平和な日常~夏~2
その後は相変わらず賑やかに朝食を食べる一同だったが、楽しげに食事をする少女達に刀子はふと数日前の夜を思い出してしまう。
「刀子さんも行くんですか!?」
その夜は刹那に頼まれて稽古の相手になっていた刀子だったが、ふとしたきっかけで海水浴に誘われて一緒に行くことを刹那に話すと予想外だったらしく驚かれていた。
「ええ、シャークティや高畑先生も行くらしいわよ。 影に護衛を付けるよりも同行した方が安全で確実だもの。 まあ休暇みたいなものになるでしょうけど」
驚く刹那に建前と本音の両方話すが、刹那は微妙な表情のままである。
相変わらず木乃香との距離を気にしてる刹那は、元々親しいとはいえ刀子が木乃香と親しくすることには僅かに複雑な感情を感じてしまうらしい。
「ねえ刹那。 貴女が本当にお嬢様のためを思うなら、友人として近くに居るべきだと思うわ。 そもそも単純な護衛なら他に人材は居るのよ。 貴女もそれは理解してるでしょう?」
今まで刀子は刹那のやることには口出しはして来なかった。
それは詠春や近右衛門から、刹那の好きなようにさせてやるように言われていたからである。
そもそも刹那が木乃香に近寄れない理由である半妖の事実も刀子は聞いており、刹那のことを頼まれてる立場だった。
故に今まで静かに見守っていたが、最近刀子は刹那と木乃香の関係をかなり気にしている。
正直現状のままでは誰も幸せになってないのだ。
刹那も木乃香も近くに居るのに、近寄れない寂しさばかり感じてマイナスにしかなってない。
「貴女が何を気にしてるかは理解してるけど、本当にそのままでいいの?」
この時、刀子はタマモを思い出していた。
タマモと刹那を単純に比べることは出来ないが、しかし現状の違いはあまりに大きい。
みんなに愛されているタマモと自分の世界に閉じこもってる刹那では天と地ほどの差があるのだ。
「大人になれば誰にでも言えないことの一つや二つはあるものよ。 例え一生秘密を抱えることになっても、昔のように友人として接してあげればお嬢様も喜ぶわよ」
突然の話に困惑する刹那に刀子はあえて心を鬼にして誰も言わなかったことを話していく。
それは傷口に塩を塗り込むようなことかもしれないと理解しつつも、刀子は木乃香と刹那の関係をなんとかしたかった。
(彼ならもっと上手くやるのかもね)
以前ならば言わないようなことを言ってしまった刀子だが、彼女に変化を与えていたのはやはり横島達である。
いつの間にか妖怪や幽霊を保護した横島を思い出し、刀子は自分の不器用さに苦笑いを浮かべそうになってしまう。
全てを明かすことが出来なくても気持ちは伝わるし友達にもなれる。
ある意味タマモやさよの現状を見ているだけに、刀子は刹那にもタマモ達のような存在になって欲しかったのだ
「刀子さん……」
一方の刹那は突然の話に驚きや困惑を隠せないが、刀子の話すことの意味は理解している。
刹那もまた横島やタマモの現状を見て少なからず影響を受けているし、それに刀子の言ってることも心の中では理解しているのだ。
「もし決心が出来たら言いなさい。 仲直りのきっかけくらいなら私が作ってあげるわよ」
苦悩して答えの出せない刹那に、刀子は柔らかい笑顔を見せると小さな助け舟を出す。
結局その日は何も変わらなかったが、刀子はいつの日か刹那が目の前の少女達と一緒に騒ぐ日が来ることを密かに願ってやまなかった。
「刀子さんも行くんですか!?」
その夜は刹那に頼まれて稽古の相手になっていた刀子だったが、ふとしたきっかけで海水浴に誘われて一緒に行くことを刹那に話すと予想外だったらしく驚かれていた。
「ええ、シャークティや高畑先生も行くらしいわよ。 影に護衛を付けるよりも同行した方が安全で確実だもの。 まあ休暇みたいなものになるでしょうけど」
驚く刹那に建前と本音の両方話すが、刹那は微妙な表情のままである。
相変わらず木乃香との距離を気にしてる刹那は、元々親しいとはいえ刀子が木乃香と親しくすることには僅かに複雑な感情を感じてしまうらしい。
「ねえ刹那。 貴女が本当にお嬢様のためを思うなら、友人として近くに居るべきだと思うわ。 そもそも単純な護衛なら他に人材は居るのよ。 貴女もそれは理解してるでしょう?」
今まで刀子は刹那のやることには口出しはして来なかった。
それは詠春や近右衛門から、刹那の好きなようにさせてやるように言われていたからである。
そもそも刹那が木乃香に近寄れない理由である半妖の事実も刀子は聞いており、刹那のことを頼まれてる立場だった。
故に今まで静かに見守っていたが、最近刀子は刹那と木乃香の関係をかなり気にしている。
正直現状のままでは誰も幸せになってないのだ。
刹那も木乃香も近くに居るのに、近寄れない寂しさばかり感じてマイナスにしかなってない。
「貴女が何を気にしてるかは理解してるけど、本当にそのままでいいの?」
この時、刀子はタマモを思い出していた。
タマモと刹那を単純に比べることは出来ないが、しかし現状の違いはあまりに大きい。
みんなに愛されているタマモと自分の世界に閉じこもってる刹那では天と地ほどの差があるのだ。
「大人になれば誰にでも言えないことの一つや二つはあるものよ。 例え一生秘密を抱えることになっても、昔のように友人として接してあげればお嬢様も喜ぶわよ」
突然の話に困惑する刹那に刀子はあえて心を鬼にして誰も言わなかったことを話していく。
それは傷口に塩を塗り込むようなことかもしれないと理解しつつも、刀子は木乃香と刹那の関係をなんとかしたかった。
(彼ならもっと上手くやるのかもね)
以前ならば言わないようなことを言ってしまった刀子だが、彼女に変化を与えていたのはやはり横島達である。
いつの間にか妖怪や幽霊を保護した横島を思い出し、刀子は自分の不器用さに苦笑いを浮かべそうになってしまう。
全てを明かすことが出来なくても気持ちは伝わるし友達にもなれる。
ある意味タマモやさよの現状を見ているだけに、刀子は刹那にもタマモ達のような存在になって欲しかったのだ
「刀子さん……」
一方の刹那は突然の話に驚きや困惑を隠せないが、刀子の話すことの意味は理解している。
刹那もまた横島やタマモの現状を見て少なからず影響を受けているし、それに刀子の言ってることも心の中では理解しているのだ。
「もし決心が出来たら言いなさい。 仲直りのきっかけくらいなら私が作ってあげるわよ」
苦悩して答えの出せない刹那に、刀子は柔らかい笑顔を見せると小さな助け舟を出す。
結局その日は何も変わらなかったが、刀子はいつの日か刹那が目の前の少女達と一緒に騒ぐ日が来ることを密かに願ってやまなかった。