えた横島と目が合いふとあの日を思い出す。
それは横島と出会った日である。
木乃香自身、あの日横島と出会った場所である世界樹前広場に行くのは滅多にない。
あの日はちょうど明日菜が補習で一緒に帰れなかったので、少し散歩でもしようかと世界樹前広場に行っただけなのだ。
ただの気まぐれだとずっと考えていたが、少し不思議な出会いだと思わなくもない。
正直見た感じは怪しい人そのものだった。
木乃香ですら関わるのは危ないかなと少し考えたのだから、よほど浮いた存在だったのは確かたろう。
世界樹前広場に行く確率やあんな怪しい人に声をかける確率を考えると、本当に奇跡的な出会いだったのかなと思ってしまう。
(あの時、声かけへんかったら……)
もしあの時横島をスルーしていたら自分は今頃どうしていたのかと考えるが、木乃香には想像も出来なかった。
一緒に開店準備をして、メニューも木乃香や夕映達が一緒に考えている。
店が開店するからとクラスメートや友人に声をかけて、一度でいいから来てくれるように頼んだのも木乃香達なのだ。
一緒に遊び料理をして食事もした。
肝心の占いをあまり教えてくれずに、少しだけ不満を感じたこともない訳ではない。
そして運命が流れるように一緒にやることになった麻帆良祭では、誰もが予想も出来ない結果になっていた。
一緒に写真を取られたりもしたし、いつのまにかマスターの彼女というあだ名がついていたことも、ちょっと恥ずかしいけどいい思い出だった。
そんな全ての思い出がなかったらと考えると、木乃香は少し怖くなってしまう。
《大切な人の為に作りなさい》
その時控室を出る前に新堂がかけてくれた、そんな言葉が木乃香の頭をふと過ぎる。
「ではスイーツ部門のお題を発表します! お題は野菜を使ったスイーツです!」
木乃香が自分の世界に入っていた間に、会場では司会の学生が決勝のお題を発表していた。
なんと決勝のお題は野菜を使ったスイーツである。
そのお題に会場がざわめき、先程木乃香にプレッシャーを与えようとした男性は驚き固まっていた。
「あらあら、今年もまた難しいお題ね」
「先輩のおかげで、ウチ全力を出せそうです」
お題も発表しいよいよ調理が開始されるその瞬間、木乃香は一言新堂にお礼を言うと自分の使うキッチンにゆっくりと歩き出していく。
その姿に新堂は少し嬉しそうな表情を見せて、彼女も自分の使うキッチンに歩き出していた。
そんな歓声の中でも木乃香は、自分でも驚くほど落ち着いていることに驚きを感じる。
(不思議なもんやな~)
多くのクラスメートや友人知人が応援してくれるのを感じつつ、木乃香は自分が何故こんな場所に居て応援されてるのかと考えると不思議で仕方なかった。
(そういえば、あの日も不思議やったな)
何故だろうと少し考えてみる木乃香だったが、そんな時応援のボンボンを必死に振るタマモを膝に抱えた横島と目が合いふとあの日を思い出す。
それは横島と出会った日である。
木乃香自身、あの日横島と出会った場所である世界樹前広場に行くのは滅多にない。
あの日はちょうど明日菜が補習で一緒に帰れなかったので、少し散歩でもしようかと世界樹前広場に行っただけなのだ。
ただの気まぐれだとずっと考えていたが、少し不思議な出会いだと思わなくもない。
正直見た感じは怪しい人そのものだった。
木乃香ですら関わるのは危ないかなと少し考えたのだから、よほど浮いた存在だったのは確かたろう。
世界樹前広場に行く確率やあんな怪しい人に声をかける確率を考えると、本当に奇跡的な出会いだったのかなと思ってしまう。
(あの時、声かけへんかったら……)
もしあの時横島をスルーしていたら自分は今頃どうしていたのかと考えるが、木乃香には想像も出来なかった。
一緒に開店準備をして、メニューも木乃香や夕映達が一緒に考えている。
店が開店するからとクラスメートや友人に声をかけて、一度でいいから来てくれるように頼んだのも木乃香達なのだ。
一緒に遊び料理をして食事もした。
肝心の占いをあまり教えてくれずに、少しだけ不満を感じたこともない訳ではない。
そして運命が流れるように一緒にやることになった麻帆良祭では、誰もが予想も出来ない結果になっていた。
一緒に写真を取られたりもしたし、いつのまにかマスターの彼女というあだ名がついていたことも、ちょっと恥ずかしいけどいい思い出だった。
そんな全ての思い出がなかったらと考えると、木乃香は少し怖くなってしまう。
《大切な人の為に作りなさい》
その時控室を出る前に新堂がかけてくれた、そんな言葉が木乃香の頭をふと過ぎる。
「ではスイーツ部門のお題を発表します! お題は野菜を使ったスイーツです!」
木乃香が自分の世界に入っていた間に、会場では司会の学生が決勝のお題を発表していた。
なんと決勝のお題は野菜を使ったスイーツである。
そのお題に会場がざわめき、先程木乃香にプレッシャーを与えようとした男性は驚き固まっていた。
「あらあら、今年もまた難しいお題ね」
「先輩のおかげで、ウチ全力を出せそうです」
お題も発表しいよいよ調理が開始されるその瞬間、木乃香は一言新堂にお礼を言うと自分の使うキッチンにゆっくりと歩き出していく。
その姿に新堂は少し嬉しそうな表情を見せて、彼女も自分の使うキッチンに歩き出していた。