平和な日常~秋~
「お父様や!!」
近右衛門と詠春の二人だけの話し合いは数時間にも及び、ようやく話し合いが終わった時はちょうど木乃香が学園長室を訪れた頃だった。
「急に来るんやからビックリしたわ~」
「ちょっと急な仕事で関東に来たので、一週間ほど滞在する予定だよ」
久しぶりの再会と言ってもお盆には帰省しているので約二ヶ月ぶりの再会だが、木乃香は嬉しそうだし詠春も先程までの表情とは打って変わって穏やかな表情である。
ちなみに詠春のこの時期の麻帆良訪問は、本来の歴史ではもちろんないことだった。
原因がフェイト発見の影響なのは言うまでもないが。
「木乃香のお父さん結構渋いわね」
「あれが全国寺社仏閣協会の会長をしている木乃香さんのお父さんですか……」
「なにそれ?」
「木乃香さんのお父さんは全国の寺社仏閣を束ねる組織の会長なのです。 宗教や宗派が違う寺社仏閣を束ねる組織として明治時代に出来た組織です。 元々は明治初期の廃仏毀釈への対応が目的だったと言われてますが、真偽は不明です。 現代では主に文化財クラスの寺社仏閣の保全から僧侶の労働組合まで行ってるです」
さて木乃香と対面した詠春だが夜までは時間があるとのことなので、せっかくだから一緒にお茶でもしようということになる。
その結果横島の店に行くことになり、明日菜・夕映・のどか・ハルナに木乃香は父を紹介するが反応は様々だった。
明日菜がちょっと渋い木乃香の父に僅かに心をときめかせたかと思えば、寺社仏閣マニアの夕映は木乃香の父を知っていたらしく長々と説明を始める。
一応付け加えておくが詠春の表の職業である全国寺社仏閣協会は、よほどのマニアでもなければ知らないほどのマイナーな組織である。
「いや、まさか木乃香の同級生が私の職業を知ってるとは……」
「夕映は寺社仏閣マニアなんや」
夕映の説明に一番驚いていたのは詠春本人だろう。
表の職業なので隠してる訳ではないが、一般的な知名度はほとんどないのだ。
「あっ、タマちゃん」
互いに自己紹介などをしつつ横島の店に向かうが、途中で猫達と一緒に散歩中のタマモと偶然会ってしまう。
「タマちゃん、この人、うちのお父様なんや」
「うん、しってるよ。 さっきおみせに来てくれたんだよ」
「あれお父様、もう横島さんのとこに行ったん?」
「ああ、午前中に挨拶をしにね」
偶然会ったタマモに木乃香はさっそく父を紹介するが、タマモはもう知っており肩透かしを喰らった形だ。
若干不思議そうな木乃香に父詠春はタマモが余計なことを言わないか、内心ではハラハラしながらも挨拶に行ったとだけ伝える。
「ふたりは似てるから、わたしすぐわかったんだよ!」
そんな詠春の気持ちを知ってか知らずか、タマモは詠春を見てすぐに木乃香の父だとわかったと嬉しそうに語っていた。
「お父様と似てるって言われるのは珍しいわ~ お母様はよく言われるんやけど」
「そっくりだよ」
タマモに似てると言われて少し驚く親子だったが、比べる対象が顔ではなく匂いだという真実は幸いなことに伝わらなかったらしい。
どこか嬉しそうな親子と誇らしげなタマモだったが、幸か不幸か上手く誤解したまま話は噛み合っていた。
近右衛門と詠春の二人だけの話し合いは数時間にも及び、ようやく話し合いが終わった時はちょうど木乃香が学園長室を訪れた頃だった。
「急に来るんやからビックリしたわ~」
「ちょっと急な仕事で関東に来たので、一週間ほど滞在する予定だよ」
久しぶりの再会と言ってもお盆には帰省しているので約二ヶ月ぶりの再会だが、木乃香は嬉しそうだし詠春も先程までの表情とは打って変わって穏やかな表情である。
ちなみに詠春のこの時期の麻帆良訪問は、本来の歴史ではもちろんないことだった。
原因がフェイト発見の影響なのは言うまでもないが。
「木乃香のお父さん結構渋いわね」
「あれが全国寺社仏閣協会の会長をしている木乃香さんのお父さんですか……」
「なにそれ?」
「木乃香さんのお父さんは全国の寺社仏閣を束ねる組織の会長なのです。 宗教や宗派が違う寺社仏閣を束ねる組織として明治時代に出来た組織です。 元々は明治初期の廃仏毀釈への対応が目的だったと言われてますが、真偽は不明です。 現代では主に文化財クラスの寺社仏閣の保全から僧侶の労働組合まで行ってるです」
さて木乃香と対面した詠春だが夜までは時間があるとのことなので、せっかくだから一緒にお茶でもしようということになる。
その結果横島の店に行くことになり、明日菜・夕映・のどか・ハルナに木乃香は父を紹介するが反応は様々だった。
明日菜がちょっと渋い木乃香の父に僅かに心をときめかせたかと思えば、寺社仏閣マニアの夕映は木乃香の父を知っていたらしく長々と説明を始める。
一応付け加えておくが詠春の表の職業である全国寺社仏閣協会は、よほどのマニアでもなければ知らないほどのマイナーな組織である。
「いや、まさか木乃香の同級生が私の職業を知ってるとは……」
「夕映は寺社仏閣マニアなんや」
夕映の説明に一番驚いていたのは詠春本人だろう。
表の職業なので隠してる訳ではないが、一般的な知名度はほとんどないのだ。
「あっ、タマちゃん」
互いに自己紹介などをしつつ横島の店に向かうが、途中で猫達と一緒に散歩中のタマモと偶然会ってしまう。
「タマちゃん、この人、うちのお父様なんや」
「うん、しってるよ。 さっきおみせに来てくれたんだよ」
「あれお父様、もう横島さんのとこに行ったん?」
「ああ、午前中に挨拶をしにね」
偶然会ったタマモに木乃香はさっそく父を紹介するが、タマモはもう知っており肩透かしを喰らった形だ。
若干不思議そうな木乃香に父詠春はタマモが余計なことを言わないか、内心ではハラハラしながらも挨拶に行ったとだけ伝える。
「ふたりは似てるから、わたしすぐわかったんだよ!」
そんな詠春の気持ちを知ってか知らずか、タマモは詠春を見てすぐに木乃香の父だとわかったと嬉しそうに語っていた。
「お父様と似てるって言われるのは珍しいわ~ お母様はよく言われるんやけど」
「そっくりだよ」
タマモに似てると言われて少し驚く親子だったが、比べる対象が顔ではなく匂いだという真実は幸いなことに伝わらなかったらしい。
どこか嬉しそうな親子と誇らしげなタマモだったが、幸か不幸か上手く誤解したまま話は噛み合っていた。