平和な日常~夏~

その後明日菜達の試験勉強は夕方まで続き、横島はこの日も店の仕事に勉強教える方にと忙しく動き回っていた

他にも数人の中等部の子達が勉強して解らないところを聞いて来たりした為、店の仕事より勉強を教える方が忙しかったりもする

そしてこの日の夜は久しぶりに刀子とシャークティが二人で来店していた

二人は軽く食事をした後でお酒に切り替えて、ゆっくり世間話をしながら飲み始める


「そういえばサウザンド・マスターの息子来ないんだって?」

「やっぱり訳ありな子なんでしょ。 上層部の人達その件でかなりピリピリしてたもの」

お酒を一気にグラスの半分ほど飲んだシャークティは最近で一番の話題であるネギに関する噂話について語り出すが、シャークティも刀子も噂以上の話を知らないようだった

ただその件の噂が出始めた頃から上層部がかなりピリピリした空気になっており、事情を知らない中堅の魔法関係者の間では密かに噂になっていたらしい


「結局騒いでたのは高畑先生だけなのね」

「高畑先生の強さは尊敬するけど、でもあの人は自分の力量を越えた仕事をしたがるのよね。 特に女子中等部の一般の先生達は困ってたわよ。 ボランティアもいいけど、本業を休んで行くのは周りが大変だってね」

ネギに関してはやはり高畑が一人騒いだだけだというのが麻帆良の魔法関係者の見方だった

どうも恩人の息子を自分で育てたいらしいが、訳ありで上層部が認めなかったらしいというのが中堅以下の認識なようだ

刀子はそんな高畑のことを思い出し少し微妙な表情で高畑に対する一般教師の見方を語ると、シャークティは思わず苦笑いを浮かべる

高畑は一般教師には海外でのボランティアだと告げて、度々仕事を休んでは秘密結社完全なる世界の残党や信奉者と戦っているが、一般教師からすると若干迷惑な存在でもあった

高畑は教師としても真面目だとの評価は受けてるが、しかし高畑が仕事を休めば当然誰かが仕事を代わりにやらねばならないのだ

基本的には学年主任の新田先生がフォローしてるが、どうしても仕事のしわ寄せは他の先生にもいってしまう

そういう点では度々休む高畑は、同僚からはあまり好かれてなかった

学校公認で世のため人のためにボランティアをする高畑には誰も文句を言えないが、正直仕事が増えた者はいい気持ちはしない

魔法関係者はまだ理解を示す者が多いが、一般教師からは少々困った存在として扱われている


「見た目もそこそこな上、真面目で性格もいいし仕事も出来て責任感もある。 一見すると理想の男性にも見えるのにね」

「私には過去に捕われてるようにしか見えないのよね。 別に過去を抱えて生きるのはいいけど、もう少し今を見るべきだと思うわ」

一つ一つ見ていくと高畑は欠点がないような素晴らしい男性にも見えるが、シャークティや刀子から見るとイマイチ魅力に欠けた男性だった

特に刀子は木乃香の護衛をしてることから明日菜が寂しがってることを知っており、いつまでもそれに気付かぬ高畑があまり好きにはなれないらしい



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