平和な日常~夏~2

さて楽しげに水着を選んでいく木乃香達だったが、タマモが木乃香と明日菜に選んだ水着は割とまともというか流行に乗ったものだった。

これは先程も説明したが、前日にハニワ兵が教えた流行をタマモが忠実に守ったからである。

イマイチ現代の価値観を理解してないタマモは教えられたことを忠実に守ったらしい。


その後ショッピングセンター内をゆっくり歩きながらゆっくりするのだが、ふとしたきっかけでさよの普段の生活に及んでいた。

まあきっかけと言っても、さよの通う学校がどんなところなのかと気になった木乃香が尋ねたのだが。


「えっと……、田舎の普通の小さな学校ですよ。 私生れつき身体が弱くてあんまり行けなかったんですけど」

まさか本当は幽霊であり同じクラスに居たとは言えないさよは、横島に教えられた通りの嘘をつく。

せっかく友達になった木乃香や明日菜に嘘を付かねばならないさよは、罪悪感を感じつつも真実を言ってはいけないということは一応理解しているらしい。

最もさよの場合は難しいことは考えてないので、昔話的に正体がばれたら大変なことになるという認識しかなかったが……。


「じゃあ海に行ったことないのも仕方ないわよね」

先程から水着を見て騒いでいたさよが海に行ったことがないのも、全ては病弱なせいだということになっていた。

木乃香は元より明日菜までさよの話を信じており、元気になってよかったねと励ましている。



そんな中でタマモは木乃香と手を繋いで話に参加していたが、時折不思議そうに後ろを振り返っては首を傾げていた。


「タマちゃんどないしたん?」

「ううん。 なんでもない」

タマモの様子に気付いた木乃香は何か欲しい物でもあるのかと尋ねるが、タマモはなんでもないとしか言わない。

実はタマモの知ってる人が後ろを一定の距離で隠れながら着いて来てるのが、タマモは不思議だったようだ。

その相手はもちろん桜咲刹那である。

この日刹那は木乃香の護衛として影ながら尾行していたが、残念ながらタマモが気付いてしまったのだ。

ただタマモも最近少し学習しており、隠れて尾行してる人のことは言ってはいけないのは理解している。

これは時々タマモが木乃香の護衛を見つける度に横島に無言の仕種で教えるのだが、横島は大丈夫だとの態度で返してるためだった。

ちなみにタマモは木乃香の護衛の人を匂いで覚えている。

ただ今回の護衛が以前定期テスト後のパーティーにもいた刹那だったので、少し不思議に感じたらしい。

タマモの感覚ではあのパーティーにいたのは木乃香達の友達だと感じたので、何故声をかけて来ないのか気になったようである。


「まさかバレたか? あの人より鋭いのかもしれないな」

一方刹那は今まで何回尾行しても全く気付くそぶりすらなかった横島の影響からか若干油断していたが、タマモが気付いた様子だったために冷や汗を流していた。

十分気配は消していたが、そもそも嗅覚でタマモにバレるとは思いもしなかったのかもしれない。



45/100ページ
スキ