平和な日常~夏~
一方木乃香からパーティーをやりたいとのメールを受け取った横島だが、タマモと二人でお昼ご飯のデザートにスイカを食べている最中だった。
ここ数日麻帆良の街には本格的な夏の暑さが訪れており、横島の店でも冷し中華などが販売されているのだ。
そしてこの日の日替わりメニューは、なんと冷やしたスイカだった。
最早料理とも呼べないが、これが割と好評で結構売れてるのだから世の中何が売れるか分からない。
「やっぱ夏はスイカだよな~」
「うん、おいしい」
お客さんには要望を聞いてリクエストがあれば食べやすいようにカットして出していたが、横島とタマモは小さめにカットしたスイカを手で持ってかぶりつくスタイルで食べている。
それはもちろん横島のこだわりからで、スイカはかぶりつくのが一番美味しいとの理由から二人は普通にかぶりついて食べているのだ。
「今日の夜は店を貸し切りにして、木乃香ちゃん達がパーティーやるんだってさ。 ごちそう作るからお腹空かせておくんだぞ」
冷たく冷やしたスイカに塩を振り食べた横島とタマモは満足そうに昼食を終えたが、横島はタマモに夜のパーティーの話を教えていく。
そもそもタマモはパーティーをよく解ってなく、みんなで集まって一緒にご飯を食べることだと教えると目を輝かせて笑顔を見せる。
(性格が全く違うな。 最低限の記憶がないこともあるけど、木乃香ちゃん達とさよちゃんの影響が大きいな)
純粋に夜を楽しみにするタマモを見ていた横島は、ふとこの数週間の出来事を思い返していた。
この世界のタマモが現世に復活してまだ一ヶ月も過ぎてないが、その性格はかつての世界のタマモとは似ても似つかない性格になってしまったのだ。
元々金毛白面九尾としての最低限の記憶すら欠けているところに、木乃香やさよ達が親身になっていることがかなり影響を与えている。
基本的に悪意などない木乃香達とさよの存在は、赤ん坊のようなタマモの精神に大きな影響を与えているのだ。
見返りなど求めない純粋な愛情を受けているタマモは、妖狐族としては異質なほど人間に対し警戒心がない。
まあそれはいい面でもあるが、タマモのこれからを考えると横島は少し心配にもなってしまう。
世の中は決して優しいだけではないし綺麗なだけでもないのだから。
(いくら力があっても不安は消えないもんだな)
横島の表情が僅かに変わったことに気付いたタマモはキョトンとした様子で見つめているが、そんなタマモの表情を見てる横島は自分の限界を悟ってしまう。
奇跡に奇跡を重ねて得た力や能力も決して万能ではないし、横島一人では身近なタマモの未来ですら不安になるのだ。
当たり前のことだが、生きとし生ける者の心までは力ではどうしようもない。
麻帆良での平和で幸せな日々の生活は、横島にそんな当たり前の現実を再認識させていた。
「わたしもやる」
微妙に心が揺れる横島だが、そんな微かな不安を心の奥底にしまい込むと夜のパーティーの準備を始める。
やる気満々なタマモと二人で料理をする横島は本当に楽しそうであった。
ここ数日麻帆良の街には本格的な夏の暑さが訪れており、横島の店でも冷し中華などが販売されているのだ。
そしてこの日の日替わりメニューは、なんと冷やしたスイカだった。
最早料理とも呼べないが、これが割と好評で結構売れてるのだから世の中何が売れるか分からない。
「やっぱ夏はスイカだよな~」
「うん、おいしい」
お客さんには要望を聞いてリクエストがあれば食べやすいようにカットして出していたが、横島とタマモは小さめにカットしたスイカを手で持ってかぶりつくスタイルで食べている。
それはもちろん横島のこだわりからで、スイカはかぶりつくのが一番美味しいとの理由から二人は普通にかぶりついて食べているのだ。
「今日の夜は店を貸し切りにして、木乃香ちゃん達がパーティーやるんだってさ。 ごちそう作るからお腹空かせておくんだぞ」
冷たく冷やしたスイカに塩を振り食べた横島とタマモは満足そうに昼食を終えたが、横島はタマモに夜のパーティーの話を教えていく。
そもそもタマモはパーティーをよく解ってなく、みんなで集まって一緒にご飯を食べることだと教えると目を輝かせて笑顔を見せる。
(性格が全く違うな。 最低限の記憶がないこともあるけど、木乃香ちゃん達とさよちゃんの影響が大きいな)
純粋に夜を楽しみにするタマモを見ていた横島は、ふとこの数週間の出来事を思い返していた。
この世界のタマモが現世に復活してまだ一ヶ月も過ぎてないが、その性格はかつての世界のタマモとは似ても似つかない性格になってしまったのだ。
元々金毛白面九尾としての最低限の記憶すら欠けているところに、木乃香やさよ達が親身になっていることがかなり影響を与えている。
基本的に悪意などない木乃香達とさよの存在は、赤ん坊のようなタマモの精神に大きな影響を与えているのだ。
見返りなど求めない純粋な愛情を受けているタマモは、妖狐族としては異質なほど人間に対し警戒心がない。
まあそれはいい面でもあるが、タマモのこれからを考えると横島は少し心配にもなってしまう。
世の中は決して優しいだけではないし綺麗なだけでもないのだから。
(いくら力があっても不安は消えないもんだな)
横島の表情が僅かに変わったことに気付いたタマモはキョトンとした様子で見つめているが、そんなタマモの表情を見てる横島は自分の限界を悟ってしまう。
奇跡に奇跡を重ねて得た力や能力も決して万能ではないし、横島一人では身近なタマモの未来ですら不安になるのだ。
当たり前のことだが、生きとし生ける者の心までは力ではどうしようもない。
麻帆良での平和で幸せな日々の生活は、横島にそんな当たり前の現実を再認識させていた。
「わたしもやる」
微妙に心が揺れる横島だが、そんな微かな不安を心の奥底にしまい込むと夜のパーティーの準備を始める。
やる気満々なタマモと二人で料理をする横島は本当に楽しそうであった。