平和な日常~春~
次の日になり小さな黒板の看板に、日替わり限定《茹でたジャガイモ》と書かれたメニューが店内に掲げられる
毎日毎日統一性の全くない料理が提供される日替わりメニューだが、この日の茹でたジャガイモには最近慣れて来た客達も驚き目を見開いてしまう
「これはなんだ?」
学校が終わる時間になりエヴァが茶々丸を連れて来店するが、エヴァもまた何が出て来るのか理解出来なく横島に尋ねてしまった
「茹でたジャガイモをそのまま食べるんだ。 味付けは塩・バター・チーズソース・マヨネーズソース・ガーリックソース・トマトソース・コチュジャンソース・オリーブソースを用意したから好きなやつと一緒に食べるんだ。 ジャガイモは食べ放題だぞ。 食うか?」
木乃香のアイデアから茹でたジャガイモをそのままメニューに出した横島だったが、味付けは無駄とも言えるほど種類を用意している
少し悩んだエヴァが頼むと、本当に茹でたジャガイモがそのまま皿に乗っていた
加えて小皿にソース各種を頼めば出すのだが、そのソースは本格的な物ばかりである
(こいつ一体何を考えてるんだ?)
茹でたジャガイモをそのまま提供した割には、ソースは驚くほど手が込んでるのだ
そのあまりのアンバランスさに、他人に興味がないエヴァですら横島が何を考えてるのか聞きたい衝動にかられる
「やっぱ店から庭に出れないのは不便だよな~ お嬢さんみたいに猫好きだと特に」
「私は別に猫が好きでは……」
一方エヴァの向かいに座った茶々丸は窓から見える庭の猫達をずっと見ていたが、横島に猫好きだと言われると何故か自分は違うと否定してしまう
「猫嫌いなんか?」
「いえ、嫌いではないのですが……」
猫好きを否定する茶々丸に横島が嫌いかと問い掛けると、茶々丸はエヴァをチラチラと見て戸惑っている
ガイノイドの自分が勝手な思考をする事が悪い事だと考える茶々丸は、エヴァの許可なく猫好きだと認めたくないらしい
「何故私を見るのだ? 何が好きで何が嫌いかなど自分で決めろ」
「そうだぞ。 好き嫌いなんか他人に聞いてどうする」
普段は見せない茶々丸の戸惑いに、エヴァは面白そうにニヤリと意味ありげな笑みを浮かべていた
「でも、私はマスターのガイノイドですし……」
オロオロする茶々丸をからかうようなエヴァに横島も乗っかると、茶々丸は更に困った様子になる
「好きにすればいい。 私はお前の趣味嗜好まで縛るつもりはないからな」
「だってさ。 また遊びに来いよ。 あの子達も待ってるからな」
いつの間にか横島とエヴァは茶々丸を挟んでの奇妙な会話が成り立っていた
両者共に純真無垢な茶々丸の変化を楽しみ、その変化を加速させたいという奇妙な共感を持っている
結局この日は最後まで直接話すことはなかったが、横島とエヴァの間の空気が微妙に変わったのは確かだった
本人達はあまり気にしてないままだが……
毎日毎日統一性の全くない料理が提供される日替わりメニューだが、この日の茹でたジャガイモには最近慣れて来た客達も驚き目を見開いてしまう
「これはなんだ?」
学校が終わる時間になりエヴァが茶々丸を連れて来店するが、エヴァもまた何が出て来るのか理解出来なく横島に尋ねてしまった
「茹でたジャガイモをそのまま食べるんだ。 味付けは塩・バター・チーズソース・マヨネーズソース・ガーリックソース・トマトソース・コチュジャンソース・オリーブソースを用意したから好きなやつと一緒に食べるんだ。 ジャガイモは食べ放題だぞ。 食うか?」
木乃香のアイデアから茹でたジャガイモをそのままメニューに出した横島だったが、味付けは無駄とも言えるほど種類を用意している
少し悩んだエヴァが頼むと、本当に茹でたジャガイモがそのまま皿に乗っていた
加えて小皿にソース各種を頼めば出すのだが、そのソースは本格的な物ばかりである
(こいつ一体何を考えてるんだ?)
茹でたジャガイモをそのまま提供した割には、ソースは驚くほど手が込んでるのだ
そのあまりのアンバランスさに、他人に興味がないエヴァですら横島が何を考えてるのか聞きたい衝動にかられる
「やっぱ店から庭に出れないのは不便だよな~ お嬢さんみたいに猫好きだと特に」
「私は別に猫が好きでは……」
一方エヴァの向かいに座った茶々丸は窓から見える庭の猫達をずっと見ていたが、横島に猫好きだと言われると何故か自分は違うと否定してしまう
「猫嫌いなんか?」
「いえ、嫌いではないのですが……」
猫好きを否定する茶々丸に横島が嫌いかと問い掛けると、茶々丸はエヴァをチラチラと見て戸惑っている
ガイノイドの自分が勝手な思考をする事が悪い事だと考える茶々丸は、エヴァの許可なく猫好きだと認めたくないらしい
「何故私を見るのだ? 何が好きで何が嫌いかなど自分で決めろ」
「そうだぞ。 好き嫌いなんか他人に聞いてどうする」
普段は見せない茶々丸の戸惑いに、エヴァは面白そうにニヤリと意味ありげな笑みを浮かべていた
「でも、私はマスターのガイノイドですし……」
オロオロする茶々丸をからかうようなエヴァに横島も乗っかると、茶々丸は更に困った様子になる
「好きにすればいい。 私はお前の趣味嗜好まで縛るつもりはないからな」
「だってさ。 また遊びに来いよ。 あの子達も待ってるからな」
いつの間にか横島とエヴァは茶々丸を挟んでの奇妙な会話が成り立っていた
両者共に純真無垢な茶々丸の変化を楽しみ、その変化を加速させたいという奇妙な共感を持っている
結局この日は最後まで直接話すことはなかったが、横島とエヴァの間の空気が微妙に変わったのは確かだった
本人達はあまり気にしてないままだが……