平和な日常~夏~

さてその日の放課後は木乃香やバカレンジャーに加え美砂達や裕奈達など、2-Aの半数以上の少女達が集まって来ていた

どうやら2-Aのクラスに配布された麻帆良祭公式ブックをわざわざ持って来て、横島に見せようという話になったらしい


「いや~、マスターと木乃香の写真一番目立ってるね~」

「どう見ても恋人にしか見えないわよね」

来て早々に公式ブックを横島に見せたのは、もちろん木乃香との写真である

横島は美砂達や裕奈やまき絵などに当然のようにからかわれていた

中には今日まで写真の存在を知らない者も居るだけに、余計に騒ぎが大きくなっている


「……何もこんな目立つ場所に載せんでもいいだろうに」

「この公式ブックは各学校の図書館や図書館島には歴代の本がありますので、一生記録として残る物です」

正直予想よりも遥かに目立つ扱いに、横島はどう反応していいか分からずに若干戸惑っていた

別に嫌な訳ではないが、いい年して中学生に口を拭かれてる姿を写されるのは恥ずかしいものでもあるのだ

麻帆良祭が終わりこの写真で騒がれることが無くなったと、内心でホッとしていただけに衝撃は予想よりも大きい

そんな横島の心境を察したのか知らないが、夕映はこれで一生形として残ると教えると横島は渇いた笑いを浮かべるしか出来なかった


「おまつり?」

「うん、そうなんや。 タマちゃんが来るちょっと前にあったんよ」

一方横島がからかわれてる傍らでは、木乃香や千鶴達が公式ブックをタマモに見せて麻帆良祭を教えていた

木乃香は学校で散々からかわれたのですでに慣れてしまったし、恥ずかしい気持ちはあるが元々嫌な訳でもないので素直に現実を受け入れたらしい


「でもさ、この写真を見るとマスターと木乃香が付き合ってるって噂広がりそうよね」

「ただマスターの場合は噂になる人結構多いのよね~ 那波さんも結構怪しいし……」

一通り横島をからかって恥ずかしがる姿を楽しんだ美砂達は写真の影響を話していくが、イマイチ読めないのが横島だった

普通ならばあんな写真が大きく載れば半ば公認カップルのような扱いをされるが、横島の場合は噂になってる相手が多いのだ

現状で一番噂になってるのは木乃香だが、二番目に噂になってるのは何故か千鶴である

どうも麻帆良祭でストーカーを撃退した話は有名らしくしかも中途半端な内容が広まってしまい、千鶴が横島と親密な交際をするのに彼らに困っていたという根も葉も無い噂が広まっているらしい


「木乃香と那波さんって否定も肯定もしないのよね」

何故二人が横島とよく噂になるかと言えば、基本的に二人は横島との関係を否定も肯定もしないのが原因だった

明日菜や夕映も割と噂になったが本人達が否定するので、あまり広がらなかった過去がある

美砂達三人と裕奈やまき絵達はタマモと楽しそうに公認ブックを見ている木乃香や千鶴を見て、もしかすれば二人が思った以上にしたたかなのではと考えてしまう


「なんか那波さんに出し抜かれた気がするわ」

なんとなく現状が面白くない美砂は、腕組みしながらいろいろと考え込んでいく


「美砂も案外狙ってるのよね」

美砂が考え込んだことで円や裕奈達はニヤリと笑みを浮かべ面白くなって来たと話をするが、彼女達がいつの間にか横島を励ましてる桜子の存在に気付くのはもう少し後である



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