平和な日常~秋~
そのまま審査員達は緑茶の余韻漂う中でスイーツの試食に入るが、それは見た目とは違いほのかな和風なテイストを感じるケーキだった。
何より驚きなのは本当に緑茶によく合うケーキだということだろう。
審査員達は木乃香が緑茶を用意した本当の意味をようやく悟っていた。
「このお茶は君が用意した物かね?」
「それはウチがお世話になってる人が用意してくれた物なんです」
ケーキの試食を終えると特別審査員の料理人が木乃香に質問をするが、このはその質問について正直に答えてしまう。
実際飲み物に関しては評価対象ではないのでさしたる規制もない。
上位入賞者は多かれ少なかれ飲み物には気を使うので当然のことだが、中学生にしては木乃香のスイーツと飲み物は出来すぎだった。
「では点数を発表します。 えっ? 八十六点?」
木乃香の審査の時、明らかに審査員の空気が変わっていたのを会場の人々は気付いていた。
進行役の学生はいよいよ木乃香の点数を発表することになるが、その点数に進行役の学生が疑問を感じ本当なのかと確認したほどである。
「エントリーナンバー027番、近衛木乃香さん、八十六点で暫定一位にランクインしました!」
一旦確認した後で改めて点数と順位を発表するが、木乃香は暫定ながら見事に一位にランクインした。
点数の八十六点も昨年の大会では予選トップ通過の点数であり、進行役の学生が戸惑ったのも無理はない。
「近衛さんに関しては減点ポイントがなかったことが非常に大きいです。 スイーツに関しても文句の付けようがなかった。 それに日本人らしい洋菓子を個人的には特に評価したい。 ただ欲を言えばスイーツの盛り付けにもう一工夫が欲しかったですね」
最後に審査委員長が纏めの挨拶をして終わるが、終始辛口だった彼も木乃香に対しては別人のように褒めている。
最後の最後で盛り付けに関してもう一工夫欲しかったと告げるが、同じ特別審査員の調理科の教師はその指摘に苦笑いを浮かべてしまう。
審査委員長の指摘はどう考えても中学生に対する指摘ではなく、流石に言いすぎだろうと感じたのも無理はないことだった。
「木乃香は本当にあれを自分で考えたのですか?」
「アイデアに関しては俺は全く口出ししてませんよ。 多少技術力なアドバイスはしましたけど」
木乃香の暫定一位に観客席の一同は再び盛り上がるが、父である詠春は娘の成長を信じられないように見つめている。
父親でさえも思わず横島に確認してしまうほどに木乃香のスイーツの出来は素晴らしかった。
実際審査員も木乃香がどの程度考え師匠がどの程度助けたのかは興味があるところだが、それに関しては評価の対象外のことである。
師匠や教師などと一緒に考えながら料理を作り上げることまではある意味当然なのだ。
「そうですか。 木乃香が……」
裏と表の狭間で娘の将来を悩み案じていた詠春は、予期せぬ面での娘の成長に言葉が出なかった。
魔法という裏側を隠していることに不安や疑問がない訳ではない。
ただそれでも夫婦は娘に普通の幸せと学生時代を送ってほしいと願い、裏を隠したままだったのだ。
今回の結果はある意味そんな夫婦の願いが生んだ結末だったということを考えると詠春の喜びは当然だろう。
料理大会の予選は今日一日続くが予選の前半で前年のトップと同じ成績をたたき出した木乃香の名前は、料理大会参加者に知れ渡ることになる。
何より驚きなのは本当に緑茶によく合うケーキだということだろう。
審査員達は木乃香が緑茶を用意した本当の意味をようやく悟っていた。
「このお茶は君が用意した物かね?」
「それはウチがお世話になってる人が用意してくれた物なんです」
ケーキの試食を終えると特別審査員の料理人が木乃香に質問をするが、このはその質問について正直に答えてしまう。
実際飲み物に関しては評価対象ではないのでさしたる規制もない。
上位入賞者は多かれ少なかれ飲み物には気を使うので当然のことだが、中学生にしては木乃香のスイーツと飲み物は出来すぎだった。
「では点数を発表します。 えっ? 八十六点?」
木乃香の審査の時、明らかに審査員の空気が変わっていたのを会場の人々は気付いていた。
進行役の学生はいよいよ木乃香の点数を発表することになるが、その点数に進行役の学生が疑問を感じ本当なのかと確認したほどである。
「エントリーナンバー027番、近衛木乃香さん、八十六点で暫定一位にランクインしました!」
一旦確認した後で改めて点数と順位を発表するが、木乃香は暫定ながら見事に一位にランクインした。
点数の八十六点も昨年の大会では予選トップ通過の点数であり、進行役の学生が戸惑ったのも無理はない。
「近衛さんに関しては減点ポイントがなかったことが非常に大きいです。 スイーツに関しても文句の付けようがなかった。 それに日本人らしい洋菓子を個人的には特に評価したい。 ただ欲を言えばスイーツの盛り付けにもう一工夫が欲しかったですね」
最後に審査委員長が纏めの挨拶をして終わるが、終始辛口だった彼も木乃香に対しては別人のように褒めている。
最後の最後で盛り付けに関してもう一工夫欲しかったと告げるが、同じ特別審査員の調理科の教師はその指摘に苦笑いを浮かべてしまう。
審査委員長の指摘はどう考えても中学生に対する指摘ではなく、流石に言いすぎだろうと感じたのも無理はないことだった。
「木乃香は本当にあれを自分で考えたのですか?」
「アイデアに関しては俺は全く口出ししてませんよ。 多少技術力なアドバイスはしましたけど」
木乃香の暫定一位に観客席の一同は再び盛り上がるが、父である詠春は娘の成長を信じられないように見つめている。
父親でさえも思わず横島に確認してしまうほどに木乃香のスイーツの出来は素晴らしかった。
実際審査員も木乃香がどの程度考え師匠がどの程度助けたのかは興味があるところだが、それに関しては評価の対象外のことである。
師匠や教師などと一緒に考えながら料理を作り上げることまではある意味当然なのだ。
「そうですか。 木乃香が……」
裏と表の狭間で娘の将来を悩み案じていた詠春は、予期せぬ面での娘の成長に言葉が出なかった。
魔法という裏側を隠していることに不安や疑問がない訳ではない。
ただそれでも夫婦は娘に普通の幸せと学生時代を送ってほしいと願い、裏を隠したままだったのだ。
今回の結果はある意味そんな夫婦の願いが生んだ結末だったということを考えると詠春の喜びは当然だろう。
料理大会の予選は今日一日続くが予選の前半で前年のトップと同じ成績をたたき出した木乃香の名前は、料理大会参加者に知れ渡ることになる。