平和な日常~夏~2

さて最近恒例となりつつある店でのパーティーだが、今回違うのは2-A以外の少女も居ることだろう。

みんな店の常連であり近くの同じ女子寮なためお祭りからの流れで参加した者も居る。

ちなみに横島が全く見たことない少女も僅かだが一緒に混じって騒いでいるが、気にする者はいないようだった。


「なんか残ってたっけか」

そんな少女達はお祭りで買って来た食べ物でさっそく騒ぎ始めるが、横島は厨房にある大きなタライに金魚を一時的に泳がせて、とりあえず何かつまむ物でも作れないかと冷蔵庫を確認する。

麻帆良祭でも突然のパーティーの時はそうだったが、今回も食べ物は持参で横島に迷惑をかけないようにと一応配慮してるらしい。

しかし横島はせっかくだからと何か作るつもりだった。


「とりあえず余ったスイーツでも出しとくか」

食料を確認した横島だったが、思っていたよりも在庫がなく特に生鮮食品は明日のスイーツを作る分の果物しかない。

とりあえずすぐに出せる今日の営業で余ったスイーツを出すことにする。

ちなみに通常この手の余り物は木乃香達が持ち帰るか横島達が食べていた。

木乃香達は流石に毎日スイーツを食べるのもアレなので、クラスメートや知り合いに余り物として配ったりしてるらしい。

ただ今日はお祭りがあるので、余り物なんかを持ち帰らなかったのでまだ余ってるのだ。

そんな訳でお祭りで買った食べ物とスイーツで余計にテンションが上がり騒ぎ始める少女達だったが、そんな時二人の女性が店を訪れていた。


「あっ、刀子先生いらっしゃい!」

やって来たのは髪を結いあげて浴衣姿の刀子と、同じく浴衣姿のシャークティの二人である。

実は二人は広域指導員の仕事としてお祭りを巡回していてその帰りらしい。

店の明かりが付いてることから寄ったようだが、店内で騒ぐ少女達の姿に刀子は一瞬表情が強張る。


「うわ、気合い入ってる大人の女性って感じね」

「先生達も一緒にどうですか?」

若い少女達が騒ぐのを見て二人は少しだけ来たことを後悔するがもう遅く、あっと言う間に少女達に囲まれていく。

浴衣や結いあげた髪を見て騒ぐ少女も居れば飲み物や食べ物を勧める少女も居たりと反応は様々だ。

ただ少女達には悪気など全くなく一緒に楽しもうと考えてるだけである。


「楽しむのはいいけど、夜なんだしご近所に迷惑のかからないようにね」

結局二人は少女達に流されるようにパーティーに参加するハメになるが、さほど煩く言うこともなく時折最低限の常識を指摘する程度だった。

刀子は女子中等部の教師でシャークティはシスターだが、二人は広域指導員としてそれなりに有名である。

広域指導員と言っても仕事は様々だが、二人は女性という立場から基本的に女性でなくてはならない仕事をすることも多い。

特に女子生徒には比較的近い立場として、親身に接することが必要な立場であった。

まあ広域指導員には様々な立場があり、厄介事が専門の高畑や憎まれ役の新田などそれぞれに立場があるのだ。

飴と鞭という訳ではないが、広域指導員としても役割やバランスがあるのは生徒は知らない秘密だった。

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