平和な日常~秋~
その後も車の話題を続ける横島達だったが、話は決まるどころかどんどん脱線していく。
木乃香達はまだ真剣だったからよかったが時間的に放課後ということもあり、多くの中高生が店に集まるとみんな好き勝手に横島の次の車について意見を言い出したのだ。
あの車のどこがいいとか、あのメーカーのあそこはダメだとか噂レベルの話が次々に出てくると収集が出来なくなる。
結局は試乗をしたり現物を見てよく考えたらいいとの話に纏まるが、そこに纏まるまで脱線を繰り返しいつもの騒ぎになったのは言うまでもないだろう。
ただそんな女子中高生の噂話も、決して馬鹿に出来ない話も多少はあったようだったが。
「そういえばさよちゃんって、なんとなくあの七不思議のモデルになった子に似てるわよね」
「あ~、あの中等部に出るって噂になった子ね。 でもあの噂ガセネタなんでしょ? 毎年夏場になれば肝試しに行く人多いけど、見たって人居ないじゃん」
一方たまたま店に来ていた常連の女子高生は、さよを見ていて偶然相坂さよと似てると気付いていた。
相坂さよの幽霊話は麻帆良では比較的有名な七不思議のような話なので、そのさよの生前の写真は何年か前に麻帆良スポーツに載ったりして知ってる人はそれなりにいる。
名前も同じさよでありよく見たら結構似てると一人で盛り上がるが、一緒に居る友人はそもそも相坂さよの幽霊話を信じてないらしい。
以前にも少し説明したが、相坂さよの幽霊話は有名なため肝試しなんかに行く人が結構居るのだ。
しかし実際に行くと全然それらしい気配すらないので、一部では昔の麻帆良祭でお化け屋敷をやった中等部のクラスが作った作り話ではとも言われていた。
「えっ!? わっわたし……」
「ほら、さよちゃんを怖がらせちゃったじゃん!」
「ゴメンね。 偶然名前が一緒で顔もなんとなく似てる気がしたからさ~」
突然の降って湧いたような正体の話にさよは思わず慌ててオロオロとしてしまうが、女子高生達はさよが怖がったのだろうと勘違いして慌てて謝る。
正直な話、誰一人としてさよが幽霊だとは思ってなかった。
仮にさよが幽霊だとカミングアウトしても、姿を消すなど明確な証拠を見せないと誰も信じないだろう。
さよ本人は結構ドキドキ物なのだが、幽霊を信じる者や仮に見える者が居ても今のさよを幽霊と見抜ける者は一般人には居るはずがなかった。
「本当に気にしないでね。 実際に見た人居ないし」
「特別珍しい名前じゃないしね。 似てるって言っても六十年も前の白黒写真一枚じゃあね……」
実際に相坂さよと氷室さよが似てると気付いた者は、彼女達よりも前にも何人か居る。
しかし比べる対象として一般に出回っているのは、2-Aのクラスの名簿にあるあの写真一枚だけであった。
六十年も前の白黒写真一枚と現実の人を比べて同一人物だと考える人間など存在しない。
人によっては気持ちがいい話ではないので今まで気付いた人達はさよには言わなかったのだが、今回の女子高生達はつい口に出してしまったようである。
(生前の知り合いにでも会わなきゃ大丈夫だよ)
そしてあからさまに動揺したさよを見ていた横島だが、こちらは全く心配してなかった。
現状のさよを見て幽霊だと信じる人など居ないのがある意味当然だった。
木乃香達はまだ真剣だったからよかったが時間的に放課後ということもあり、多くの中高生が店に集まるとみんな好き勝手に横島の次の車について意見を言い出したのだ。
あの車のどこがいいとか、あのメーカーのあそこはダメだとか噂レベルの話が次々に出てくると収集が出来なくなる。
結局は試乗をしたり現物を見てよく考えたらいいとの話に纏まるが、そこに纏まるまで脱線を繰り返しいつもの騒ぎになったのは言うまでもないだろう。
ただそんな女子中高生の噂話も、決して馬鹿に出来ない話も多少はあったようだったが。
「そういえばさよちゃんって、なんとなくあの七不思議のモデルになった子に似てるわよね」
「あ~、あの中等部に出るって噂になった子ね。 でもあの噂ガセネタなんでしょ? 毎年夏場になれば肝試しに行く人多いけど、見たって人居ないじゃん」
一方たまたま店に来ていた常連の女子高生は、さよを見ていて偶然相坂さよと似てると気付いていた。
相坂さよの幽霊話は麻帆良では比較的有名な七不思議のような話なので、そのさよの生前の写真は何年か前に麻帆良スポーツに載ったりして知ってる人はそれなりにいる。
名前も同じさよでありよく見たら結構似てると一人で盛り上がるが、一緒に居る友人はそもそも相坂さよの幽霊話を信じてないらしい。
以前にも少し説明したが、相坂さよの幽霊話は有名なため肝試しなんかに行く人が結構居るのだ。
しかし実際に行くと全然それらしい気配すらないので、一部では昔の麻帆良祭でお化け屋敷をやった中等部のクラスが作った作り話ではとも言われていた。
「えっ!? わっわたし……」
「ほら、さよちゃんを怖がらせちゃったじゃん!」
「ゴメンね。 偶然名前が一緒で顔もなんとなく似てる気がしたからさ~」
突然の降って湧いたような正体の話にさよは思わず慌ててオロオロとしてしまうが、女子高生達はさよが怖がったのだろうと勘違いして慌てて謝る。
正直な話、誰一人としてさよが幽霊だとは思ってなかった。
仮にさよが幽霊だとカミングアウトしても、姿を消すなど明確な証拠を見せないと誰も信じないだろう。
さよ本人は結構ドキドキ物なのだが、幽霊を信じる者や仮に見える者が居ても今のさよを幽霊と見抜ける者は一般人には居るはずがなかった。
「本当に気にしないでね。 実際に見た人居ないし」
「特別珍しい名前じゃないしね。 似てるって言っても六十年も前の白黒写真一枚じゃあね……」
実際に相坂さよと氷室さよが似てると気付いた者は、彼女達よりも前にも何人か居る。
しかし比べる対象として一般に出回っているのは、2-Aのクラスの名簿にあるあの写真一枚だけであった。
六十年も前の白黒写真一枚と現実の人を比べて同一人物だと考える人間など存在しない。
人によっては気持ちがいい話ではないので今まで気付いた人達はさよには言わなかったのだが、今回の女子高生達はつい口に出してしまったようである。
(生前の知り合いにでも会わなきゃ大丈夫だよ)
そしてあからさまに動揺したさよを見ていた横島だが、こちらは全く心配してなかった。
現状のさよを見て幽霊だと信じる人など居ないのがある意味当然だった。