平和な日常~夏~2
同じく八月に入ったばかりの頃、刀子は仕事の合間に一人考え事をしていた。
「どうしようかしらね」
それは龍宮神社のお祭りから数日した日のこと、木乃香が刀子に自分達と一緒に海水浴に行かないかと誘っていたのだ。
元々刀子は麻帆良に来た当初から木乃香とは交流があったので誘われたのは不思議ではないが、突然の誘いには何か隠された意図でもあるような気がしてならない。
ただ木乃香の警護を取り仕切ってる刀子としては、人混みに行く木乃香に同行出来るのはいいことである。
日頃から木乃香が麻帆良を離れる時は密かに護衛を付けているが、見つからぬように影に居ては万が一の時に間に合わぬ可能性もあるので近くに居ることに越したことはない。
まあそれほど危機的な状況ではないが、隠れながら護衛するのも楽ではないので堂々と同行出来るならその方がいいのは当然だった。
「学園長も相変わらずだし……」
この件に関して刀子は近右衛門に一応報告したが、同行するかしないかの判断は好きにしていいと任されていた。
仮に行くならば仕事扱いにはするが、休暇のつもりで楽しんでくればいいと楽観的な答えである。
加えて同行者で言えばシャークティと高畑と明石教授も誘われてることを刀子は後になって知った。
「このメンツじゃ楽な仕事なのは変わらないのよね」
明石教授はあまり戦闘系ではないが、高畑・刀子・シャークティの三人が一緒ならば警戒の必要もないほどの強力な布陣である。
近右衛門は仕事にするとは言ったが、内容はほとんど休暇だった。
まあ普通なら迷うことなく受けるような美味しい話なのだが、迷ってるのは同行者に横島が居るからだろう。
横島との関係は当然変化ないが、やはり刀子自身は横島との距離感を常に気にしている。
相変わらず正直もっと知りたいという気持ちと、これ以上知れば今後に影響するという気持ちで微妙なままの状態であった。
そもそも横島と一番親しい木乃香は刀子にとって主家の人間であるし、それ以上に昔から知ってる木乃香の気持ちを考えると刀子としては現状以上横島に関わるのは難しい。
実際近右衛門も木乃香もそんな立場や身分など全く考えてないが、刀子としては重要な問題である。
仮に万が一横島と刀子が恋人になったとしても、木乃香が将来的に横島を盗られたと感じたら問題なのだ。
主家の娘から男を盗ったなどと噂になれば、神鳴流に居場所が無くなるし実家のある京都にも帰れなくなる。
木乃香の性格上そんなことは有り得ないとも感じるが、周りがどう判断するかは別問題な訳だし。
「それに、あのメンツと比べられるのはちょっと……」
そんな立場や身分の問題もあるが、刀子にとって一番抵抗があるのは中学生の木乃香達と自分の水着姿が比べられることだった。
まだ子供っぽさが残る木乃香はともかく、大人も顔負けのスタイルを持つ千鶴やあやかと比べられたら立場がない。
肌の張りや若さではとても対抗出来ないのにスタイルや色気で負けたら立場がない。
いろいろ悩む刀子だが素直に横島との関係を友人にするのは抵抗があるし、かと言って中学生の少女達と同じ立場になるのは抵抗があるのだ。
彼女の悩みは深まるばかりだったが、すでに手遅れになりつつある現状に彼女はやはり気付いてなかった。
「どうしようかしらね」
それは龍宮神社のお祭りから数日した日のこと、木乃香が刀子に自分達と一緒に海水浴に行かないかと誘っていたのだ。
元々刀子は麻帆良に来た当初から木乃香とは交流があったので誘われたのは不思議ではないが、突然の誘いには何か隠された意図でもあるような気がしてならない。
ただ木乃香の警護を取り仕切ってる刀子としては、人混みに行く木乃香に同行出来るのはいいことである。
日頃から木乃香が麻帆良を離れる時は密かに護衛を付けているが、見つからぬように影に居ては万が一の時に間に合わぬ可能性もあるので近くに居ることに越したことはない。
まあそれほど危機的な状況ではないが、隠れながら護衛するのも楽ではないので堂々と同行出来るならその方がいいのは当然だった。
「学園長も相変わらずだし……」
この件に関して刀子は近右衛門に一応報告したが、同行するかしないかの判断は好きにしていいと任されていた。
仮に行くならば仕事扱いにはするが、休暇のつもりで楽しんでくればいいと楽観的な答えである。
加えて同行者で言えばシャークティと高畑と明石教授も誘われてることを刀子は後になって知った。
「このメンツじゃ楽な仕事なのは変わらないのよね」
明石教授はあまり戦闘系ではないが、高畑・刀子・シャークティの三人が一緒ならば警戒の必要もないほどの強力な布陣である。
近右衛門は仕事にするとは言ったが、内容はほとんど休暇だった。
まあ普通なら迷うことなく受けるような美味しい話なのだが、迷ってるのは同行者に横島が居るからだろう。
横島との関係は当然変化ないが、やはり刀子自身は横島との距離感を常に気にしている。
相変わらず正直もっと知りたいという気持ちと、これ以上知れば今後に影響するという気持ちで微妙なままの状態であった。
そもそも横島と一番親しい木乃香は刀子にとって主家の人間であるし、それ以上に昔から知ってる木乃香の気持ちを考えると刀子としては現状以上横島に関わるのは難しい。
実際近右衛門も木乃香もそんな立場や身分など全く考えてないが、刀子としては重要な問題である。
仮に万が一横島と刀子が恋人になったとしても、木乃香が将来的に横島を盗られたと感じたら問題なのだ。
主家の娘から男を盗ったなどと噂になれば、神鳴流に居場所が無くなるし実家のある京都にも帰れなくなる。
木乃香の性格上そんなことは有り得ないとも感じるが、周りがどう判断するかは別問題な訳だし。
「それに、あのメンツと比べられるのはちょっと……」
そんな立場や身分の問題もあるが、刀子にとって一番抵抗があるのは中学生の木乃香達と自分の水着姿が比べられることだった。
まだ子供っぽさが残る木乃香はともかく、大人も顔負けのスタイルを持つ千鶴やあやかと比べられたら立場がない。
肌の張りや若さではとても対抗出来ないのにスタイルや色気で負けたら立場がない。
いろいろ悩む刀子だが素直に横島との関係を友人にするのは抵抗があるし、かと言って中学生の少女達と同じ立場になるのは抵抗があるのだ。
彼女の悩みは深まるばかりだったが、すでに手遅れになりつつある現状に彼女はやはり気付いてなかった。