平和な日常~夏~2
一方この日はさよも朝から店に居て、タマモと一緒に遊んだりおしゃべりをしていた。
普段の休日のさよは二階でテレビ見たりしていることが多かったが、実体化したことによりもっと友達が欲しいと思うようになり今日は一階にいる。
そしてタマモの方は、前日買って送ったお土産が届くと常連などの親しい者達にお土産をせっせと配っていた。
配ってる相手はほとんどが店の客であり、ニコニコと嬉しそうなタマモが東京土産を手渡すと当然驚いてしまう。
中には貰っていいのか悩み悪いからと遠慮する者も結構居るが、受け取って貰えないのかと感じたタマモが悲しそうな表情をするので最終的にはみんな喜んで受け取っている。
「エヴァさんおはようございます!」
微笑ましい空気が流れる店内だったが、相変わらず無表情なエヴァが店内に入って来るとさよは嬉しそうに手を振っていた。
実体化前からの数少ない友達であるエヴァが来てさよは反射的に声をかけただけだったが、対するエヴァは当然実体化したさよを見て固まってしまう。
しかもそんなエヴァにもタマモが嬉しそうにお土産を持って来るのだから、流石のエヴァも反応に困った様子である。
周りの客達もお土産を手渡すタマモを微笑ましげに見ているため、エヴァは何気に注目を集めていた。
「ありがとう……」
妙に注目を集めたエヴァは周りの視線が少しうざく感じつつも、タマモに僅かだが笑みを見せて小さな声でありがとうと口にする。
少し困ったような照れたようなエヴァの言葉に、タマモが嬉しそうに笑顔で返すと店内の視線がエヴァから離れていく。
まあ店内の客達もタマモの行動で驚く他の客の様子が見たいのであって他意はないのだ。
(他人に礼を言うなどいつ以来だろうな……)
タマモから貰ったお土産を手に持ち、エヴァは他人に礼を言ったのはいつ以来だったかとふと考え込む。
人と関わらずに生きてどれだけ時が過ぎたかは定かではないが、素直に礼を言うようなことなど随分久しぶりだった。
相手が並の人間の大人ならば無視したかもしれないが、純粋にただ相手を喜ばせようとするタマモの真っすぐな気持ちを踏みにじることなど出来るはずがない。
(私にも……)
嬉しそうなタマモやさよと高校生らしき女性の相談に乗る横島に視線を向けたエヴァは、思わず自身の過去を思い出しタマモやさよが少しだけ羨ましく感じてしまう。
人ならざる者が何の憂いもなく幸せに暮らすのは本当に簡単ではないし、それを支えてるのは直接面倒見てる横島や間接的に見守っている近右衛門達なのだ。
まあ横島が物好きなのはエヴァから見ても今更だが、そんな横島の行動を容認する近右衛門のような支配者もまた非常に珍しい。
多くの理解ある者により何の曇りもない笑顔を見せるタマモが、エヴァはほんの少しだけ羨ましかった。
「エヴァさん、どうですか?」
そのままいつもの指定席に座ったエヴァだが、今度はさよがやって来て実体化した自分をどうかと見せていた。
「ああ、見事だな」
今のさよはよほどの術者でなければ正体すら見破れないだろうと感じるエヴァだったが、それよりも幽霊を軽々しく実体化した横島に呆れたようにため息をついていた。
普段の休日のさよは二階でテレビ見たりしていることが多かったが、実体化したことによりもっと友達が欲しいと思うようになり今日は一階にいる。
そしてタマモの方は、前日買って送ったお土産が届くと常連などの親しい者達にお土産をせっせと配っていた。
配ってる相手はほとんどが店の客であり、ニコニコと嬉しそうなタマモが東京土産を手渡すと当然驚いてしまう。
中には貰っていいのか悩み悪いからと遠慮する者も結構居るが、受け取って貰えないのかと感じたタマモが悲しそうな表情をするので最終的にはみんな喜んで受け取っている。
「エヴァさんおはようございます!」
微笑ましい空気が流れる店内だったが、相変わらず無表情なエヴァが店内に入って来るとさよは嬉しそうに手を振っていた。
実体化前からの数少ない友達であるエヴァが来てさよは反射的に声をかけただけだったが、対するエヴァは当然実体化したさよを見て固まってしまう。
しかもそんなエヴァにもタマモが嬉しそうにお土産を持って来るのだから、流石のエヴァも反応に困った様子である。
周りの客達もお土産を手渡すタマモを微笑ましげに見ているため、エヴァは何気に注目を集めていた。
「ありがとう……」
妙に注目を集めたエヴァは周りの視線が少しうざく感じつつも、タマモに僅かだが笑みを見せて小さな声でありがとうと口にする。
少し困ったような照れたようなエヴァの言葉に、タマモが嬉しそうに笑顔で返すと店内の視線がエヴァから離れていく。
まあ店内の客達もタマモの行動で驚く他の客の様子が見たいのであって他意はないのだ。
(他人に礼を言うなどいつ以来だろうな……)
タマモから貰ったお土産を手に持ち、エヴァは他人に礼を言ったのはいつ以来だったかとふと考え込む。
人と関わらずに生きてどれだけ時が過ぎたかは定かではないが、素直に礼を言うようなことなど随分久しぶりだった。
相手が並の人間の大人ならば無視したかもしれないが、純粋にただ相手を喜ばせようとするタマモの真っすぐな気持ちを踏みにじることなど出来るはずがない。
(私にも……)
嬉しそうなタマモやさよと高校生らしき女性の相談に乗る横島に視線を向けたエヴァは、思わず自身の過去を思い出しタマモやさよが少しだけ羨ましく感じてしまう。
人ならざる者が何の憂いもなく幸せに暮らすのは本当に簡単ではないし、それを支えてるのは直接面倒見てる横島や間接的に見守っている近右衛門達なのだ。
まあ横島が物好きなのはエヴァから見ても今更だが、そんな横島の行動を容認する近右衛門のような支配者もまた非常に珍しい。
多くの理解ある者により何の曇りもない笑顔を見せるタマモが、エヴァはほんの少しだけ羨ましかった。
「エヴァさん、どうですか?」
そのままいつもの指定席に座ったエヴァだが、今度はさよがやって来て実体化した自分をどうかと見せていた。
「ああ、見事だな」
今のさよはよほどの術者でなければ正体すら見破れないだろうと感じるエヴァだったが、それよりも幽霊を軽々しく実体化した横島に呆れたようにため息をついていた。