平和な日常~夏~2

その日の夕食は超包子で賑やかな夕食になっていた。

大人組のメンバーも何事もなく麻帆良に帰って来たことで一安心したらしく、お酒を頼んで夕食にしている。

実際限りなく休暇に近い護衛の仕事だった刀子も、問題が起きなくて安堵していた。

まあ可能性としては彼女達の力が必要になるような問題が起きる可能性はほとんどないが、心構えという点では常に持ってる必要があるのが護衛だ。

海を楽しみつつも最低限の心構えと警戒は当然していたのである。

そんな訳で少女達も大人組も同じように海の余韻を感じながらの夕食になるが、やはりテンションが高く元気なのはお酒を飲めない少女達だったのは言うまでもない。

タマモは夕食を食べる前にさっそく超や五月や手伝いに来た茶々丸にお土産を手渡しているし、そうすると素直に受け取るだけではつまらないと感じたのか超は全メニュー半額でいいと大盤振る舞いをする。

当のタマモは特にお返しを望んでお土産渡した訳ではないが、結果的にタマモの行動で半額になったことで一緒に居た少女達から褒められたり頭を撫でられたりして嬉しそうだった。


「ほらマスターもっと飲んで」

ちなみにこの日は横島を酔わせて本音を言わせようと企んだ少女達がどんどんお酒を勧めるが、そもそも横島は人間ではない。

多少は気持ちよくはなるが、普通の人間のように酔うことはあるはずがなかった。


「酔わないわね~。 ビールじゃダメなんじゃない? ウォッカとかテキーラとか飲んでよ」

暑いことから中華料理を肴にビールを飲んでいる横島に、少女達はビールではダメだと判断したのか強い酒を勧めてくる。


「ねえ超りん、自白剤とかないの?」

「こんなこともあろうかと……」

「やめんかー!!」

酒も飲んでないのにテンションがどんどん上がる少女達の一部は、何としても横島に本音を言わせようと超に自白剤を頼む。

超はそんな少女達の要望にニヤリと怪しげな笑みを見せると白い紙に包まれた怪しげな粉を、横島の酒に目の前で入れようとするが当然横島に止められてしまう。


「大丈夫ネ。 自白剤でも違法の薬でもないネ。 ちょっと気持ちよくなる程度ヨ」

「全然大丈夫じゃねえだろうが。 第一俺を酔わせて何が楽しいんだよ」

超の言葉が嘘か本当かは知らないが、周りの少女達は爆笑している。

実際横島にその手の薬が効く可能性はないが、効かないと効かないで不自然なため飲まないに越したことはない。


「せっかくマスターの本性を暴こうと思ったのに」

今回の主犯と言うか首謀者は美空と鳴滝姉妹であり、他の少女達も面白がって煽っている。

しかし美空は先程からシャークティが、そんな美空の姿に頭を痛めていたことに気付いてない。

流石にこの場で注意はしないらしいが、明日のお勤めの時にお説教が待ってる事実を美空は知らなかった。

結局この日は最後まで少女達に振り回される横島だが、明日菜は久しぶりに高畑と一緒に居る時間が多かったし他の少女達も楽しい一日になったようだ。

賑やかな夕食は夜遅くまで続くことになる。



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