平和な日常~秋~

一方さよと木乃香達は馬車で牧場内をゆっくり見て回った後、残りの自由時間が三十分を切るとお土産を販売してる売店を訪れていた。

おそらくお土産を楽しみにしてるだろうタマモにお土産を買う為に来たのだが……。


「やっぱりお菓子がよくない?」

「でも誰かと被るんじゃないの?」

木乃香達が売店に入るとそこはすでに2-Aの少女達の半数がおり、お土産を囲んで賑やかに何かを話している。

実は先程から木乃香達と同じようにタマモへのお土産を買いに来た者が集まってるらしい。

前回海水浴に行った者はタマモがあれだけ楽しそうにお土産を買って配っていたのだから、きっと今回は貰う方で楽しみにしてるに違いないと考えてるようだ。


「あっ、ちょうどいいとこに来た。 ねえ、タマちゃんのお土産何がいいかな?」

そんな少女達のところに木乃香達が行くと、当然のようにタマモへのお土産を相談される。

2-Aにはタマモにお盆の帰省のお土産なんかをあげた少女も居るが、割と好き嫌いなくなんでも喜ぶだけに逆に選ぶのが難しいらしい。


「貰った物はみんな喜んでますよ。 キーホルダーとかストラップは宝物として大事に飾ってますし」

クラスメートにタマモのお土産を聞かれたさよと木乃香達だが、彼女達ですら何がいいと一概には言えないようだった。

それと言うのもタマモはさよと一緒に個室をプライベートルームとして貰ったが、現在の使い道はタマモのお土産コレクションを飾る部屋になりつつある。

まあさよの勉強道具なんかも置いてあるが、基本的にタマモもさよも個室で何かをするという習慣がないので必然的にコレクションルームのようになりつつあった。

他にもお盆開けには食べ物やお菓子なんかを結構貰ったが一部を木乃香達など親しい者におすそ分けしてもまだ多く、横島達はこの一ヶ月は店の余った食材とお土産だけで生活していたらしい。


「別に一人一つじゃなくてもいいのではないでしょうか?」

「そやな~。 みんなでお金出し合って何個か買えばええと思うわ」

残りの時間が迫る中で集まって来たクラスメートとお土産をどうするかで話し合う木乃香達だが、結局は夕映と木乃香がみんなでお金を出し合い集まった金額から買えばいいと言うとそれに決まる。

ただ実際にはクラスメートのほぼ全てがタマモからお土産を貰っており、一人五百円にしても集まった金額は一万円を越えてしまう。

実のところタマモと直接面識がなくお土産を貰ってないのは、横島の店に寄り付かない千雨と刹那だけだった。

ただ木乃香達以外の他のクラスメートはそれに気付いてなく、千雨と刹那はお土産で盛り上がるクラスメートに流されるままお土産代を出している。

千雨は内心ではぶつぶつと文句をつけてはいたが、横島の店でのパーティーなんかは何度か参加しており安くご馳走して貰っただけに反発するほどではないらしい。

さてそんなタマモへのお土産だが、最終的にはストラップやキーホルダーなどに加え牧場の乳製品やお菓子なんかをたくさん買うことになった。

その内容と量にお土産が宅急便で送ることになったのは言うまでもない。



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