平和な日常~夏~2
そのまま都内を観光しながらぶらぶらすることにした横島達だったが、真っ先に向かったのは都内の某ホテルのレストランの食べ放題だった。
実は先程からさよが六十年ぶりに食事を出来ると知って楽しみにしていたのだ。
幽霊の自分が何故食事が出来るのか若干不思議に思うさよだが、まあいいかと難しいことを流して素直に楽しむ辺りは横島と気が合うタイプなのかもしれない。
「一度でいいから来てみたかったんです!」
横島と出会って以来さよの生活は激変している。
以前と違いテレビを自由に見ることが出来るようになり、さよは多くの現代の情報を知ることが出来るようになったのだ。
まあさよは以前からテレビは知っていたし少しなら見たこともあるが、自由に見れる環境が与える影響は想像以上に大きかった。
さよが生きていた時代には無かった美味しそうな料理の数々をテレビや横島の店で見たさよは、一度でいいから味わってみたいと密かに願っていたのである。
「本当に美味そうだな~ とりあえず腹ごしらえするか」
たくさんの料理に目を輝かせるさよと同じように、横島もまた目を輝かせて食べたい料理を取り皿に取っていく。
無論幼いタマモは自分ではなかなか料理を取れないので、タマモの料理を取るのを優先させるのは当然しているが。
「いい眺めだね、タマモちゃん」
「うん、おおきなおうちがいっぱい」
それぞれに取り皿に料理を選ぶと窓際の席に座った三人だったが、ホテルの上層部にあるレストランなだけに眺めがとてもよかった。
都心のビル群や無数の建物に所々に見える自然、さよとタマモはそんな街の景色をしばし料理を忘れて魅入ってしまうほどである。
今はまるで姉妹のように生活してる二人だが、やはり彼女達は現代の普通の人間ではない。
東京の街を眺める二人は驚きや喜びに満ちてはいるが、微かに淋しさが心に過ぎるのは仕方ないことだろう。
そんな二人の微妙な心の変化に横島は気付いていたが、あえて何も言わずに優しく見守っていた。
「流石は一流ホテルだな。 やっぱ美味いわ」
しばし外を眺めていた三人だったがいい匂いのする料理をいつまでも放置するはずもなく、再び目を輝かせて食事を始める。
「……本当に美味しいです。 私の生きてた時もこんな料理だったのかな……」
横島とタマモは美味しい料理に普通に笑顔になるが、六十年ぶりの食事であるさよは何故か笑顔ではなくなんとも言えない表情でポツリと呟く。
一言で六十年と言うのは簡単だがさよはいろんな想いが込み上げて来てしまったらしく、そのままぽろぽろと涙をこぼしてしまう。
今はもう思い出すことすら出来ない生きてた時の微かな感情や、孤独の中で多くの学生を見守って来た六十年の感情が味覚という刺激により蘇ってしまったのかもしれない。
実は先程からさよが六十年ぶりに食事を出来ると知って楽しみにしていたのだ。
幽霊の自分が何故食事が出来るのか若干不思議に思うさよだが、まあいいかと難しいことを流して素直に楽しむ辺りは横島と気が合うタイプなのかもしれない。
「一度でいいから来てみたかったんです!」
横島と出会って以来さよの生活は激変している。
以前と違いテレビを自由に見ることが出来るようになり、さよは多くの現代の情報を知ることが出来るようになったのだ。
まあさよは以前からテレビは知っていたし少しなら見たこともあるが、自由に見れる環境が与える影響は想像以上に大きかった。
さよが生きていた時代には無かった美味しそうな料理の数々をテレビや横島の店で見たさよは、一度でいいから味わってみたいと密かに願っていたのである。
「本当に美味そうだな~ とりあえず腹ごしらえするか」
たくさんの料理に目を輝かせるさよと同じように、横島もまた目を輝かせて食べたい料理を取り皿に取っていく。
無論幼いタマモは自分ではなかなか料理を取れないので、タマモの料理を取るのを優先させるのは当然しているが。
「いい眺めだね、タマモちゃん」
「うん、おおきなおうちがいっぱい」
それぞれに取り皿に料理を選ぶと窓際の席に座った三人だったが、ホテルの上層部にあるレストランなだけに眺めがとてもよかった。
都心のビル群や無数の建物に所々に見える自然、さよとタマモはそんな街の景色をしばし料理を忘れて魅入ってしまうほどである。
今はまるで姉妹のように生活してる二人だが、やはり彼女達は現代の普通の人間ではない。
東京の街を眺める二人は驚きや喜びに満ちてはいるが、微かに淋しさが心に過ぎるのは仕方ないことだろう。
そんな二人の微妙な心の変化に横島は気付いていたが、あえて何も言わずに優しく見守っていた。
「流石は一流ホテルだな。 やっぱ美味いわ」
しばし外を眺めていた三人だったがいい匂いのする料理をいつまでも放置するはずもなく、再び目を輝かせて食事を始める。
「……本当に美味しいです。 私の生きてた時もこんな料理だったのかな……」
横島とタマモは美味しい料理に普通に笑顔になるが、六十年ぶりの食事であるさよは何故か笑顔ではなくなんとも言えない表情でポツリと呟く。
一言で六十年と言うのは簡単だがさよはいろんな想いが込み上げて来てしまったらしく、そのままぽろぽろと涙をこぼしてしまう。
今はもう思い出すことすら出来ない生きてた時の微かな感情や、孤独の中で多くの学生を見守って来た六十年の感情が味覚という刺激により蘇ってしまったのかもしれない。