平和な日常~夏~2
お土産の購入を終えて店を出ると辺りはすっかり暗くなっていた。
麻帆良の街とは違い看板やネオンが当然のように存在する東京の夜は、タマモとさよにとっては新鮮なものらしい。
実際横島にとっても、それはどこか懐かしさと新鮮さが入り混じったように感じる。
当たり前に存在する看板やネオンの光だが、景観に規制がある麻帆良にはほとんど存在しないのだ。
横島にとって世界は違うが東京の街は慣れ親しんだ街でもあるし、久しぶりに見る東京の夜は少し複雑な心境になってしまう。
「そろそろ帰ろうか」
そんな中でも横島は時間的にそろそろ帰ろうかと二人に切り出すが、二人はもう少し遊びたいのかちょっと残念そうな表情をする。
せっかくだから夜の街を散歩でもしないのかもしれないが、流石に朝から歩き続けているのでタマモは疲れの表情も見えていた。
横島はまたいつまでも遊びに来れるからと二人を説得して、麻帆良に帰ることになる。
「世の中って、不思議なこといっぱいなんですね」
そのまま帰路に着く横島達だったが、さよはタマモと繋いだ手の温かさに思わずポツリと本音を漏らしていた。
自分が幽霊だということを今日ほど忘れた日は無い。
当たり前のように普通に楽しんだ今日一日が、どれだけ幸せで貴重な体験かはさよが一番理解している。
「そうだな。 でももっと不思議なことはいっぱいあるよ」
現在横島達はタマモを真ん中に両端を横島とさよが手を繋いでおり、ハニワ兵ははさよが抱えてた。
それは特別珍しいことではなく先程からずっとそのまま歩いてるのだが、横島はさよの本音に意味ありげな笑顔を見せていた。
(友達になって欲しいか……)
ふと思い返してみるとさよはただ友達が欲しかっただけなのだと思うと、横島はつい笑ってしまいそうになる。
心の奥底で密かに願っても決して言えない願いは誰にでもあるが、さよのそんな願いの一つは今日叶ったかもしれないのだ。
横島自身も今までそれほど深く考えた訳ではないが、幸せそうなさよの笑顔を見ていると横島も幸せな気分になっていく。
(一番不思議なのは……)
そんな意味ありげな笑顔で見つめる横島に、さよは言葉に出来ないほど複雑な感情が自分の中に込み上げてくるのを感じる。
それが何なのか今のさよ自身には分からないが、さよの止まっていた時間が少しずつ動き出してることは確かだった。
(きっと、神様がくれたご褒美なんですね)
複雑な心境のまま今日という幸せな日は神様がくれたご褒美だと考えたさよは、こんな幸せなことは二度とないかもしれないからと自分に言い聞かせるように心に刻み込む。
しかし……、さよは知らない。
今日という日が決して特別ではないのだということを……。
そして神様ですら非常識だと言い切る存在が、ごくごく身近に居るなどとは思いもしなかった。
麻帆良の街とは違い看板やネオンが当然のように存在する東京の夜は、タマモとさよにとっては新鮮なものらしい。
実際横島にとっても、それはどこか懐かしさと新鮮さが入り混じったように感じる。
当たり前に存在する看板やネオンの光だが、景観に規制がある麻帆良にはほとんど存在しないのだ。
横島にとって世界は違うが東京の街は慣れ親しんだ街でもあるし、久しぶりに見る東京の夜は少し複雑な心境になってしまう。
「そろそろ帰ろうか」
そんな中でも横島は時間的にそろそろ帰ろうかと二人に切り出すが、二人はもう少し遊びたいのかちょっと残念そうな表情をする。
せっかくだから夜の街を散歩でもしないのかもしれないが、流石に朝から歩き続けているのでタマモは疲れの表情も見えていた。
横島はまたいつまでも遊びに来れるからと二人を説得して、麻帆良に帰ることになる。
「世の中って、不思議なこといっぱいなんですね」
そのまま帰路に着く横島達だったが、さよはタマモと繋いだ手の温かさに思わずポツリと本音を漏らしていた。
自分が幽霊だということを今日ほど忘れた日は無い。
当たり前のように普通に楽しんだ今日一日が、どれだけ幸せで貴重な体験かはさよが一番理解している。
「そうだな。 でももっと不思議なことはいっぱいあるよ」
現在横島達はタマモを真ん中に両端を横島とさよが手を繋いでおり、ハニワ兵ははさよが抱えてた。
それは特別珍しいことではなく先程からずっとそのまま歩いてるのだが、横島はさよの本音に意味ありげな笑顔を見せていた。
(友達になって欲しいか……)
ふと思い返してみるとさよはただ友達が欲しかっただけなのだと思うと、横島はつい笑ってしまいそうになる。
心の奥底で密かに願っても決して言えない願いは誰にでもあるが、さよのそんな願いの一つは今日叶ったかもしれないのだ。
横島自身も今までそれほど深く考えた訳ではないが、幸せそうなさよの笑顔を見ていると横島も幸せな気分になっていく。
(一番不思議なのは……)
そんな意味ありげな笑顔で見つめる横島に、さよは言葉に出来ないほど複雑な感情が自分の中に込み上げてくるのを感じる。
それが何なのか今のさよ自身には分からないが、さよの止まっていた時間が少しずつ動き出してることは確かだった。
(きっと、神様がくれたご褒美なんですね)
複雑な心境のまま今日という幸せな日は神様がくれたご褒美だと考えたさよは、こんな幸せなことは二度とないかもしれないからと自分に言い聞かせるように心に刻み込む。
しかし……、さよは知らない。
今日という日が決して特別ではないのだということを……。
そして神様ですら非常識だと言い切る存在が、ごくごく身近に居るなどとは思いもしなかった。