平和な日常~秋~2

同じ頃、夕映・のどか・ハルナ・さよの四人の謎解きクイズラリーも始まっていた。

スタート地点は世界樹前広場であり、参加グループは五百グループを越えたらしい。

体育祭の種目の中でも小学から大学部まで一緒に参加出来る種目は意外に少なく、この謎解きクイズラリーはその一つである。


「えーと、最初の問題は……」

スタート開始と共に全チームは最初に配られた問題を見るが、この問題は各チームごとに違う問題であった。

当然簡単な問題から難しい問題まで難易度も様々だが、この大会の特徴は参加外の人に聞くのもアリなルールである。

というかこの人数で街中のゲームをすると、外部に聞くなと言うルールには無理があった。

全チームを監視するなど不可能だし行動の把握も難しい。

その結果全チーム違う問題にして、難易度もバラバラにした大会になったようである。


「問題が読めないわ」

「最初から難易度が高い問題になりましたね」

そんな訳で夕映達もスタートの合図と共に問題を見るが、全文がアルファベットですらない文章に問題すら簡単に読めなかった。


「これ英語じゃないです」

「私達には無理ね。 予定通りマスターと超りんにメールしちゃうしかないわ」

チームの中で一番英語が得意なのはのどかだが、のどかを持ってしても英語でないことしか分からない。

ハルナはそんなのどかの言葉を聞く前から問題文を写真で撮影して、それを横島と超に送って答えを待つ。

ちなみにこれが今回の夕映達の戦略であり、分からない問題は超や横島に聞く予定だったのだ。

横島は元より超も料理大会があるが、本番外の時間だったら答える手筈になっている。


「あっ、答えが来たわよ。 ロシア語だって。 次のチェックポイントに急ぐわよ」

今回夕映達が引いた問題は大学生でもキツイ問題だったが、横島と超は三分ほでで同時に同じ答えを返していた。

夕映達はその答えにある第一チェックポイントに急ぐことになる。

ちなみにチェックポイントについてだが、これも問題同様に全チームバラバラだった。

チェックポイント自体は百ヵ所あり、その中のどこが自分達のチェックポイントか分からないのだ。

一チーム辺り15ヵ所のチェックポイントを攻略してゴールに向かうのだが、ゴールする確率ですら全チーム中10%もない。


「第一チェックポイントの課題は……」

そして各チェックポイントには、クリアしなければならない課題がある。

その課題をクリアしてから次のチェックポイントが書かれた問題を貰うのだが、その課題もまた簡単なモノばかりではない。


「初っ端から饅頭の大食いはキツイです」

夕映達の第一チェックポイントの課題は、大皿に乗った百個の饅頭完食であった。

しかも一個が結構大きい。


「わ~、美味しそうですね」

大量の饅頭に夕映やのどかは怯んでしまうが、空気が読めないというか微妙に天然のさよは大量の饅頭を美味しそうにパクパクと食べ始める。

普通の女子だと太ることも気にすると素直に喜ぶ者は少ないが、幽霊のさよには無縁の心配だった。


「美味しいですよ」

パクパクと食べ続けるさよに夕映達も覚悟を決めたかのように饅頭を食べ始めるが、そんな夕映達の葛藤をさよは全く理解してなかった。


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