平和な日常~夏~

さて千鶴子が帰った後の横島はタマモと二人で相変わらずのんびりとしていたが、この日は雨の為か客足がいつもよりも鈍かった

先程の中等部の少女達のように部活が無くなった者が数人訪れるが、そろそろテストが気になる時期なだけに学校や寮で勉強する者が多いのかもしれない


「う~ん、わかんないよ~」

そんな客が少ない店内では、この日も勉強しに来た明日菜が頭から煙りが出そうな様子でグッタリしていた

わからないと嘆く明日菜だが、それでも以前に比べると進歩はしている

前回のテスト同様に横島がマンツーマンでわかるまで教えてるため進歩はしてるのだ

ただ問題は一緒に勉強してるのどかが教わる時間が明日菜の何分の一しかないのに、進むスピードが明日菜の数倍早いことだろう

同じボックス席に向かい合って勉強する二人だが、進むスピードの違いから明日菜はやる気を無くすようなのである


「まあまあ、焦らんでゆっくりやればいいって。 最低限赤点は越えるようにしてやるからさ」

基本的に勉強が好きではない明日菜は集中力がなかなか続かなく、何故か横島に励まされつつ勉強を進めて行った


「おっ、頑張ってるでござるな」

「私もお願いするアル」

「助けて! このままじゃ夏休みに補習が入っちゃうの!」

そのまま明日菜とのどかに勉強を教えていた横島だったが、そこにやって来たのは若干顔色が悪い楓・古菲・まき絵・夕映の四人である


「珍しい組み合わせだな」

「私達は今日の小テストで居残り組だったのですよ。 今回アスナさんが居残りを回避したので……」

珍しい組み合わせに理由を尋ねる横島だが、どうやら今日の小テストで成績が悪く居残りをさせられた四人らしい

本来は明日菜も加わってバカレンジャーと呼ばれていたが、地味に成績が上がって来ている明日菜が今回はギリギリで回避したらしいのだ

ここ何日か横島に教わった部分がたまたまテストに出たから成績が良かったと明日菜自身は言うが、夕映を含めて他の四人も夏休みの補習は嫌らしく顔色が悪かったようである


「俺は構わんが、先生に聞かなくていいのか?」

「基本的に教科ごとに担当の先生違いますし、担任の高畑先生はお忙しい方ですから。 それに自慢ではありませんが、私達はちょっとやそっとじゃ解りません」

横島としては別に教える人数が増えるのは一向に構わないのだが、一応先生達がどうしてるのか気になったらしい

そんな横島の疑問に夕映は簡潔に答えたが、その答えに微妙な笑顔を浮かべてしまう

高畑自身は時間があれば放課後に教えてくれるらしいが、忙しい先生だから生徒からは頼みにくいようなのだ

しかもちょっとやそっとじゃ理解出来ない夕映達としては、忙しい高畑よりは横島にじっくり聞きたいのだろう

まして明日菜が地味に成績を上げてる実績がある訳だし


「じゃあ、しばらくは放課後に店で勉強すればいいよ。 みんな纏めて教えるからさ」

結局夏休みの補習を阻止する為にと横島は夕映達にまで勉強を教えることになり、奇しくもバカレンジャーが揃ってしまった

まあ夕映達四人は成績がというよりは補習を阻止するのが目的なのだが……



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