平和な日常~秋~

広い高原の牧場には多くの牛や羊や馬がのびのびと放牧されていた。

この日は麻帆良学園からの遠足が2-Aと他にも二クラスほど来ており、それ以外にも団体個人合わせて結構な数の観光客が来ている。

ここは関東でも有数の観光目的の牧場であり、立地上の都合から麻帆良学園とのパックツアーなども人気がある有名観光地なのだ。


さて到着早々に騒いだ2-Aの少女達だが、牧場側の案内人の説明を聞きながら見学を始める。

牧場の日常業務や動物達の生態など説明されながら直接触れ合って、餌やりや乳搾りなど体験していく。

途中で古菲が牛と力比べをしたいと言い出すなどあったが、残念ながら実現するはずもなく穏やかな見学が続いていた。


「胸のおっきな牛さんですね!」

「ちづ姉よりおっきいよ!?」

そんな見学だがいつもに増して賑やかというかテンションが高かったのはさよと鳴滝姉妹である。

日頃学校では割と大人しい側に入るさよだが、海水浴の時などと同じく外出すると急にテンションが高くなるらしい。

さよと鳴滝姉妹は何故か乳牛の乳と千鶴の胸の大きさを比べてキャーキャーと騒いでいた。

一方そんな賑やかな生徒達に高畑は若干困ったような表情をしているが、女子校は割とこんな会話も多く注意するほどではないらしく苦笑いする以上は特に反応がない。


「うちチーズ作りは初めてやわ」

その後賑やかな見学が一通り終わると今度は手作り体験に入る。

数種類ある手作り体験から木乃香やさよ達が選んだのはチーズの基本とも言われるカッテージチーズのコースだった。

他にもバターやアイスクリームやソーセージ作りなどいろいろあったが、ここでしか体験出来ない物がいいとチーズを選んだようである。

全体的に見ると割と人気だったのは暑いからかアイスクリームだったのだが、木乃香達は横島の店でアイスクリームを作った経験があるのでチーズを選んだらしい。

流石に横島もチーズは自分で作らないだろうと思ったのかもしれないが。


さて時間的に四十分ほどで手作り体験が終わり、出来た物を食べる頃になると時間はお昼に差し掛かる。

この日のお昼はこの牧場で野外バーベキューをする予定だった。

牧場で育てた牛や豚を始め野菜も牧場の畑で採れた物であり、この牧場の売りの一つでもある。

通常の学校では遠足と言えば弁当持参の場合が多いかもしれないが、麻帆良学園では中等部以降は割と現地で昼食にする学校やクラスも多い。

同じ麻帆良学園でも学校やクラスによって事情が違うから何とも言えないが、全寮制などで親元から離れて暮らす生徒の多い学校やクラスでは現地で用意することも多いのだ。

特に時期的に夏は食中毒の心配もあるし、弁当屋で買った弁当で遠足にするよりは現地で食べようと決めるクラスも結構あるらしい。

この後2-Aの少女達は新鮮な野菜と牧場自慢の肉で楽しい昼食のひと時を過ごすことになる。



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