平和な日常~春~
結局その後は地下6階で未調査区域の蔵書の調査をしていくが、それがまた大変な作業だった
高い本棚で上からロープで吊されながら調査をするのだが、本の題名・作者・出版社に発行日時まで正確にメモして、表紙・背表紙・裏表紙をカメラで写真に収めていくのだ
加えてページの欠落などがないか中身も軽くチェックするために、かなり根気のいる作業である
そんな訳でロープで吊されながら蔵書の調査をしていく一同だったが、横島だけは一人本棚の上で見ているだけだった
木乃香達四人がロープで吊された状態で調査をする中、横島は彼女達のロープが解けたりしないか見守る役目であり彼女達を上まで引っ張り上げる役目でもある
以前はハルナと誰か一人の二人が上で横島と同じ役目をしてたらしいが、男の横島が来た事で調査の人数を増やしたらしい
「なんか地味なサークルだな。 考古学なんかの調査みたいだわ」
「当然です。 貴重な蔵書をしっかり調査把握するのが図書館探検部なのですから」
四人は地道に調査するのだが、横島は基本的に暇だった
予想以上に真剣で真面目なサークルに驚きを感じてるが、夕映を初めハルナまでも真剣に調査している
横島に地味なサークルだと言われた夕映は少しムッとしていたようだが……
薄暗い夜の図書館は所々にある明かりが目立ち、どこかで流れる水の音が静かに響いている
横島はそんな環境にふと深夜の除霊をしてた当時を思い出してしまう
静寂の時間が過ぎる中、木乃香達の耳には小さな声で何かの歌を口ずさむ横島の声が聞こえてくる
まるで母親の子守歌のような優しくせつない歌に、木乃香達は思わず作業を止めて聴き入ってしまう
それはおキヌの記憶の片隅にあった子守歌だった
誰が歌ったのかすら横島でも思い出せないその歌は、何故か横島の心にも強く残っている
(なんでやろ、胸が苦しくなるような……)
微かに聞こえてくる横島が歌う子守歌に、木乃香は何故か胸が苦しくなるような気がした
それは歌と言う言霊に、横島の霊力が無意識にほんの僅かだけ入ってしまっただけのこと
普通の人ならば感じる事も出来ないほどほんの僅かな霊力だったが、木乃香の眠れる才能が偶然感じとってしまったのだ
「聞いた事ない歌ね」
「横島さんの故郷の歌ですか?」
横島の子守歌が終わると、ハルナと夕映は少し驚いたように本棚の上の横島を見上げていた
それは普段の横島からは想像も出来ないほど歌が上手いというか、心に染みてくるような歌だったのだから
「五月蝿かったか? いや~、ゴメンゴメン」
いつの間にか四人の作業が止まっていた事に気付いた横島はいつもの調子で謝るが、四人はそんな事はないと笑って返していた
「もっと歌って欲しいわ~」
「そうですね。 静かな環境も悪くないですが、聞いてて心地よかったです」
「そうか? じゃあ、次は何がいいかな……」
木乃香と夕映に褒められた横島はそのまま調子に乗り次々に少し古い歌を披露していくが、予想外に歌が上手い横島にやはり彼女達は驚く事になる
少し話はズレるが、この日から少し後に図書館島の地下でどこからともなく不思議な歌声が聞こえるという噂が図書館探検部員に広がり、売れない歌手の幽霊が現れたとか若くして死んだ某ミュージシャンの幽霊が現れたとか噂になる事になるが……、横島達には直接関係ない事だった
高い本棚で上からロープで吊されながら調査をするのだが、本の題名・作者・出版社に発行日時まで正確にメモして、表紙・背表紙・裏表紙をカメラで写真に収めていくのだ
加えてページの欠落などがないか中身も軽くチェックするために、かなり根気のいる作業である
そんな訳でロープで吊されながら蔵書の調査をしていく一同だったが、横島だけは一人本棚の上で見ているだけだった
木乃香達四人がロープで吊された状態で調査をする中、横島は彼女達のロープが解けたりしないか見守る役目であり彼女達を上まで引っ張り上げる役目でもある
以前はハルナと誰か一人の二人が上で横島と同じ役目をしてたらしいが、男の横島が来た事で調査の人数を増やしたらしい
「なんか地味なサークルだな。 考古学なんかの調査みたいだわ」
「当然です。 貴重な蔵書をしっかり調査把握するのが図書館探検部なのですから」
四人は地道に調査するのだが、横島は基本的に暇だった
予想以上に真剣で真面目なサークルに驚きを感じてるが、夕映を初めハルナまでも真剣に調査している
横島に地味なサークルだと言われた夕映は少しムッとしていたようだが……
薄暗い夜の図書館は所々にある明かりが目立ち、どこかで流れる水の音が静かに響いている
横島はそんな環境にふと深夜の除霊をしてた当時を思い出してしまう
静寂の時間が過ぎる中、木乃香達の耳には小さな声で何かの歌を口ずさむ横島の声が聞こえてくる
まるで母親の子守歌のような優しくせつない歌に、木乃香達は思わず作業を止めて聴き入ってしまう
それはおキヌの記憶の片隅にあった子守歌だった
誰が歌ったのかすら横島でも思い出せないその歌は、何故か横島の心にも強く残っている
(なんでやろ、胸が苦しくなるような……)
微かに聞こえてくる横島が歌う子守歌に、木乃香は何故か胸が苦しくなるような気がした
それは歌と言う言霊に、横島の霊力が無意識にほんの僅かだけ入ってしまっただけのこと
普通の人ならば感じる事も出来ないほどほんの僅かな霊力だったが、木乃香の眠れる才能が偶然感じとってしまったのだ
「聞いた事ない歌ね」
「横島さんの故郷の歌ですか?」
横島の子守歌が終わると、ハルナと夕映は少し驚いたように本棚の上の横島を見上げていた
それは普段の横島からは想像も出来ないほど歌が上手いというか、心に染みてくるような歌だったのだから
「五月蝿かったか? いや~、ゴメンゴメン」
いつの間にか四人の作業が止まっていた事に気付いた横島はいつもの調子で謝るが、四人はそんな事はないと笑って返していた
「もっと歌って欲しいわ~」
「そうですね。 静かな環境も悪くないですが、聞いてて心地よかったです」
「そうか? じゃあ、次は何がいいかな……」
木乃香と夕映に褒められた横島はそのまま調子に乗り次々に少し古い歌を披露していくが、予想外に歌が上手い横島にやはり彼女達は驚く事になる
少し話はズレるが、この日から少し後に図書館島の地下でどこからともなく不思議な歌声が聞こえるという噂が図書館探検部員に広がり、売れない歌手の幽霊が現れたとか若くして死んだ某ミュージシャンの幽霊が現れたとか噂になる事になるが……、横島達には直接関係ない事だった