平和な日常~秋~

そんなこの日の夜は、木乃香が父や祖父と一緒に夕食を食べる為に早めに帰っていた。

父である詠春もあれこれと忙しいようだが、滞在中の夕食は出来るだけ一緒に食べれるようにと日程を調整してるらしい。


「俺、体育祭はゆっくりしたいんだけどなぁ」

一方の横島はといえば、木乃香と入れ代わるようにやって来た2-Aの少女達に体育祭のオススメ参加種目リストを見せられていた。

相変わらずの高いテンションとノリで横島に体育祭の出場を頼むが、横島は苦笑いがこぼれている。

しかも少女達が横島に勧めてる種目はドラッグレースなどから始まり、トライアスロンなんて種目もあった。

運動が得意には見えない横島だが水泳は出来るようだったし、意外と体力はあるとの意見もあったことから体力勝負の種目も一応候補に入れたらしい。


「まあドラッグレースくらいなら簡単だしいいけど、コブラで勝てるか微妙だな。 それともこっちのタイピング大会の方がいいか?」

リストを見ながら考える横島だが、とりあえず体力勝負の種目は除外していた。

運動系は手加減のさじ加減が面倒だし下手にそっちで目立つのは避けたいとの思いが強い。

結局は技術系種目が無難かと考えるがドラッグレースの他にも、タイピングの早さを競う種目やラジコンやミニ四駆なんて種目もある。


「やっぱり運動はダメなの?」

「マスターどう見ても体育会系じゃないもんね」

「普通の運動会で保護者同士が競うならいいけど、体育祭って本格的だから恥かくと嫌だからさ~」

困ったような表情を見せながらも種目を選ぶ横島の周りでは美砂達やまき絵達などが見守っているが、やはり運動系を抜いて考える横島にクスクスと笑みをこぼしていた。

イマイチ横島の学生時代を想像出来ない少女達だが、運動部に入って部活に青春といったタイプじゃないのはなんとなく感じている。


「出場するならドラッグレースがオススメですよ。 ラジコンやミニ四駆などの大会はレベルが高くて素人はキツイと思います」

少女達に絡まれながらも悩む横島に葉加瀬は技術系種目の事情を語っていくが、基本的にラジコンなどの種目は大学生を中心にガチでやってるので素人だとキツイらしい。

ちなみにロボットコンテストなどもあるらしいが、こちらも事実上工学部の専用大会と化してるようだ。


「ラジコンとかミニ四駆とか体育祭関係なくないか?」

「この手の技術も馬鹿に出来ないんですよ。 最近じゃ軍事技術としても研究されてますから」

ドラッグレース・ラジコン・ミニ四駆などの体育祭にまるで関係ない趣味全開の種目に横島は少し不思議そうにしてるが、麻帆良学園ではこの手の技術なども真面目に研究してるようである。


「じゃあ、このゲーム大会はとか麻雀大会はなんなんだ?」

「基本的に体育祭の種目にするのに細かい規制はないので、生徒達が自主的に種目を増やしちゃうんですよ」

その他には本当に趣味全開なだけの種目も結構あるのだが、あまり細かいことを言わないのは麻帆良祭と変わらないらしい。

とりあえず勝てそうな種目に出てほしい少女達からすると、横島にはそう言った趣味系の種目もいいかもしれないと考えてるようだった。



86/100ページ
スキ