平和な日常~秋~
「現状でお嬢様だけ警護を増やすのは無理なのよ。 他の護衛対象が狙われたら本末転倒だもの」
基本的に刹那は木乃香のことしか考えてないが、刀子は立場上他の護衛対象のことも考えねばならなかった。
その時の状況にもよるが、現在は警戒レベルが上がったので木乃香のみならずあやかや千鶴など警護対象が広がっている。
元々木乃香の警護は明日菜を密かに守る意味合いもあるため常時付いているが、警戒レベルが上がると重要人物の親族などにも警護を付けてなくてはならなかった。
これに関しては本来は危険性が薄い関係者も多いが、組織として過剰な差別は出来ない。
木乃香の場合は関西の者に狙われる可能性があるという大義名分から今までは特別扱いしていたが、流石にみんなが不安になってる現状だとそうも言ってられないのだ。
「それにお嬢様は横島君と一緒だし大丈夫よ。 少なくとも高畑先生が駆け付けるまでは彼がなんとかするわ」
「あの人は本当に実力者なのですか? 正直私にはイマイチ理解出来ないのですが……」
ある程度全体のバランスを考える刀子に対し刹那はやはり不安そうだが、そもそも詳しい事情を知らない刀子はあまり木乃香の心配をしてなかった。
彼女はフェイトが木乃香を狙う可能性はゼロではないが、高くもないと見ている。
加えて料理大会の件で木乃香が学校以外は横島の店居続けることも、刀子としてはプラスに考えていた。
「私も強いのかどうかはさっぱりよ。 それにそもそも彼はよほど追い詰められないと戦わないと思うわ。 護衛が駆け付けるまで時間稼ぎに徹するでしょうね」
刹那の不安の原因は、強いのか弱いのかさっぱり分からない横島にも原因があるらしい。
そんな刹那に刀子は自身も分からないと思わず笑ってしまうが、それでも彼女は横島を理解して信じているようだ。
「あんまり戦闘向きな人じゃないかもしれないけど、あの手のタイプは逃げに徹すると私達でも厄介だと思うわよ」
イマイチ納得出来ない様子の刹那に刀子はどう説明するか悩むが、正直よく知らない刹那が横島を理解するのは難しいと思う。
そもそも横島が木乃香の護衛に気付いているのは、刀子達などの本職の護衛はとっくに理解してるが刹那はそれすら理解してない。
刹那からすると横島よりタマモが鋭いと感じてる程度だが、横島が気付かぬフリをしてるのはちょっと考えれば分かることである。
さよやタマモの件で術に長けてると見られてる横島は、戦闘は抜きにして時間稼ぎや逃げに徹すると厄介だろうというのが最近の関係者の見方だった。
「……よく知ってるんですね」
「えっ!? 別にそんなつもりじゃ……」
どこか信頼の笑みを浮かべて楽しそうな刀子を、刹那は少し羨ましそうに見つめている。
横島が麻帆良に来て半年が過ぎ、刹那は変わりゆく周囲をただ見ているしか出来なかっただけに刀子の変化もよく理解していた。
最近少し性格が丸くなったんじゃないかと同僚の教師などが密かに噂してるなど、刀子本人は知らない訳だし。
(本当に不器用な子なのよね)
そんな刀子だが刹那がどうしても一歩踏み出せない現状には、相変わらず困っていた。
そっと背中を押してやるべきなのは理解してるが、複雑な過去や事情を知るとそう簡単ではない。
(いっそ横島君にでも相談するべきかしらね)
この際刹那の件を横島に話して、上手く橋渡しして貰おうかと刀子は本気で悩み始める。
さよやタマモとも人に言えない秘密を持つ者同士いい友達になれるだろうし、決して悪い方向に行くとは思えなかった。
結局二人は修行を続けるが、悩みは修行よりもフェイトの危機よりも人間関係であった。
基本的に刹那は木乃香のことしか考えてないが、刀子は立場上他の護衛対象のことも考えねばならなかった。
その時の状況にもよるが、現在は警戒レベルが上がったので木乃香のみならずあやかや千鶴など警護対象が広がっている。
元々木乃香の警護は明日菜を密かに守る意味合いもあるため常時付いているが、警戒レベルが上がると重要人物の親族などにも警護を付けてなくてはならなかった。
これに関しては本来は危険性が薄い関係者も多いが、組織として過剰な差別は出来ない。
木乃香の場合は関西の者に狙われる可能性があるという大義名分から今までは特別扱いしていたが、流石にみんなが不安になってる現状だとそうも言ってられないのだ。
「それにお嬢様は横島君と一緒だし大丈夫よ。 少なくとも高畑先生が駆け付けるまでは彼がなんとかするわ」
「あの人は本当に実力者なのですか? 正直私にはイマイチ理解出来ないのですが……」
ある程度全体のバランスを考える刀子に対し刹那はやはり不安そうだが、そもそも詳しい事情を知らない刀子はあまり木乃香の心配をしてなかった。
彼女はフェイトが木乃香を狙う可能性はゼロではないが、高くもないと見ている。
加えて料理大会の件で木乃香が学校以外は横島の店居続けることも、刀子としてはプラスに考えていた。
「私も強いのかどうかはさっぱりよ。 それにそもそも彼はよほど追い詰められないと戦わないと思うわ。 護衛が駆け付けるまで時間稼ぎに徹するでしょうね」
刹那の不安の原因は、強いのか弱いのかさっぱり分からない横島にも原因があるらしい。
そんな刹那に刀子は自身も分からないと思わず笑ってしまうが、それでも彼女は横島を理解して信じているようだ。
「あんまり戦闘向きな人じゃないかもしれないけど、あの手のタイプは逃げに徹すると私達でも厄介だと思うわよ」
イマイチ納得出来ない様子の刹那に刀子はどう説明するか悩むが、正直よく知らない刹那が横島を理解するのは難しいと思う。
そもそも横島が木乃香の護衛に気付いているのは、刀子達などの本職の護衛はとっくに理解してるが刹那はそれすら理解してない。
刹那からすると横島よりタマモが鋭いと感じてる程度だが、横島が気付かぬフリをしてるのはちょっと考えれば分かることである。
さよやタマモの件で術に長けてると見られてる横島は、戦闘は抜きにして時間稼ぎや逃げに徹すると厄介だろうというのが最近の関係者の見方だった。
「……よく知ってるんですね」
「えっ!? 別にそんなつもりじゃ……」
どこか信頼の笑みを浮かべて楽しそうな刀子を、刹那は少し羨ましそうに見つめている。
横島が麻帆良に来て半年が過ぎ、刹那は変わりゆく周囲をただ見ているしか出来なかっただけに刀子の変化もよく理解していた。
最近少し性格が丸くなったんじゃないかと同僚の教師などが密かに噂してるなど、刀子本人は知らない訳だし。
(本当に不器用な子なのよね)
そんな刀子だが刹那がどうしても一歩踏み出せない現状には、相変わらず困っていた。
そっと背中を押してやるべきなのは理解してるが、複雑な過去や事情を知るとそう簡単ではない。
(いっそ横島君にでも相談するべきかしらね)
この際刹那の件を横島に話して、上手く橋渡しして貰おうかと刀子は本気で悩み始める。
さよやタマモとも人に言えない秘密を持つ者同士いい友達になれるだろうし、決して悪い方向に行くとは思えなかった。
結局二人は修行を続けるが、悩みは修行よりもフェイトの危機よりも人間関係であった。