平和な日常~秋~2

その後この日のミニ四駆大会を終えた横島達は、木乃香達と一緒に昼食を食べる為に移動をしていた。

ペガサスとプテラノドンXというこの時代では非常に珍しいミニ四駆を扱う横島は順当に勝ち残りミニ四駆関係者の注目を集めるが、悲しいかな体育祭ではミニ四駆大会はかなりマイナーな競技であり注目を集めたのは限定的である。

ちなみに《浪花のペガサス》という、この世界では誰も知らないかつての異名は当然広まることはなかった。

ただこの日横島が好んで使ったミニ四駆から《ペガサス使いの料理人》という微妙なあだ名を一部の人に付けられていたが。



「おっきなふうせんがいっぱいだね」

「タマちゃん、あれは気球っていう乗り物なんだよ~」

大学部の近辺から電車で移動していた横島達だが、体育祭はタマモにとって珍しい物の連続らしい。

タマモと桜子は先程から一緒に外の景色を眺めては、桜子がタマモに一つ一つ知らないことを教えていた。


「明日はチアリーディングの衣装で応援に行くから頑張ってね!」

「任せとけ! 久しぶりに昔の感覚が蘇って来たし、明日は本気を出すぞ」

「でもマスター、勝った時に子供より喜ぶから恥ずかしかったわよ」

そして横島と美砂と円の三人は、先程のミニ四駆の試合で盛り上がっていた。

美砂は明日はチアリーディングの衣装でバッチリ応援に行くと宣言するし、円は小学生の子供よりはしゃいでいた横島がよほど面白かったのか今だに笑っている。


「本当におっきな子供よね、マスターって。 よしよしいい子ですね~」

「そういやご褒美くれるんじゃなかったか?」

円の言葉にハマったのか美砂はまるで横島が子供のように頭を撫でてよしよしとすると、横島は横島で先程の応援中に美砂が言ったご褒美はどうなったと言い出す。


「ご褒美? あげるわよ。 一日デート券なんてどう?」

「デートか~。 もう少し大人に……って痛い! 痛いって!!」

ご褒美が欲しいと言い出した横島に美砂はニヤニヤと意味ありげな笑顔を見せて一日デート券をあげると言うが、今度は横島が美砂を子供扱いして不満そうな美砂に横島は腕を抓られていた。

そんな横島を見て円や桜子やタマモは笑っているが、電車内でそんなことをしてる横島はやはり目立っている。

周りの乗客の冷たい視線に横島達はようやく静かになり、電車が目的の駅に着くと逃げるように降りて行った。



「あれ、どうしたんだ二人とも?」

「クイズラリーで食べ過ぎただけです」

電車を降りると横島達は謎解きクイズラリーに参加していた夕映達と会うが、夕映とのどかは少し体調が悪そうである。

横島や美砂達はそんな二人を心配するが、どうやら午前中の種目で食べ過ぎたらしい。


「お饅頭は美味しかったんですけどね~」

第一チェックポイントで饅頭百個を完食した夕映達だったが、第二チェックポイントでは激辛ラーメン完食だったらしい。

普通はなかなか食べ物系の課題が続くことはないのだが、夕映達は偶然続いてしまったようである。



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